日銀長期金利市場に「市場介入」金利上昇を抑制
日本銀行は本日午後12時半に10年物国債を0.11%の指値で無制限で買い入れるオペレーションを行いました。
最近の景気の上向き判断と、トランプ大統領の円安誘導(=大規模金融緩和のロジック)批判に10年物金利は前日一時0.10%を突破、債券市場では本日10時の定例の買いオペに注目が集まっていました。
本日10時の買いオペでは5年超10年以下の買い入れ額を400億増加させ4500億円としましたが、目処とされていた金額より400億円多かったものの、前回のオペ金額と同額だったことから失望感が広がり、昼前には10年物金利は0.15%にまで上昇していました。
為替市場も非常に珍しいことながらオペと長期金利の動向に乱高下、400億の増額で一瞬は113円台を回復したものの債券市場の失望感と金利の上昇にすぐに円高となり、一時112.51をつけました。
しかし、10年物に指値オペが入ると金利は0.1%に低下。ドル円も113.23まで急反発、その後も113円台前半を中心の動きとなっています。
日銀が長期の市場に指値介入をした例はなく、前回初めて中期で行った指値買い入れも実勢値以上の水準での見せ玉で、応札はありませんでした。
日銀は昨秋金利市場のイールドカーブコントロールを目標に据えてから壮大な実験を行っているようなものですが、今回長期金利市場への実弾介入という未知の次元へ足を踏み入れた形です。
ただし、少なくとも為替市場において無制限介入の類が最終的に成功したケースはほとんどなく、今回の長期金利への無制限介入も午前中のオペレーションの、遡れば先日の一部期間でのオペレーションスキップあたりから生じた市場との不協和音の失地を取り返すべく追い込まれて行った印象も強く、この早い段階で「伝家の宝刀」である実弾介入を行ったことが今後の運営にどのような影響をもたらすのかは非常に注目されるところです。
一方で、日本の金融緩和は為替の誘導を目的とはしていないとの前提はあるものの、来週の日米首脳会談に日本の円安誘導に対する是正要求を持ち出される可能性が非常に高い状況下で、日銀が金利市場に直接働きかける無制限介入を行いかつ為替が円安に反応したことは、会談に臨む安倍首相を死地に送り出す形ともなりかねないと言えます。
日経平均は円高の一服と金利上昇の抑制に小幅反発、3円高の18,918円で終了しています。
今晩は22:30に雇用統計、連日トランプ大統領に振り回される現在の金融市場にはいつもほどの影響はないともいえますが、先日のFOMCのややハト派的とも取られた内容を覆すのかそれともさらに肯定することになるのかはやはり気になるところです。今晩は深夜0:00にもISM非製造業指数、製造業受注、耐久財受注などの指標の発表があり併せて注目されます。
欧州株価指数序盤はおおむね堅調に推移。
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