トルコリラ週報:『実質金利のマイナス化と中東情勢の緊迫化がリラの重石に』(2/8朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。

トルコリラ週報:『実質金利のマイナス化と中東情勢の緊迫化がリラの重石に』(2/8朝)

トルコリラ週報:『実質金利のマイナス化と中東情勢の緊迫化がリラの重石に』

今週のレビュー(2/3−2/7)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.12円で寄り付いた後、@新型肺炎を巡るリスク回避ムード(春節明けの中国金融市場を巡る警戒感)を背景に、早々に安値18.10円まで軟化しました。しかし、先週末金曜日に記録した直近安値18.09円を前に下げ渋ると、A中国当局による積極的なリバースレポ金利の引き下げや流動性供給を受けてリスク警戒ムードが和らいだこと(アク抜け感)や、B新型肺炎のワクチン開発に大きな前進があったとの一部報道、C上記ABを受けて株高→クロス円上昇→トルコ円上昇の流れが加速したこと等が支援材料となり、週後半にかけては、1/29以来、約10日ぶり高値18.39円まで反発しました。もっとも、Dエルドアン・トルコ大統領による「シリア政権軍が2月末迄にトルコ軍の監視地域から撤退することを望む。撤退しない場合は、トルコ軍は行動する」との発言や、E週末のロシアートルコ会合を巡る警戒感、F週末特有のポジション調整(週末の新型コロナウィルスに絡むヘッドラインリスクを回避する目的でロングポジションを解消する動き)が重石となると、週末にかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、18.23円近辺で推移しております。

来週の見通し(2/10−2/14)

トルコリラの対円相場は、1/16に記録した約5週間ぶり高値18.85円をトップに反落に転じると、先月末(1/31)にかけて、約3週間ぶり安値18.09円まで急落しました。この間、200日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲上限および下限を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く意識させるチャート形状となっております(足元やや持ち直すも戻りは鈍い)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(※アルバイラク・トルコ財務相は「中銀、国営銀、民間銀は積極的に協調し、今後も金融の安定化に取り組む」と発言するなど、介入姿勢の継続を示唆)、Bトルコ中銀による連続利下げを通じた実質金利のマイナス転(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けてトルコの実質金利は既にマイナス転。今週発表されたトルコ1月消費者物価指数・生産者物価指数も市場予想を上回る結果に)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイド、リビア派兵を巡る、米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したリスク回避ムードなど、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ中銀による5会合連続の利下げ(※直近5会合で計12.75%もの利下げ幅)を受けて、実質金利(名目金利-インフレ率)は既にマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を受けた「トルコ離れ(トルコSell)」が警戒されます。来週はトルコ経済指標(トルコ雇用統計や鉱工業生産、経常収支など)や、中国金融市場の動向、新型コロナウィルスに絡む続報、シリアを巡る地政学的リスクを睨みながらも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(特に経常赤字の拡大が示されればリラ売りが加速する可能性あり)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):17.95ー18.45

トルコリラ週報:『実質金利のマイナス化と中東情勢の緊迫化がリラの重石に』

トルコリラ円日足

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