トルコリラ週報:『トルコ中銀金融政策決定会合に注目。一巡後の反落リスクに警戒』(5/16朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。

トルコリラ週報:『トルコ中銀金融政策決定会合に注目。一巡後の反落リスクに警戒』(5/16朝)

トルコ中銀金融政策決定会合に注目。一巡後の反落リスクに警戒

〇トルコリラは今週15円台を維持
〇ショートカバー、トルコの感染者数増加の鈍化、シティグループ等への資本規制解除で15.55まで急伸後15.51で越週
〇トルコリラはテクニカルファンダメンタルズともに弱く下落リスクを警戒
〇5/21のトルコ中銀金融政策決定会合に注目
〇来週の予想レンジ15.10ー15.70

注:ポイント要約は編集部によるものです

今週のレビュー(5/11−5/15)

今週のトルコリラ円相場は、週初15.05円で寄り付いた後、早々に安値15.01円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A原油先物価格の上昇を受けたリスク回避ムードの後退、Bトルコ国内における感染者数ピークアウトの兆し、C短期主導のショートカバー(※トルコリラは冴えない国内ファンダメンタルズを背景にショートポジションが急ピッチで蓄積され、5/7には一時史上最安値となる14.65円まで売り込まれるなど過熱感が見られていた)、Dトルコ中銀による通貨スワップ模索の動き(日英当局者と協議)が支援材料となり、週後半にかけて、高値15.55円(4/23以来の高値)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局15.51円での越週となっております。尚、トルコ当局は今週5/11、先週5/7に実施した「シティグループ、UBSグループ、BNPパリバグループとのトルコリラ取引を禁ずる資本規制」を解除しました。

来週の見通し(5/18−5/22)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、5/7には一時史上最安値となる14.65円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(※足元ショートカバー主導で反発するも一目均衡表基準線を前に伸び悩む動き)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(今週発表された経済指標は軒並み悪化)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(直近9ヶ月間で計1525bpの利下げ幅。先般発表されたインフレレポートにて物価見通しが引き下げられたことで更なる追加利下げ余地が生まれた格好)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き悪化懸念、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。足元のトルコリラ急伸を受けて、これまで積み上げられてきたショートポジションの解消(ロスカット)が相応に進んだ可能性が高く(上値余地は乏しい)、ここからは一巡後の反落リスクに警戒が必要でしょう。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したトルコ経済への下押し圧力や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力の高まり、外貨準備急減を受けた介入余力への不信感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※来週は複数の経済指標が予定されておりますが、特に5/21に発表されるトルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想は100bpの追加利下げとなっておりますが、市場予想を上回る利下げ幅に踏み切る可能性もあり、トルコリラの反落リスクに注意が必要でしょう)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):15.10ー15.70

トルコ中銀金融政策決定会合に注目。一巡後の反落リスクに警戒

トルコリラ円日足

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