トルコリラ週報:『資本規制発表で持ち直すも戻りは鈍い。一巡後の再反落に警戒か』(5/9朝)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、週後半(5/7)にかけて、史上最安値となる14.65円まで急落しました。

トルコリラ週報:『資本規制発表で持ち直すも戻りは鈍い。一巡後の再反落に警戒か』(5/9朝)

資本規制発表で持ち直すも戻りは鈍い。一巡後の再反落に警戒か

今週のレビュー(5/4−5/8)

今週のトルコリラ円相場は、週初15.24円で寄り付いた後、早々に高値15.26円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@新型コロナウイルスに端を発したトルコ経済への下押し圧力や、A外貨準備急減を受けた介入余力への不信感、Bトルコ中銀による追加利下げ観測の高まりが重石となり、週後半にかけては、史上最安値となる14.65円まで急落しました。もっとも、その後はトルコ当局が「シティグループ、UBSグループ、BNPパリバグループとのリラ取引を禁止する旨」発表すると、資本規制への思惑からトルコリラのショートカバーが発生し、結局15.05円まで持ち直しての越週となっております。

来週の見通し(5/11−5/15)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、週後半(5/7)にかけて、史上最安値となる14.65円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(週末にかけて持ち直すも一目均衡表転換線の上抜けに失敗)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(ロックダウンの長期化を受けた景気下押し圧力)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(外貨準備は大幅減)、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(直近9ヶ月間で計1525bpの利下げ幅。先週発表されたインフレレポートにて物価見通しが引き下げられたことで更なる追加利下げ余地が生まれた格好)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き悪化懸念、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した世界的なリスク回避ムード(トルコの感染者数が中東最大規模へ急増)など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したトルコ経済の下押し圧力(株安・通貨安・債券安のトリプル安)や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力、外貨準備急減を受けた介入余力の減退が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※トルコ当局による資本規制の発表は却ってファンダメンタルズの脆弱性を連想させることから、リラ安抑制効果は短命にとどまると考えられます、来週はトルコの雇用統計や経常収支、鉱工業生産の結果を睨みながらも、一巡後の反落リスクに警戒が必要です)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):14.60ー15.20

資本規制発表で持ち直すも戻りは鈍い。一巡後の再反落に警戒か

トルコリラ円日足

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