新型肺炎を睨みながらの神経質な展開。CPIと予算発表に注目
今週のレビュー(2/10−2/14)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.27円で寄り付いた後、@新型コロナウィルスを巡るリスク回避ムードを背景に、早々に安値7.26円まで軟化しました。しかし、先週末金曜日に記録した安値7.24円や、1/31に記録した安値7.20円(約3ヶ月ぶり安値)を前に下げ渋ると、A新型コロナウィルスの感染者数が先月30日以来の低水準に留まったことを好感したリスク選好ムード(グローバルな株高→円安)も支援材料となり、週央にかけては、一時7.47円まで反発する場面も見られました。もっとも、7円台半ばに控える一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、B南ア12月製造業生産高(結果▲2.8%、予想▲0.7%)や、C12月小売売上高(結果▲0.4%、予想1.5%)の冴えない結果、D新型コロナウィルスの感染再拡大(中国湖北省が感染基準を見直したことで感染者数が大幅増加)を受けた世界的なリスク回避ムードの再燃、Eラマポーザ南アフリカ大統領による「電力負荷制限は当面続く可能性がある」との発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、7.36円近辺まで押し戻される展開となっております。
来週の見通し(2/17−2/21)
南アフリカランド円相場は、12/27に記録した高値7.83円(約8ヶ月ぶり高値)をトップに反落に転じると、先月末(1/31)にかけて、約3ヶ月ぶり安値7.20円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や、中期サポートライン(8/26安値と10/8安値を結んだサポートライン)、一目均衡表雲上限および下限、200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFは南アフリカ経済見通しを大幅に下方修正。また新型コロナウィルスに端を発した中国経済の減速懸念も対中依存度の高い南アフリカに下押し圧力を加える恐れあり)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速への連想。ラマポーザ大統領は今週も継続的な電力負荷制限を滲ませる発言を行った)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、Cムーディーズによる格下げリスク(2月に予定されている南ア・予算発表で財政健全化見通しが示されなければ、ムーディーズは3/27に格下げに踏み切る可能性あり。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされる可能性も)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクや、経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念が燻る中で、南アランドの上値余地は乏しく、来週は、新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、南アフリカ経済指標(消費者物価指数)の結果、ムボウェニ南アフリカ財務相による予算発表を睨みながらも、南アフリカランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(消費者物価指数が伸び悩めば、年内追加利下げ観測再燃→南アランド売りの経路で南アフリカランドが昨年11/1以来、約3ヶ月半ぶり安値7.12円を試すシナリオも想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.10ー7.50
南アフリカランド円
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