トルコリラ円レポート月曜版(18/8/13)

レンジは、安値が16.15レベル、高値が21.84レベルと、とんでもない暴落週間を見ることとなりました。

トルコリラ円レポート月曜版(18/8/13)

トルコリラ円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は下降トレンド継続を考え「22.00レベルをレジスタンスに、21.00レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が16.15レベル、高値が21.84レベルと、とんでもない暴落週間を見ることとなりました。

先週は、週初から上値が重たい展開を続けていたものの水曜までは目立った動きはありませんでした。木曜の東京後場に月曜の安値を下抜け史上最安値を更新し始めたあたりから様子がおかしくなり、トルコリラ円を筆頭にクロス円全般で売られる動きが始まりました。そして金曜に入るとECBが欧州の銀行でトルコの資産を持っていることに対する懸念を示すと、最初に売りが入ったのはユーロです。

そして、ユーロの売りがトルコリラの売りへと戻り、トルコリラは対ドル、対円で急落することとなりました。更にトルコリラの売りに拍車をかけたのが、米国のトルコに対する制裁です。トルコでは米国人牧師が軟禁されていますが、米国側は同牧師の完全な開放を求めトルコの鉄鋼とアルミの関税を更に倍にする決定を下しました。トルコから米国への鉄鋼輸出は国別では第6位とそれなりの輸出量があります。

この決定を受け、トルコの鉄鋼会社の株は軒並み急落、そしてトルコリラはそれまでの下げを更に加速する暴落相場となりました。トルコリラの先週の値動きは以下のように対ドル、対円ともに通常の通貨としてはあり得ないほどの下げ幅を記録しています。

トルコリラ円レポート月曜版

変動相場制移行後に最大の下げ幅を記録したのは2015年1月のスイスフランショックですが、普通にFX業者で取引できる通貨ペアの値動きとしてはそれに次ぐほどの暴落ぶりと言ってよいと思います。今年1月から考えるとトルコリラ円は1月高値が30.30でしたから、既に46.7%ものトルコリラ安となっていて、これはアルゼンチンペソの1月18.304から29.355までの下げ37.6%をも上回っています。

あれだけアルゼンチンペソの急落とそれに対する利上げが凄まじかったことを考えると、先週のトルコリラ円の凄まじさが感じられます。トルコリラがここまで安くなったことでトルコの輸入物価は大幅に上昇し、トルコ中銀としては緊急利上げが必要な状態に追い込まれたと考えられますが、エルドアン大統領は昨日の演説で「自分が生きている限り金利の罠には落ちない」と政策金利の引き上げに否定的な考えを述べました。

今後のエルドアン大統領の対米政策、また国内の経済運営に対して当然のようにマーケット参加者はトルコリラ売りで反応し、週明けのトルコリラは早朝から続落、対ドルで7.1072、対円で15.42と史上最安値を更新してのスタートを切りました。今週もすべてはエルドアン大統領次第の面はありますが、トルコに対する投資は欧州を中心に急速に引き上げられる流れは続きそうです。

また、本邦個人投資家のトルコリラ円のポジションにも大きな変化が見られています。こちらは東京金融取引所が日々発表している建玉ですが、先週初の段階では前回急落時から徐々に買いが増え30万枚を超えるトルコリラ買いのポジションとなっていました。それが金曜一日で一気に21.6万枚へと急減していますが、これはトルコリラ急落に伴う強制決済によるものです。1日で3割弱のポジションが減ってしまったという、こちらも凄まじい状況でしたが、どのFX業者でも似たような状況であったと思われます。

このFX羅針盤が始まった2016年1月に、編集人K氏が以下のようなコメントを書いています。

「高金利通貨は目をつぶってでも売らなければならない局面がある」

これがこのサイトのそもそもの発想です。


金利が高いからといって安易に買いポジションを持ち続けることは、インターバンクディーラならば絶対にしない行動です。この言葉は常に思い出すべき言葉でしょう。

現在のトルコリラはまだ嵐の中にいますので、チャートから現状と今後について大まかな見通しを立てましょう。

今回は月足チャートをご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版 2枚目の画像

これまでも新値を計算する時に使っていた月足ですが、2014年高値から2017年安値への下げ、同年の戻しを3点とした逆N波動です。これまでは、この逆N波動のフィボナッチエクスパンションから50%エクスパンションの19.91(=20円の大台)、そしてその次の61.8%エクスパンション16.97として17円前後という2つの大きな水準を考えていましたが、わずか1日でどちらも下抜ける結果となりました。

新興国通貨が暴落する時の動きというのは、流動性が少ないためにこのような動きをすることがあります。かつてのアジア通貨危機(1997〜1998年)の時は、ここまで急激な動きでは無かったものの息が長い新興国通貨売りであったともいえ、4分の1くらいまで価値が減った通貨もありました。それから考えるとトルコリラ円の年初の30円の4分の1にあたる7.5円という水準もあり得ない水準では無いのかもしれません。

フィボナッチエクスパンションの次のターゲットとしては78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションの12.78、100%エクスパンションは7.45と不気味な水準が出ています。長期的には何があってもおかしくない、ということだけは認識していたほうがよいでしょう。

今週は、予想を立てるのも困難ですが、19.00をレジスタンスに15.00をサポートとする週を見ておきます。

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