TCMB政策決定会合に注目。利下げ決定ならリラ売り加速の恐れも
今週のレビュー(2/10−2/14)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.26円で寄り付いた後、@トルコ当局が発表したリラ売り抑制策(※トルコの銀行調整監視機構BDDKは2/9、リラ売り抑制を目的に為替スワップ取引等の規制強化策を発表。非居住者との外貨買い・リラ売りの通貨スワップ、フォワード、オプション、その他デリバティブ取引の合計を、銀行自己資本の10%以内に制限。従来は25%以内)を支援材料に、一時18.37円まで上昇しました。
しかし、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、A新型コロナウィルスの感染拡大(中国湖北省が感染基準を見直したことで感染者数が大幅増加)を受けた世界的なリスク回避ムードの再燃(株安・円高)や、Bシリアを巡る地政学的リスクの高まり(※エルドアン大統領は「アサド政権軍が2月中にシリア北西部から撤退しなければトルコ軍は行動に出る」と発言)などが重石となり、週後半にかけては、1/8以来、約1ヶ月ぶり安値18.09円まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、18.12円付近で推移しております。
来週の見通し(2/17−2/21)
トルコリラの対円相場は、1/16に記録した約5週間ぶり高値18.85円をトップに反落に転じると、今週後半(2/13)にかけて、約1ヶ月ぶり安値18.09円まで下落しました。この間、200日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲上限および下限を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を意識させるチャート形状となっております。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを通じた実質金利のマイナス転(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けてトルコの実質金利は既にマイナス転。先週発表されたトルコ1月消費者物価指数・生産者物価指数も市場予想を上回る結果に)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア)を巡る地政学的リスクの再燃、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ中銀による5会合連続利下げ(※直近5会合で計12.75%もの利下げ幅)を受けて、実質金利(名目金利?インフレ率)は既にマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を受けた「トルコ離れ(トルコSell)」が警戒されます(来週予定されているTCMB金融政策決定会合で追加利下げが決定すればトルコ売り圧力が一段と高まる可能性大。尚、市場予想は50bpの追加利下げ)。来週はトルコ経済指標(消費者信頼感指数など)や、TCMB金融政策決定会合、新型コロナウィルスに絡む続報、シリアを巡るヘッドラインを睨みながらも、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(追加利下げ幅が市場予想を上回れば、心理的節目18円の大台を割り込み、昨年8月以来となる安値17.88円を試すシナリオも想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):17.80ー18.30
トルコリラ円
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