トルコリラ円見通し 史上最安値から5連騰したが上値も重くなり始める(20/5/14)

13日も日足は5日連続陽線として前日比もプラスだったが、12日の高値を超えられずに反騰一服でやや上値の重い状況となている。

トルコリラ円見通し 史上最安値から5連騰したが上値も重くなり始める(20/5/14)

トルコリラ円見通し 史上最安値から5連騰したが上値も重くなり始める

〇トルコリラは対ドル対円での暴落一服
〇ファンダメンタルズに変化なく買い戻し一巡後はリラ売り再燃の可能性も
〇輸出減少でトルコの経常収支は悪化
〇本日発表の鉱工業生産、小売売上高も心配
〇15.25円を当面の下値支持線、15.37円を上値抵抗線とおく

【概況】

トルコリラ円は5月7日午後に14.61円へ続落して史上最安値を更新したが、暴落一服で翌日からは4日連続の日足陽線で反発して12日高値では15.37円を付けた。13日も日足は5日連続陽線として前日比もプラスだったが、12日の高値を超えられずに反騰一服でやや上値の重い状況となっている。
5月7日の史上最安値更新はトルコリラが対ドルで7.27リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを割り込んだことと連動していたが、対ドルでのトルコリラは4月30日から5月6日まで5日連続の下落となり5月7日に史上最安値をつけたものの、7日当日から反騰に入り、5月13日まで5連騰で戻している。

ひとまず対ドル、対円での暴落一服により、下げ過ぎの反動で買い戻された状況にあるが、史上最安値を更新するリラ安発生の背景は(1)新型コロナウイルスの感染拡大に伴う新興国通貨全般への売り圧力、(2)トルコ自身の感染拡大と経済活動停滞、(3)トルコ中銀による8会合連続での利下げによるマイナス金利状態、(4)外貨準備高の減少による通貨防衛力への懸念等であった。トルコ国内の感染爆発は峠を越えた印象があるものの経済活動の停滞は続き、世界的な停滞も改善しない状況にあるため、暴落商状一服で売られ過ぎに対する揺れ返しの上昇が一巡すると再び対ドル、対円でのリラ安がいつ再燃しても不思議ない状況と思われる。

【トルコ経常収支悪化、14日の経済指標にも注目】

トルコの3月経常収支は49億2000万ドルの赤字となり、2月の11億5000万ドルの赤字から拡大して市場予想の32億ドルの赤字を超えた。昨年7月から11月までは黒字が続いていたが、12月からは4か月連続の赤字であり、3月は大幅な拡大となった。

トルコリラ円見通し 史上最安値から5連騰したが上値も重くなり始める

既に発表済の3月の貿易統計でも輸出は前年比で20.3%も落ち込んでおり、コロナショックによる経済的な打撃は大きい。5月14日夕刻には3月の鉱工業生産と小売売上高の発表があるが、鉱工業生産は2月の7.5%から3月はマイナス4.7%へ低下し、小売も2月の10.6%から3月はマイナス4.4%へ大幅に落ち込むことが予想されている。それでも感染爆発は3月後半からだったために4月統計はより落ち込みの厳しいものになると思われる。

【トルコ国内の感染者増は日々2千人を切るペースで鈍化を維持】

5月13日時点での世界の感染者数は442万人を超え、死者は29.7万人を超えた。欧米での感染爆発は峠を越えているが、ロシアは13日に前日比1万0028人増、ブラジルも1万1555人増と1万人を超える増加ペースとなっている。最初は中国、次に欧州、米国と感染爆発の中心地は推移しているが今はロシアとブラジル、そして全世界的な拡大という状況だ。
トルコの感染者数は5月13日時点で前日比1639人増の14万3114人、死者は58人増の3952人となった。13日の検査数は3万3332人に行われている。退院は2826人で回復者の累計は10万1715人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少傾向が顕著であり、5月7日以降は2000人を切っている。
トルコは13日に14歳以下の子供の4時間限定での外出を許可した。65歳以上と20歳以下の外出禁止令は続いているが、徐々に規制を緩和し始めている。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日午後の史上最安値から反発した後に5月8日夜に反落したものの新たな底割れを回避して戻り高値を切り上げたため、12日朝時点では7日午後と9日未明の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。またサイクルトップ形成期は13日から15日にかけての間と想定したが、12日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずに横ばい推移となっている。
やや短いものの既に12日夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるため、15.25円を上回るうちは上昇余地ありとするが、15.25円割れからは弱気サイクル入りと仮定して14日の日中からから18日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月11日早朝への上昇で遅行スパンが好転し先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持してきたが、12日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずに横ばい推移となり遅行スパンは悪化している。15.25円以上での推移中は遅行スパンが再び好転するところから上昇再開とみて高値試し優先とするが、15.25円割れからは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日夜への上昇で70ポイント台後半に付けたが、その後は50ポイント台へ失速し、14日午前には50ポイントを割り込みつつある。50ポイントを割り込んでも早々に切り返すうちは60ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからからいったん調整安入りとみて30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.25円を下値支持線、12日夜高値15.37円を上値抵抗線とする。
(2)15.25円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.37円超えからは15.50円前後への上昇を想定する。15.50円以上は反落注意とするが、15.30円以上での推移なら15日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)15.25円割れからは下げ再開とみて15.10円前後への下落を想定する。15.10円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、15.25円以下での推移が続く場合は15日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

5月14日
 16:00 3月鉱工業生産 前年比 (2月 7.5%、予想 -4.7%)
 16:00 3月小売売上高 前年比 (2月 10.6%、予想 -4.4%)
 16:00 3月小売売上高 前月比 (2月 1.4%、予想 -6.8%)
5月20日
 16:00 5月消費者信頼感指数 (4月 54.9)
 19:30 4月自動車生産 前年比 (3月 -21.8%)
5月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合(TCMB) (現行 8.75%、予想 7.75%)
5月22日
 16:00 5月景況感 (4月 66.8)
 16:00 5月設備稼働率 (4月 61.6)

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