トルコリラ円見通し 2月3日及び2月7日の安値を割り込んで1月6日安値へ徐々に迫る(20/2/17)

2月13日には2月3日及び2月7日を割り込み、1月6日安値へ徐々に迫ってきている。

トルコリラ円見通し 2月3日及び2月7日の安値を割り込んで1月6日安値へ徐々に迫る(20/2/17)

【概況】

トルコリラ円はイラン情勢の緊張を背景としたリスク回避の円高リラ安により1月6日に17.94円まで下落したが、イランと米国の全面戦争回避によりリスク回避感が後退して1月17日高値18.82円まで反騰した。しかし今度は新型コロナウイルスの感染拡大問題により再びリスク回避感が強まる中で2月3日安値18.07円まで下落した。1月6日安値割れはひとまず回避し、春節明けの中国株式市場の回復やNYダウの楽観的な上昇によりドル円が戻す中で2月6日には18.36円まで反発したが、ドル円が伸び悩む中でシリア情勢の緊張が高まったとして2月14日までは失速気味の推移となった。
2月7日夜の米雇用統計直後にテクニカルな売りに押されて18.08円まで下げた後、2月13日には18.06円まで下げて安値を更新し、2月6日以降は戻り高値が切り下がり、2月13日には2月3日及び2月7日を割り込み、1月6日安値へ徐々に迫ってきている。

【ドル高リラ安】

トルコリラ円を押し下げる要因は全般的なリスク回避感であり、新型コロナウイルスの感染拡大による中国景気の減速と世界景気への悪影響懸念やトルコ独自の問題としてはシリアとの軍事衝突による有事リスクがある。
欧米の株式市場は楽観的に高値追及を続けていても先行き不安はぬぐえないとして安全資産として米長期債やゴールドが買われる中で、新興国通貨等へのポジション圧縮の動きが出ているようだ。またメジャー通貨のなかでの中国からの経済的影響を受けやすい欧州の景気停滞懸念でユーロが売られる等、ドル高感が全般に強まっていることもドル高リラ安を招いている。
2月7日以降はドル円が109円台後半で持ち合い型の横這い相場に止まっているため、トルコリラ円の下落圧力としてはドル高リラ安が主要因となっているが、仮にドル円が持ち合いから下放れて円高が強まる様だと、ドルストレートでのドル高圧力とクロス円の円高圧力が相乗効果となってトルコリラ円を押し下げにかかる可能性も考えられる。

ドル/トルコリラはシリアにおけるアサド軍とトルコ軍の軍事衝突発生によるドル買いリラ売りで2月12日深夜に6.0670リラへ急騰して2月7日高値を上抜いた。13日は終値ベースでは反落したが6.0686リラへ高値を更新、14日は新たな高値更新には至らなかったものの高値圏を維持して前日比は0.17%高と上昇し、終値ベースでは3日連続で6リラ台を維持している。
イスタンブール100株価指数は2月13日に前日比0.41%高と上昇して11日から3連騰したが2月14日は0.32%安と反落した。欧米株式市場の楽観的な上昇が続いていることで持ち上げられてきたが、シリア情勢への懸念も抱えて4日ぶりに反落した。

【感染拡大問題とシリア情勢】

中国湖北省政府が集計方法を変えた2月13日午前、新型コロナウイルスによる中国本土の肺炎死者は前日より242人増え1310人になったが、その後も拡大し続けて2月17日朝時点では死者1767人、感染者数は7万536人となっている。日本における感染者数も400人を超え、横浜寄港中のクルーズ船での感染拡大により米国、カナダ等が自国民救出へチャーター機を出す等、武漢市が閉鎖された後に日本等各国が自国民を脱出させたような状況にもなりつつある。
トルコではまだ感染報告がないものの、エジプト、UAE、イタリア等のトルコ近隣での感染も報告されている。

シリアのアサド政権軍とトルコは2月3日のアサド政権軍によるトルコ軍への砲撃で死者が発生、トルコ軍が同日にシリア軍勢力に対して46か所を報復空爆したことで、2011年にシリア内戦が始まって以来の両正規軍同士の大規模軍事衝突となった。その後もシリア・アサド政権軍のイドリブ県への侵攻とトルコ軍の反撃により軍事衝突はエスカレートしている。トルコ政府はアサド政権を支援するロシア、反政府勢力を支援する米国との協議を続けているが、今年1月12日にロシアとトルコの間で締結された停戦合意は事実上反故となっている。
シリアにはロシアとイランが付き、トルコはNATO加盟国として欧米側にあるものの、シリアの複雑な政治情勢のなかでは必ずしも欧米と一枚岩でもない。シリアと国境を接するトルコとしてもアサド政権軍によるイドリブ県掌握で大量の難民が流入してくることや地政学的なバランスが崩れることを避けるために大規模な軍事行動をとる可能性もあるだろう。

【4か月サイクルの底割れへ進むか】

【4か月サイクルの底割れへ進むか】

トルコリラ円は1月6日安値以降、1月17日から2月3日へと戻り高値が切り下がり、底割れを回避した状況も維持しているために「下値支持線フラットで抵抗線が切り下がる三角持合い」の様相となっている。
1月6日安値は概ね4か月周期の底打ちサイクルにおける直近の底であり、底割れ回避の内は上昇余地が残るものの、底割れする場合は4か月サイクルにおける次の底形成期となる5月序盤にかけて下落基調が続きやすくなる。また昨年8月の一時的なフラッシュクラッシュを除けば18円前後が重要な下値支持線となっており、1月6日も18円割れを早々に切り返したことで底打ちできたことを踏まえると、1月6日安値を割り込む一段安入りとなる場合は18円前後での支持線からの転落となり、17円台序盤、あるいはそれ以下へ向かいやすくなると警戒される。

【当面のポイント】

(1)概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月7日深夜安値をサイクルボトムとして10日午後へ戻したが、その後に失速で弱気サイクル入りしてきた。2月13日夜安値から一旦戻したため、2月7日深夜安値から4日目となる2月13日夜安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われるが、14日未明の戻り高値からはジリ安が続いているので既に新たな弱気サイクルに入っている可能性が高いと思われる。このため、2月13日夜安値を割り込まない内は18.20円前後への上昇余地ありとみるが、底割れからは次の底形成期となる18日夜から20日夜にかけての間への下落が想定される。

(2)2月13日夜安値を割り込む場合、18円割れ、さらに17円台中盤への下落が想定される。その際に1月6日安値17.94円を割り込む場合は4か月サイクルの底割れによりその後の下落基調が厳しくなると考えられるため、週後半ないし来週序盤にかけての下値目処が17.70円前後、さらに17.50円台を目指す可能性も出てくると注意する。


(3)強気転換には2月12日夕高値18.28円を超えるような反騰が必要であり、そのためには感染拡大問題への楽観が今以上に強まること、シリアにおけるトルコとアサド政権軍の激突が回避されて落ち着く事などの情勢変化が必要と思われる。

【当面の主な経済指標等の予定】

2月14日
 16:00 12月経常収支 (11月 -5億1800万ドル)
2月19日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 11.25%。予想 11.00%)
2月20日
 16:00 2月消費者信頼感指数 (1月 58.8)
2月24日
 16:00 2月景況感 (1月 104.1)
 16:00 2月設備稼働率 (1月 75.5%)

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