トルコリラ円見通し 2月3日安値割れを回避したが2月6日高値を超えられず(20/2/12)

2月11日深夜はドル円が戻す場面で18.28円まで小反発したものの勢いに欠けている。

トルコリラ円見通し 2月3日安値割れを回避したが2月6日高値を超えられず(20/2/12)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大報道を背景としたリスク回避感を背景に2月3日朝安値18.07円まで大幅下落してきたが、2月3日からの株式市場反騰により2月6日には18.36円まで戻した。しかし2月7日夜の米雇用統計が予想を上回ったことでドル高が進んだ際にテクニカルな売りの連鎖が発生して7日深夜には18.08円まで急落した。やや過剰な下落だったこともあり、2月3日安値割れを回避して買い戻され、2月10日には18.33円まで反騰したが、その後はまた売られて2月11日夜安値では18.13円を付けている。
2月11日深夜はドル円が戻す場面で18.28円まで小反発したものの勢いに欠けている。

【ドル/トルコリラでのドル高リラ安】

2月7日夜にトルコリラ円が急落したところではドル/トルコリラでドル高リラ安が進んだことが影響した。
ドル/トルコリラは1月30日高値5.9934リラで1月8日高値5.9881リラを上抜いて昨年8月以降の高値を更新したが、その後は5.98リラを挟んだ高値圏の持ち合いに止まっていたところ、米雇用統計からのドル買いで高値を更新してドル買いリラ売りの連鎖が発生し、7日夜には6.0476リラへ上昇してこの間の高値を更新した。2月10日は急騰し過ぎの反動安で5.972リラまで反落したが、11日は再び買い戻されて6.0498リラを付けて7日夜高値を更新している。
新型コロナウイルスの感染拡大問題によるリスク回避感で新興国・資源通貨が売られ、メジャー通貨でもユーロが対ドルで年初来安値を更新するなどドル高感が強まっている。それに加えてシリア情勢を巡るシリア・アサド軍とトルコ軍の軍事衝突による有事リスクも拡大していることがドル買いリラ売りを助長している印象もある。

【シリアとの対立深刻化】

2月3日にシリア北西部のイドリブ県でトルコ軍がシリアのアサド政権側から砲撃を受け、トルコ軍が同日にシリア軍勢力に対して46か所を報復空爆した。2月6日の公式発表でトルコ国防省はシリア北西部イドリブ県でトルコ軍とシリアのアサド政権軍が直接交戦してトルコ軍兵士7人と民間人1人が死亡したと発表した。
シリア北西部ではシリアのアサド政権を支援するロシアとトルコが今年1月12日に停戦で合意したが、その後は停戦が履行されていない状況が続いてきた。
シリアのアサド政権軍は2月5日にシリアにとっての反体制派の拠点であるイドリブ県の要衝サラケブに進軍していたが、2月8日にシリア国営放送はシリア軍がサラケブを完全掌握したと報じた。
2月10日、シリア北東部イドリブ県でシリアのアサド政権軍による砲撃によりトルコ兵士5人が死亡、5人が負傷した。これに対しトルコ軍は同日に大規模な報復攻撃を行い、トルコ国防省によると標的115カ所を攻撃して101人を殺害したと発表した。

トルコは2月10日に首都アンカラでシリアを支援しているロシアと協議したが、その後にトルコ政府は「トルコ軍への攻撃は受け入れられず報復を継続する」との声明を発表している。
これまでのシリア紛争ではシリアとトルコの正規軍同士の大規模衝突は発生してこなかったため、シリア・トルコ国境での両軍衝突という新たな緊張局面に入ってきていると思われる。引き続き、トルコリラへのリスク材料として注視しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月3日朝安値から5日目となる2月7日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。2月6日午後高値を基準として今回の高値形成期は11日午後から13日午後にかけての間と想定されるが、2月7日深夜安値から反騰した後はレンジ縮小型の持ち合いとなっているため既に10日午後高値でサイクルトップを付けた可能性がある。
2月7日深夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、18.30円超えからは戻りを試しにかかるとみるが、18.20円以下での推移が続く場合は下向きとし、7日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして12日夜から14日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月7日深夜への急落後にレンジ縮小型の持ち合いで往来しているため遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯して方向性に欠ける。2月11日深夜高値超えからは戻り高値を試しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、7日深夜安値割れからは一段安入りとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで横ばいとなっている。60ポイントを超えれば上昇に勢いも付くと思われるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑い、7日深夜安値を割り込む場合は20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月11日夜安値18.13円を下値支持線、11日深夜高値18.28円を上値抵抗線とする。
(2)11日夜安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、11日深夜高値超えからは18.30円台序盤への上昇を想定する。18.30円以上は反落警戒とするが、18.25円以上での推移なら13日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)11日夜安値割れからは下げ再開を警戒して7日深夜安値18.08円及び2月3日朝安値18.07円試しを想定する。18.10円以下で買い戻されればその後の反騰につながる可能性もあるが、7日深夜及び3日朝安値を割り込む場合は下げがさらに加速しやすくなると警戒し、先行きは18円割れへ進みやすくなると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

2月13日
 16:00 12月鉱工業生産 前年比 (11月 5.1%)
 16:00 12月小売売上高 前月比 (11月 1.7%)
 16:00 12月小売売上高 前年比 (11月 8.5%)
2月14日
 16:00 12月経常収支 (11月 -5億1800万ドル)
2月19日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 11.25%。予想 11.00%)

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る