トルコリラ円見通し 新興国通貨売り一服、ドル安リラ高と円安継続で17円台回復
【概況】
トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、新興国通貨売りによるドル高リラ安と、急激な円高により3月9日には16.26円まで大幅下落したが、その後はドル高リラ安が継続した。しかし手元流動性確保のためのドル全面高によりドル円が3月9日から急激な円安となったために、新たな安値更新を回避して16ドル台後半を中心とした持ち合いとなっていた。
3月23日に米連銀が今月三度目の臨時FOMCを開催して「必要なだけ」=無制限に米国債等を購入する大規模な量的金融緩和方針を示したことでドル高が一服、24日にはトランプ政権が当初の1兆ドル規模にさらに数千憶ドルを上乗せする経済対策を示し、議会での可決が近づいているとの報道から世界的な株高となり、リスク回避感と新興国通貨売りへの揺れ返しが進んだ。ドル円は若干の高値更新にとどまっているが上昇基調を維持し、ドル/トルコリラはドル安リラ高となったため、トルコリラ円は対ドルでのリラ高の勢いに支えられて25日早朝には17.40円まで急伸した。
トルコリラ円は3月9日安値16.26円から3月10日の戻り高値17.26円までの凡そ1円幅に収まった持ち合いだったが、3月25日早朝への上昇で持ち合いレンジから上抜けてきている。
ドル円は3月24日未明に111.59円を付けて3月9日以降の高値を更新し、24日午前には110.08円まで下げたが25日早朝には111.71円まで若干高値を切り上げている。3月20日以降は111円台中盤で高値を徐々に切り上げ、安値も20日の109.33円から23日の109.66円、24日の110.08円と徐々に切り上げており、騰落レンジはやや縮小気味のウェッジ型三角持ち合いでの上昇を続けている。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は3月18日から23日へ4連騰のドル高リラ安となり、3月23日深夜には6.6185リラを付けてこの間の高値を更新した。しかし、米連銀の無制限な量的緩和政策発表から6.54リラ前後へ反落し、24日は安値で6.3936リラまで続落して前日比は1.90%安、5日ぶりの日足陰線で下落=ドル安リラ高となった。
イスタンブール100株価指数は3月23日安値で82528.45まで下落して3月17日安値81936.40に迫っていたが、24日は前日比5.98%高と急反騰した。
3月23日夜の米連銀による追加金融緩和政策発表直後のNYダウの反応は当初は鈍く前日比582.05ドル安(3.04%安)と下落して終了していたが、24日はダウ先物が上昇に転じたことで世界的な株高基調となり、日経平均が1204.57円高と急反騰、ドイツDAX指数も11.49%高となるなど欧州株高が進んだためにトルコ株も反騰した。NYダウはその後に前日比2112.98ドル高で1日の上昇幅の最高記録を更新、上昇率は11.37%高となった。
25日も序盤の日経平均が大幅続伸しており、アジアから欧州市場時間にかけては株高が続きやすい状況と思われ、トルコリラにとってもドル安効果とともに株高による押し上げも期待される動きと思われる。
【トルコの感染拡大さらに続く】
新型コロナウイルスの感染拡大において、トルコでは3月11日に国内初の感染者が確認されるまで感染はゼロだったが、海外からの入国者帰国者による感染発生から拡大期に入ると、3月18日時点での感染者が前日から93人増えて191人死者2名となり、3月23日朝時点では感染者1236人(前日比289人増)死者30人(同9人増)、3月24日朝時点では感染者数1529人(前日比293人増)死者37人(同7人増)、25日早朝時点の集計でも感染者1872人(同343人増)死者44人(同7人増)と増加ペースが上昇している。
トルコは国境を封鎖、入国規制を強化し、65歳以上の外出禁止を打ち出しているがトルコ国内での医療崩壊的な状況には陥っておらず、コロンビアに感染検査キッドを贈るなどまだ対策への余裕が見られる。またトルコ領内に滞在するシリア難民の医師が感染対策への協力を申し出る等、感染爆発阻止へ向けた動きも報じられている。
トルコと国境を接するイランは感染者24811人(前日比1762人増)、死者1934人(同122人増)と爆発的な状況にあり、他の隣国でもギリシャやイラク等の感染者増も顕著となっているため、感染者増加ペースがさらに進むようだと医療崩壊等を引き起こしかねないと懸念されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、3月23日夜へいったん下げてからの反騰で21日未明高値を上抜いたため、24日午前時点では23日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を26日未明から30日朝にかけての間と想定した。25日早朝高値から反落しているのでやや短めにサイクルトップを付けた可能性もあるが、17円以上での推移中は一段高余地ありとし、17円割れから続落の場合は弱気転換注意として23日夜安値試しを想定する。
60分足の一目均衡表では24日未明への上昇で先行スパンを上抜いて24日夜へ一段高している。遅行スパンも好転しているが、新たな高値更新へ進めないと夜間から悪化しやすい位置にある。このため遅行スパン好転中は上昇余地ありとするが、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は24日夜の上昇で70ポイントをいったん超えたが、その後は50ポイント台まで低下した。65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.00円を下値支持線、25日早朝高値17.40円を上値抵抗線とする。
(2)17円以上での推移中は上昇余地ありとし、17.30円超えからは上昇再開とし、25日早朝高値を上抜く場合は17.50円まで上値目途を引き上げる。17.40円以上は反落警戒とするが、17円以上での推移なら26日も高値を試す可能性ありとみる。
(3)17円割れからはいったん調整安に入る可能性を優先して16.80円前後への下落を想定する。ただし金融市場全般の乱調は続いているので、株安と新興国通貨売りが再燃すれば下値目途も大きく切り下がる可能性があると注意する。
【当面の主な経済指標等の予定】
3月25日
16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5)
3月31日
16:00 2月貿易収支(1月 -44.5億ドル)
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