トルコリラ円見通し ドル反落と円安継続で続伸したが上値が重くなる(20/3/26)

25日夕刻には17.44円まで高値を切り上げた。しかしその後は伸びず、26日朝にかけてはやや失速気味の展開となっている

トルコリラ円見通し ドル反落と円安継続で続伸したが上値が重くなる(20/3/26)

【概況】

トルコリラ円は感染拡大による新興国通貨売りを背景としたドル高リラ安と3月9日までの急激な円高により3月9日には16.26円まで大幅下落したが、その後はドル高リラ安が続いたもののドル円が3月9日から急激な円安となったために下支えられて3月23日までは16ドル台後半を中心とした持ち合いにとどまっていた。
3月23日に米連銀が今月三度目の臨時FOMCを開催して「必要なだけ」=無制限に米国債等を購入する大規模な量的金融緩和方針を示したことでドル高が一服、24日にはトランプ政権による2兆ドル規模の経済対策を好感して株式市場が持ち直したことで新興国通貨が反発、ドル円が上昇基調を維持する中でドル安リラ高となったため、トルコリラ円は25日早朝に17.40円まで急伸し、午前へいったん小反落したものの25日夕刻には17.44円まで高値を切り上げた。しかしその後は伸びず、26日朝にかけてはやや失速気味の展開となっている。

ドル円は3月21日未明に111.50円まで上昇した後も24日未明に111.59円、25日早朝に111.71円まで若干高値を切り上げ、その間の安値も切り上げてきたが25日夜は高値切り上げへ進めず、26日午前は失速気味となり3月20日以降の安値を結んだ下値支持線を割り込みつつある。高値も安値も切り上げつつレンジが縮小するウェッジ型三角持ち合いからの転落気配であり、目先はV字反騰一服でやや調整的に円高へ進みやすくなっている印象だ。

ドル/トルコリラはドル全面高の中で3月18日から23日へ4連騰のドル高リラ安となり、3月23日深夜に6.6185リラを付けてこの間の高値を更新したが、ドル買い一巡でドル指数が続落、新興国通貨安も一服となったために24日は前日比2.16%安のドル安リラ高、25日は6.3790リラまで安値を切り下げている。G7等によるドル資金供給協調や世界的金融緩和拡大を背景としてドル高一服ではあるが、感染爆発のトルコへの波及、欧米での深刻化を踏まえれば、早々にドル高新興国通貨安が再開しても不思議ではないところだ。

イスタンブール100株価指数は3月23日安値で82528.45まで下落して3月17日安値81936.40に迫っていたが、24日は世界的な株式市場の持ち直しにより5.98%高と上昇した。24日の日中におけるアジア欧州株高とダウ先物高を反映したものだったが、NYダウが24日に前日比2112.98ドル高で1日の上昇幅の過去最高記録を更新して25日も続伸したものの、イスタンブール100株価指数は25日に91959.49まで戻り高値を切り上げてから失速し前日比で0.25%安で終了している。株式市場の反発もいつまで続くのか不透明であり、先行きの世界的な不況入りへの懸念が解消されたわけではないのでトルコ株市場も戻り一巡後の下げ再開が警戒される。

3月25日に発表された3月のトルコ景況感指数は99.7となり前月の106.9から大幅に悪化したが、市場予想の95を上回った。3月の設備稼働率は75.3%で前月の76%から若干低下した。経済指標への市場反応は限定的だったが、トルコの感染拡大は3月中盤から一挙に進んでいるため、今後の統計では徐々に影響が出てくると思われる。

【トルコの感染者2千人を超える】

新型コロナウイルスの感染は世界全体の感染者数が46万人を超え、死者も2.1万人を超えた。イタリアの死者は7503人へ増加、スペインの死者も3647人へ増加して欧州全域の感染爆発に収束感は見られない。米国は感染者が66132人で前日から11276人も増え、死者は167人増えて947人となった。イタリアのような医療崩壊が欧州各国や米国で発生するとパニック感も拡大しかねない状況だ。また中南米、アジア中近東の拡大も顕著となっている。
トルコは3月11日に国内初の感染者が確認され、3月後半からは感染者が急増している。3月26日朝時点では感染者数が前日から561人増加して2433人となり、死者も15人増えて59人となった。

トルコは国境を封鎖、入国規制を強化し、65歳以上の外出禁止を打ち出しているが、今のところは医療崩壊的なパニック報道は見られず、トルコ紙報道では自国企業による診断キットによる検査拡充、ワクチン開発への自国研究所の着手、中国からの治療薬の使用開始、国防省・トルコ軍を含めた対策センターの設立、友好国への診断キッドの送呈等、前向きな戦いの報道が見られる。トルコを含め感染者が2千人を超えるのは21か国だ。
コロナ騒動によりシリア内戦やロシアとの対立等に関する報道と緊張は後退しているようだ。イスラエルも感染者が2千人を超えている。今はどこもコロナ対策が第一優先となっている。パンデミックが一段と深刻化すればトルコ及び新興国への経済的影響も計り知れない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、3月23日夜へいったん下げてからの反騰で21日未明高値を上抜いたため、24日午前時点では23日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして、トップ形成期を26日未明から30日朝にかけての間と想定した。25日夕高値へ続伸したがその後は失速して17.20円を割り込んできているため、25日夕高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたと考える。ボトム形成期は23日夜安値を基準として26日夜から30日夜にかけての間と想定されるので、26日夜から27日にかけては安値試しを続けやすい時間帯と思われる。ただし25日夕高値を上抜き返す場合は新たな強気サイクル入りとして30日夕から4月1日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では25日夕高値からの反落で遅行スパンが悪化しつつあり、先行スパン上限まで下げている。遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込んでもその後に上抜き返せば上昇再開感が出てくるが、先行スパン転落からは下げが加速しやすいと注意する。ただし25日夕高値を上抜き返すところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は25日朝から25日夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生し、50ポイント割れへ下降している。30ポイント割れへの低下を伴う下落警戒とし、上昇再開には60ポイント超えへ反騰する必要がありそうだ。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.10円を下値支持線、25日夕高値17.44円を上値抵抗線とする。
(2)17.30円以下での推移中は一段安警戒とし、17.10円割れからは17.00円、次いで16.80円前後を試す流れと考える。16.80円以下は反騰注意とするが、17.20円以下での推移が続くうちは27日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)17.30円超えからは強気転換注意とするが、25日夕高値を超えずに17.20円を割り込むところからは下げ再開とみる。25日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとみて17.60円台への上昇を想定する。
株式市場も為替市場及び商品市場全般が混乱中であり、上下へのブレも大きい状況が続くと注意したい。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月26日
 20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
 16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5) 
3月31日
16:00 2月貿易収支(1月 -44.5億ドル)

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