ユーロ 今週は1.13の大台トライか(週報11月第2週)

先週のユーロドルは、米国の中間選挙とFOMCという2大イベントが終わり、改めて欧州の悪材料に注目が戻り始めた週となりました。

ユーロ 今週は1.13の大台トライか(週報11月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、米国の中間選挙とFOMCという2大イベントが終わり、改めて欧州の悪材料に注目が戻り始めた週となりました。あまりに続きすぎている材料で見飽きた感じもありますが、英国では北アイルランドのDUPがメイ首相に対して非難したことを、またブレグジット関して開かれる予定だった閣議が延期されたことなど、どう見ても何も進展が無いどころか逆にハードブレグジットの可能性が高まっているのではないかと考えざるをえないようなニュースばかりです。

金曜には閣僚のひとりであるジョン・ジョンソン氏(ボリス・ジョンソン氏の弟)が国民投票のやり直しを求めて辞任するというニュースが入り、週明けのポンドはギャップダウンして始まっていますが、このままでは今後もブレグジットに関しての良いニュースはあまり期待できずに、ユーロにとっても悪材料の地位は変化しそうもありません。

もうひとつは、明日13日に予算案の再提出期限が迫っているイタリアが沈黙を守っていることでしょうか。当初は見直す様子が見られませんでしたが、期日を前に何らかの修正案を示すつもりでいるのかどうか、もし現状のEU規律違反のままですとEUによる制裁も現実のものとなってきます。現実的には多少の修正をしつつ、来年度には規律を守るという約束を付するといったあたりかと思いますが、こちらもあまり期待はできないような印象です。

ドイツのCDU党首選といった政局はまだ先のテーマなので、現状はブレグジットとイタリア予算案という2つの見慣れたテーマが今週も注目点と言えるでしょう。

そうした中で現在のユーロは1.13台前半とかなりクリティカルな水準に来ていますので、今週はテクニカルな分析をメインテーマにします。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドル日足

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

まず、ピンクの太い水平線が1.1300ですが、ここにはバリアオプションがあると言われ、近づくと防戦買いで反発しています。しかし、このようなオプションは最終的には抜ける運命にあり8月と10月に続いて11月は3度目の正直で、この1.13を下抜ける可能性が今週にもあるのではないかと考えています。

その場合、直近の10月中旬の戻り高値を起点とした逆N波動でフィボナッチエクスパンションを考えると、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが1.1249と1.12台半ばに位置していることがわかります。1.13を抜け、いったん走った後に1.12台半ばで下げ止まり、ドル円週報に書いたドルが33年ぶりの高値ということに改めて目が行きドルが下落(=ユーロが反発)といったシナリオを考えています。

果たしてどうなるか、個人的には今週は1.1225レベルをサポートに1.1400レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ 2枚目の画像

10月安値から急反転したポンドドルは11月に入り上値トライを終わり、再び下降に転じてきました。ピンクのレジスタンスラインは6月高値から引いてきたラインですが、現状は同ラインが上値抵抗線となっています。参考にサポートも8月安値から引いていますが、ユーロドルが下値をトライする可能性があるとなると、ポンドがどこまで下げるのかを考えてみます。

ポンドの場合は、まだ安値も切り上げていますので、10月安値と11月高値によるフィボナッチの押しが現実的です。そこから計算すると半値押しが1.2935、61.8%押しが1.2879となっていますが、どちらかというと後者の1.29割れという水準が可能性が高いと思われます。今週はユーロドルがリードする全体的な欧州通貨安の可能性に気を付けたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月12日(月)
**:** 米国市場休場
18:00 デギンドスECB副総裁講演

11月13日(火)
16:00 ドイツ10月CPI改定値
18:30 英国10月失業率
19:00 ドイツ11月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏11月ZEW景況感

11月14日(水)
16:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値
16:45 フランス10月CPI改定値
18:30 英国10月CPI、PPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP改定値

11月15日(木)
18:30 英国10月小売売上高
19:00 ユーロ圏9月貿易収支

11月16日(金)
16:00 ドイツ10月PPI
17:30 ドラギECB総裁講演
19:00 ユーロ圏10月CPI改定値

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

11月5日(月)
ユーロドルは東京市場は動かず欧州時間に売りが先行したものの買い戻されと、中間選挙を前にして市場参加者は様子見を決め込んでいる様子でした。背景としてはEUがイタリアが予算案を修正しない場合に制裁を科すとのニュースで売られ、その後否定されて買い戻しという動きでしたが、選挙前の影響が大きかったようでした。

11月6日(火)
中間選挙投票日、また大勢判明は翌日東京昼頃となることから様子見が継続、ユーロドルは、終日動意薄の展開となりました。欧州市場でドル円とともにユーロ円での売りが出たことから一時的に押す場面も見られましたがすぐに元の水準へと戻し、もみあいのまま引けました。

11月7日(水)
米国中間選挙の開票速報で振れやすい展開からスタートしました。ユーロドルは基本的にドル円のドルの動きに追随する格好で、東京市場ではユーロ買い、海外市場ではユーロ売りとなりました。大きなイベントが経過したことで、ユーロは改めて悪材料に目が行きやすくなった一日という印象でした。

11月8日(木)
ユーロドルはNY市場までは上値は重たいもののほとんど動意の無い状態を続けましたが、欧州市場でEUがイタリアの財政状況悪化予測に言及したこともあって、着実に上値は重たくなっていきました。ドル円同様にNYの昼頃に対ドル、対円で売りが入り、引けにかけてはストップオーダーも巻き込みながら1.13台半ばへと下押しして引けました。

11月9日(金)
ユーロドルは、ドル円同様にユーロ円での売りが目立ち東京市場ではじり安、海外市場に移ってからはブレグジットに関して北アイルランドの閣外協力している政党DUPからメイ首相に対する非難が出たり、今週13日火曜に迫るイタリアの予算案再提出期限を前にイタリア側からの動きが無かったりと、使い古されている感もある悪材料が重石となり1.1317レベルまで下げ、やや戻しての週末クローズとなりました。

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