ユーロ週報 ユーロドルはもみあい、ユーロ円はドル円の動きと同じ(週報1月第2週)

テクニカルにも今一つ冴えないため、今週も基本的にもみあいを考えることとなりそうです

ユーロ週報 ユーロドルはもみあい、ユーロ円はドル円の動きと同じ(週報1月第2週)

ユーロドルはもみあい、ユーロ円はドル円の動きと同じ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週は米国とイランの対立激化懸念が急速に広がり、リスクオフの動きが月曜朝と水曜朝に見られドル円とともにユーロ円でも円高の動きとなりましたが、その後は急速にリスクオフの巻き返しから更には強いリスクオンへと動いたことで、ユーロ円は上昇とユーロ円のチャートとドル円の動きはほぼ同様のものとなりました。

ユーロドルはもみあい、ユーロ円はドル円の動きと同じ

またドル円のドルの動きを考えると、水曜にいったんドル売りが強まりましたが、水曜前場を除くと週明け早朝からドルがほぼ一貫して強い動きとなり、このドルの動きはユーロドルでもユーロ売りとして見られました。つまり、大きな流れはドル高となっているのですが、ドル円の一週間の値幅が2円を超えたのに対して、ユーロドルはその半分強の値幅に留まっています。

まだ今年は始まったばかりですが、どうも昨年のようにドル円は大きな動きに繋がらず、ユーロドルはさらに値幅が狭くなるのではないかと思わせた一週間でした。

さて、今週は欧州各国からは経済指標やECB総裁や理事の講演と、連日それなりに材料はあるのですが、方向性を決めるほどの材料とも言えません。日々の経済指標はよほどコンセンサスから外れなければ振れることはないでしょうし、ECBも当面は現在の包括的な緩和策を続けるでしょうから現状維持の姿勢以外は考えにくいところです。

また、先週は英国議会でEUからの離脱関連法案が9日に可決され、これで正式に1月末のEUからの離脱が決まったこととなります。同日にカーニー英中銀総裁は次回以降のMPC(英中銀会合)において緩和の可能性を示し、それがポンド売りにつながりましたが、全体的なドル高の動きの中ではポンドの下げもそれほど目立ったものではありませんでした。

しかし、12月末までの移行期間の間に果たしてすべてのEUとの間の協議をまとめることが出来るのかとなるとジョンソン首相はやるとは言っているものの、EU側はとても時間が足りないと言っていることから、今後の協議の進展具合によっては昨年懸念された実質的な合意無し離脱に近い状況に追い込まれる可能性は低くありません。緩和思惑とともにポンドの上値が重たくなりやすい地合いもユーロの上値を抑えやすそうです。

あとは欧州通貨安(ドル高)の動きが、今後の米国とEUとの間で行われる通商協議において通貨安誘導だとトランプ大統領が非難する可能性もあり、そのこともまた今年のユーロが昨年に続いて動きが鈍くなるのではないかと思わせる要因のひとつです。

少なくとも今週のところはあまり動かなそうですから、テクニカルな観点からチャートを見てみましょう。

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上下に見えるピンクの太線はそれぞれ2019年高値から引いたレジスタンスラインと2019年安値から引いたサポートラインであるのは先週と同じです。また12月安値と高値からの短期的なサポートとレジスタンスをピンクの細線で引いてあります。短期的にはすぐにもどちらに抜けてもおかしくはありませんが、それでも長期的には収束している両ラインを明確に抜けるまでは方向感が出にくい中で、昨年10月以降の緩やかなユーロ高トレンドがいつまで続くのかを見極めたいチャートとなっています。

テクニカルにも今一つ冴えないため、今週も基本的にもみあいを考えることとなりそうですから、1.1070レベルをサポートに1.1170レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週ユーロ円の日足チャートを見てみましょう。

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ユーロ円のチャートは先週水曜にドル円が下げた際に一緒になって下げたことから、サポートラインを昨年9月安値と先週安値を結んだラインに微妙に変えています。このラインと上側のラインとで形成される緩やかな上昇ウェッジの動きの中で、昨年12月高値からの短期レジスタンスライン(ピンクの細線)が上値を抑えるかどうかという動きです。

ドル円は一時的に110円の大台を試しそうですから、その時はこのレジスタンスを上抜けてくるでしょうし、ドル円の109円台後半が思いのほか重たいとなると、このレジスタンスを抜けても上ヒゲ程度に留まることとなるでしょう。ユーロ円もしばらくはドル円の動きを見ながらの状態が続きそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月13日(月)
**:** 東京市場休場
16:00 ドイツ12月PPI
18:30 英国11月貿易収支

1月14日(火)
17:30 メルシュECB理事講演

1月15日(水)
16:45 フランス12月CPI
18:30 英国12月CPI・PPI
19:00 ユーロ圏11月貿易収支、鉱工業生産
28:00 ベージュブック

1月16日(木)
16:00 ドイツ12月CPI
21:30 ECB理事会議事要旨公表
27:00 ラガルドECB総裁講演

1月17日(金)
18:00 ユーロ圏11月経常収支
18:30 英国12月小売売上高
19:00 ユーロ圏12月CPI
19:00 ユーロ圏11月建設支出

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前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月6日(月)
中東情勢緊迫化の影響も見られず、ユーロドルは東京市場では全く動きが見られませんでした。欧州市場に入り発表された欧州の経済指標が強かったことを受けユーロが上昇、前週金曜高値を上抜けると先週後半に売った向きのストップも巻き込みながら一段高となり1.12台を回復。NY市場ではドル買いから来るユーロ売りの動きとユーロ円の買い戻しに挟まれ横方向へのもみあいのまま引けました。

1月7日(火)
 米国とイランの対立激化が無かった安心感から円相場はもみあい、ユーロドルも東京市場から上値の重たい印象でしたが目立った動きは出ませんでした。NY市場に入りドル円同様にドル買いの動きからユーロはやや下げての引けとなりました。

1月8日(水)
 イランの反撃で急速な円高とその後の巻き返しの動きがユーロ円でも見られたことから、ユーロドルは基本的にユーロ円の下げと、その後のユーロ円の買い戻しが目立ちました。そうした動きの中で、最終的にはドル買いの動きとなってユーロ売りが続くこととなりましたが、ユーロ円とドルの動きが相殺しあったことで値幅は限定的でした。

1月9日(木)
ユーロドルは前日に続くリスクオンの動きから、ユーロ円の買いとドルの動きとしてのユーロ売りがぶつかり1.11台前半でのもみあいを続けました。ユーロ円はドル円とともに上昇を続け121.68レベルの高値をつけた後も底堅い地合いのままで引けました。

1月10日(金)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入りポンドの売りに引っ張られてやや水準を下げる動きが先行しました。NY市場に入り雇用統計をきっかけにドル売りの影響から元の水準へと買い戻され、その後は実需の買いも加わって1.1129レベルまで上昇、引けにかけてはやや押しての週末クローズとなりました。

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