ユーロ週報「今週も新安値をトライしやすい展開」(7月第5週)

先週のユーロドルは週初からECB理事会においてフォワードガイダンスも含めて何らかの緩和政策が示されるのではないかとの思惑からユーロ売りが目立ちました。

ユーロ週報「今週も新安値をトライしやすい展開」(7月第5週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週初からECB理事会においてフォワードガイダンスも含めて何らかの緩和政策が示されるのではないかとの思惑からユーロ売りが目立ちました。また、英国では新首相に前外相のジョンソン氏が就任しましたが、同氏は合意の有無に関係なく10月末にEUから離脱するとのスタンスを示しているため、ハードブレグジット懸念によるポンド売りもユーロの上値を抑える展開となっています。

ただ、ECB理事会では今回の理事会では利下げの検討をしなかったとのドラギ総裁の発言で一時的に買い戻しが強まりましたが、欧州経済が良いとは言えないことや、ブレグジット問題や今週の利下げがほぼ確定している米国の動き等、次回9月のECB理事会ではよほど状況が好転しない限り、緩和策が検討されるであろうことから、週末には再びユーロ売りが目立つ動きへと流れが戻っています。

ECB理事会が終わり、今週は最大の注目材料であるFOMCがありますが、利下げ織り込み度は100%であり、しかもその8割が0.25%の利下げを想定していることから、実際の結果もおそらくその通りとなる可能性がかなり高いと考えざるを得ません。そうした点では、今回のFOMCが終わると9月のFOMCで追加利下げがあるのか、またECB理事会でも再度緩和に動くのかと9月に向けての思惑がテーマとなってきます。さらに英中銀MPCも木曜にありますが、ハードブレグジット懸念が高まっている現状に対して、英中銀が今までよりもハト派寄りのコメントを出すのかどうかも注目しておいてよいでしょう。

他にも連日経済指標の発表がありますが、金融政策的に緩和的なバイアスがかかりやすい状況下、経済指標も弱い数字により反応しやすくなると考えられます。また予定はされていなくてもジョンソン新首相の発言には注意が必要です。週末には「EU離脱はとてつもなく大きな経済好機だ」と、離脱強硬派を印象付ける発言をしていますし、ポンドもユーロの上値を抑える大きな要因となってきそうです。

そして金曜の米国雇用統計は一時的な影響が見られる程度で、もはや重要な経済指標という位置づけではありません。欧州関連でも特段目立った材料が無い中でテクニカルな材料もまた重要となってくるでしょう。
今週はまず週足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

昨年後半以降は緩やかに下げてきているものの動き自体は非常に穏やかです。ただ長期的には2008年からの大きな下降トレンドの中で、現状はピンクの下降ウェッジの中での動きを続け、大きなターゲットとして2017年安値と2018年高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0815を目指しているというのが大きな見通しです。

次にいつもの日足チャートです。

今週の週間見通しと予想レンジ 2枚目の画像

さすがに下降ウェッジ(ピンク)は大きすぎるので6月高値からの平行下降チャンネル(青)を引いてみました。1.12を明確に下抜いたことで現在の戻りの限界点は1.12を考えますが、下値としては既に年初来安値を下抜いたことで、大きくは1.10の大台ということになります。当面は1.10〜1.12の中での動きを想定し、今週はその中で1.1050レベルをサポートに1.1180レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

先週はドル円の動きにユーロ円の値動きが与えた影響が大きかったので、今週はユーロ円のチャートを見ることとします。ユーロ円日足チャートです。

今週のコラム

ユーロ円は、5月後半以降はトライアングルの中での推移となっていましたが、先々週後半にサポートラインを下抜けユーロ安方向への動きが確定と考えられるチャートです。先週のECB理事会後の上げでは抜けたサポートがレジスタンスとなり上値を抑えられたことが、ちょうど良いガス抜きになったと考えることができます。

つまり、現在のユーロ円は再び下降トレンドへと回帰しやすく、青の下降ウェッジで示した中で緩やかに下げやすいと見ることができます。ドル円、ユーロドル、ユーロ円、それぞれスピードやタイミングは異なっても下方向に向かいやすいということは言えるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

7月22日(月)
(特になし)


7月30日(火)
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値
15:00 ドイツ8月GFK消費者信頼感
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
21:00 ドイツ7月CPI速報値

7月31日(水)
08:01 英国7月GFK消費者信頼感
15:00 ドイツ6月小売売上高
15:45 フランス7月CPI
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値
18:00 ユーロ圏6月失業率
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見

8月1日(木)
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
20:00 英中銀MPC結果公表、四半期インフレ報告
20:30 カーニー英中銀総裁会見


8月2日(金)
17:30 英国7月建設業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI、小売売上高
21:30 米国6月貿易収支
21:30 米国7月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。


先週の概況

7月22日(月)
ユーロドルだけでなく主要通貨は全般に小動きの一日となりました。ユーロドルは1.1210/15レベルを中心として終日のレンジもわずか21pipsに留まり静かな一日のまま終わりました。


7月23日(火)
ユーロドルは、ECB理事会で何らかの追加緩和が示されるとの思惑が強く、他に目立った材料が無い中、終日ユーロ売りの動きとなりました。NY市場ではドル買い材料もまたユーロ売りの支援材料となりました。また、英国では保守党党員による投票でジョンソン氏が新党首に就任しましたが、前週末からのハードブレグジット懸念によるポンド売りが続きました。


7月24日(水)
ユーロドルは、欧州市場序盤に弱い欧州の経済指標に反応して売りが入り、一時1.1126レベルをつけたもののECB理事会を前に後が続かず、終日狭い値幅でのもみあいとなりました。また英国では前日に保守党党首となったジョンソン前外相が新首相となり、ハードブレグジット思惑が強かったのですが、ポンドドルは事実で買い戻しパターンとなっていました。

7月25日(木)
ユーロドルはECB理事会を前に上値の重たい展開が続きました。理事会では現状維持との結果から買いが先行したものの、その後は緩和を示す文言が並びユーロドルは一時年初来安値を割り込みました。しかしドラギ総裁会見では今回の理事会では利下げを検討しなかったことが示され、ユーロは対ドル対円とも急速に買い戻される動きとなりました。ユーロドルはドル買いも出たことから引けにかけてはほぼ東京朝方の水準に戻しての引けとなりました。


7月26日(金)
ユーロドルは、東京市場では同意薄でしたが欧州市場に入ると前日のECB理事会における次回以降の緩和思惑が再燃し、前日に買い戻しが強かったことも重なって、週末前に改めてユーロ売りが強まる展開となりました。ポンド売りの再燃とNY市場におけるドル買いヘッドラインもユーロの上値を抑え、1.1112レベルまで水準を切り下げ、安値圏での週末クローズとなりました。

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