トルコリラ円見通し 週末で下げ一服だが戻りは鈍く、対ドルでのリラ安続く(19/12/24)

夕刻高値18.44円まで若干戻した程度で戻りは鈍く、24日早朝には18.35円まで下げて20日未明安値割れへの余裕が乏しくなっている。

トルコリラ円見通し 週末で下げ一服だが戻りは鈍く、対ドルでのリラ安続く(19/12/24)

【概況】

トルコリラ円は10月後半からの持ち合い下限であった11月15日未明安値18.77円を12月7日未明に割り込んで持ち合い下放れとなり12月10日には18.64円まで続落した。12月13日夜高値18.95円までいったん戻したものの、12月13日から12月20日までは5日連続の日足陰線で一段安となり、12月20日未明にはドル/トルコリラでのドル高リラ安に加えてドル円が109.15円まで急落したことが重なって18.33円まで安値を切り下げた。その後は大幅下落に対する突っ込み警戒感とドル円がやや持ち直したことで12月20日夜には18.48円まで戻したが、週明けの12月23日は朝安値で18.37円まで反落してから夕刻高値18.44円まで若干戻した程度で戻りは鈍く、24日早朝には18.35円まで下げて20日未明安値割れへの余裕が乏しくなっている。

【シリア情勢にきな臭さ】

一時はシリア情勢の緊張やロシア製兵器購入による米国との対立や経済制裁等の地政学的リスクが意識される状況もあったが、現状はひとまず落ち着いている。しかし12月16日以降は再びシリア北西部イドリブ県で戦闘が激化してシリア難民数万人がトルコ領域へ避難を開始していると報じられており再び緊張感が高まる気配もある。

エルドアン大朝両はトルコだけでは難民を受け入れられないと表明しているが、12月23日にはトルコ代表団がロシアを訪問してシリア情勢等について協議している。トルコはシリアのアサド政府軍と対峙しており、アサド軍はロシアに支援されている。そのロシアとトルコはロシア製兵器の購入やガスパイプライン等で協力関係にある一方でトルコはNATOでもある。中東で絶妙で緊張感のあるバランスを保っている状況だが、常に地政学的リスクの拡大感を市場が意識しても不思議ではない状況にはあるだろう。

サウジアラビア人ジャーナリストのカショギ氏がトルコのサウジ領事館で殺害された事件に関してサウジアラビアで行われた裁判では5人に死刑、3人に合計24年間の禁錮刑の判決が下された。トルコ外務省のアクソイ報道官はこの判決に対して「この殺人事件が全面的に解明され、正義が貫かれるようにと望んだ我が国と国際社会にとって大いに期待外れ」と批判している。ただちにトルコとサウジに緊張が走るものではないが、中東の政治バランスに暗雲をもたらすものとして注意したい。

【対ドルでのリラ安が進む】

トルコ中銀は12月12日に4会合連続での大幅利下げを決定し、エルドアン大統領はさらに政策金利もインフレ率も一桁を目指すと公言している。一方で米連銀は今年3度の利下げにより当面は利下げを打ち止めとして様子見を続ける姿勢を示した。両者の金融政策スタンスの相違によりドル/トルコリラではドル高リラ安へ傾斜しやすい状況にある。
ドル/トルコリラは12月13日から12月19日まで5日連続の陽線でドル高リラ安が進行し、今年10月15日高値を突破して5月以来の高値水準となった。12月20日は上げ一服だったが23日はさらに高値を5.9564リラまで切り上げている。10月15日の高値を超えたことにより、チャート上の上値目処は5月9日高値6.2465リラまで切り上がってきている印象だ。

このドル高リラ安がトルコリラ円での下落感を強めているため、ドル円が小動きに止まればドル高リラ安に押されてトルコリラ円は一段安しやすく、リスク回避材料からドル円でも円高となれば、対ドルでのリラ安に円高による売り圧力も重なってくる。こうした動きが10月からの持ち合いを下放れさせ、さらに続落基調となっている背景だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月20日未明安値で直近のサイクルボトムをつけた。その後は新たな底割れに至っていないものの20日夜高値からジリ安推移のため、既にサイクルトップをつけて新たな弱気サイクル入りしている可能性がある。
12月20日未明安値を割り込む場合は次のボトム形成期となる25日から27日朝にかけての間への下落を想定する。ただし底割れを回避して20日夜高値を上抜く場合は20日未明と24日朝の両安値をダブル底として強気サイクル入りする可能性も多少あると思われる。

60分足の一目均衡表では12月20日夜への反発で遅行スパンが一旦好転したものの、その後の下落で再び悪化している。20日夜及び23日午後の高値は先行スパンが抵抗となっている。先行スパンを上抜き返せない内は一段安警戒とし、遅行スパン悪化中は安値試し優先と考えるが、先行スパンを上抜き返す場合はダブル底形成からの反騰入りとなる可能性が出てくるため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月20日未明安値18.33円を下値支持線、12月23日午後高値18.44円を上値抵抗線とみておく。
(2)23日午後高値を下回る内は下向きとし、20日未明安値割れからは18.20円前後への下落を想定する。18.20円以下は反発注意とみるが、20日未明安値を割り込んだ後も18.34円以下での推移なら25日以降も安値試しを続けやすいとみる。
(3)12月23日午後高値を上抜く場合は20日夜高値18.48円試しを想定する。20日夜高値を超えずに18.40円割れへ失速する場合は下げ再開とみるが、20日夜高値を超える場合は20日未明と23日朝の両安値をダブル底とした反発期とみて18.55円前後への上昇を想定する。ただしその場合も10月後半からの持ち合いから転落した流れ、及び概ね4か月前後の底打ちサイクルにおける底形成の下落期は継続してゆくのではないかと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月26日
16:00 12月景況感 (11月 102.00)
16:00 12月設備稼働率 (11月 77.2%)

12月30日
16:00 12月経済信頼感 (11月 91.3)

12月31日
16:00 11月貿易収支(10月 -18.1億ドル)

1月02日
16:00 12月のイスタンブール製造業PMI(11月 49.5)

1月03日 12月消費者物価 前年比 (11月 10.56%)
     12月消費者物価 前月比 (11月 0.38%)

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