ランド円レポート月曜版
〇米中関係激化回避で南アランドは底堅く推移
〇これから冬に向かう中での感染拡大は脅威
〇本邦個人投資家のランド買いポジションは高水準
〇今週の予想レンジは5.65-95
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、5.60レベルが3度目のトライとなり、下抜けしてくるとテクニカルに下げが加速しやすいチャートとした上で「5.50レベルをサポートに、5.80レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が5.63レベル、高値が5.83レベルと、思いのほか底堅い動きを示し、安値更新とはなりませんでした。
先週のランドは、金融市場が全般に落ち着いた値動きとなっていた中で、3週連続で5.60の最安値を抜けず、特に先週は週初と週後半の2度ほど危機があったものの反発したというテクニカルな要因が大きかったと考えられます。また、8日にはトランプ大統領が中国の新型コロナウイルス問題について、中国が故意に起こしたとは思わないと発言したことから、南アにとって最大の貿易国である中国の好材料と週末にはほぼ高値での引けとなりました。
他には目立った動きはありませんでしたが、同じく8日にラマポーザ大統領は、新型コロナウイルスに対応するため、アフリカ諸国には2年間の債務返済猶予期間が必要との見解を示しました。先のG20では9か月という案が示されていましたが、南アフリカを含め感染者数がいまだ減少へと向かわず、南アフリカでは新規感染者数がいまだに右肩上がりとなっていることも今後の同国経済にとっては大きな脅威です。
新型コロナウイルスはインフルエンザと同じで暖かくなり8週間程度で終息の目途ということは当初から言われていましたが、南アフリカやブラジルなど南半球ではこれから寒くなっていくことを考えると、現状での感染者数右肩上がりは脅威です。ただ、本当に気候が影響するのかどうかは個人的にはかなり怪しいと考えていて、そうであるならば赤道直下の国での流行は何故なのかとなり、結局のところは密集が問題なのだと言えそうですし、南アフリカでは貧富の格差があり、貧しい人たちの密集で感染拡大というのが事実だと思います。
いずれにしても、いまだに感染者が拡大しているという点では、減少に向かうまで悪材料と考えざるを得ないでしょう。今週は目立った材料も無いため、一時期のトルコのように感染者数が減らない限り常に爆弾を抱えている状況と言ってもよいでしょう。また、ゴールデンウィークを挟んで本邦個人投資家のランド円買いポジションについては、目立った変化は無く過去1か月ほど同水準の買いポジションが維持されており、このあたりも何かあった時には下値圧力となりやすいと見ています。
特筆すべき材料もありませんので、テクニカルに見ていきましょう。いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
完全に横方向の動きとなっていて、週初朝方から先週の高値は抜けてはいるものの、すぐ上には先々週の高値5.92がありますし、6.0円の大台を下回ってからの弱さを考えると、大台回復は簡単ではないでしょう。中段のドルランドが緩やかとは言え、高値を切り下げていることから引き続き5.6の前半も底堅くなってきそうです。
今週は基本的に南アフリカにとっての悪材料は残るものの、下抜けに失敗したこともあって、5.65レベルをサポートに、上側は先々週高値の5.92レベルに近い5.95レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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