ユーロ「レンジ」割れ 米長期金利は7年ぶり高水準
4日の東京市場でユーロドルは安値圏で横ばい推移。
連日イタリアの財政赤字問題で下げてきたユーロでしたが、昨日東京時間には、イタリア政府内で妥協案が検討されているとの報道にやや見通しが好転し、1.15割れを回避して1.16近辺まで反発しました。
しかし、海外時間に入りユーロが伸び悩むとともに、ADP雇用統計、ISM非製造業指数等の米指標が予想外の好調な数字を示すと米長期金利が上昇、ユーロは再び1.15に接近。
そして東京時間未明、パウエルFRB議長が講演で米景気の順調さと長期継続の見通しを繰り返したのに加え、「最終的には中立的な金利水準を超えるところまで金利を引き上げるかもしれない」と言及、これに市場は反応し、米10年もの国債利回りは約7年ぶりの水準である3.18%に達しました。金利差拡大にユーロドルは当面のレンジの下限と目されていた1.15を割り込んで東京時間を迎えました。
本日東京時間には米10年もの国債利回りが更に上昇、一時3.23%をつけて東京時間17:30現在も3.22%と高止まりしています。一方でユーロドルは東京時間にはじり安推移して1.1464の安値をつけたものの、夕刻欧州勢参入後はやや戻し1.4台後半で方向感探りとなり、時折1.15を試す動きです。
このところ精力的に講演を行っていたパウエル議長でしたが、先週FOMCを終了したばかりということもありここまであまり目新しい内容がなかったところへ、今朝の「中立金利を超えて利上げをする」というコメントは、久々に「市場参加者のファンダメンタルズ」の根幹である金利見通しにヒットしました。
8月にユーロドルが一旦1.15を割り込んだ際の材料は、トルコの政策不透明感とトルコリラの急落というどちらかといえばマイナーで一過性のものであったのに比べ、今回のユーロの下落は、パウエル議長の真意はともかく、ドル金利の見通しの修正という為替市場にとって最も不可逆の地殻変動に起因するものであり、8月のように急激な動きではなくとも、ユーロドルのレンジを下方にシフトさせた可能性が高いものと思われます。その意味で明日の雇用統計とともに、今後のFRB関係者の本件に関わるコメントにも十分注意が必要です。
尚、米債券の下落に本日は日欧の債券も連れ安となっており、ユーロ金利の上昇がユーロドルを下支えし、序盤の欧州株を押し下げる動きともなっています。ただ、日欧の金利上昇はあくまで副次的なものであり、継続は見込めないことから、ユーロの戻りも限定的なものと思われます。
上値目処はこれまでのレンジ下限1.15、および昨日結局維持できなかった一目均衡表の雲の下限1.1546あたり、下方向は8月安値1.1301を意識せざるを得ないでしょう。
本日この後米国では21:30に新規失業保険申請件数、23:00に8月の製造業受注および耐久財受注の発表があります。
ユーロドル日足
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