トルコリラ円週報:『安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。ドル円とのシンクロ相場が続く見通し』(12/14朝)

トルコリラの対円相場は、12/3に記録した約2ヵ月ぶり安値4.27円(10/4以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週末にかけて、一時4.39円まで上昇しました。

トルコリラ円週報:『安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。ドル円とのシンクロ相場が続く見通し』(12/14朝)

『安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。ドル円とのシンクロ相場が続く見通し』

〇今週のトルコ円、週初の安値4.29から週末にかけ週間高値4.39まで上昇
〇日銀年内追加利上げ観測後退からのドル円急伸等が背景
〇日足ローソク足が主要テクニカルポイント(90日線や一目均衡表転換線)を上抜け、地合い回復
〇持ち直しはあくまでドル円上昇に連動した「連れ高」要因によるもの
〇トルコ経済の先行き不透明感、トルコ中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測等もトルコ円の重石に
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.25ー4.55

今週のレビュー(12/9−12/13)

今週のトルコリラ円相場は、週初4.31円で寄り付いた後、早々に週間安値4.29円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)中国共産党指導部による「2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める」との方針発表(中国共産党・中央政治局は来年の金融政策について、従来の「穏健」から「適度に緩和」に変更した他、財政政策についても、従来の「積極的」から「より積極的」へと方針転換)や、(2)上記1を背景とした世界的なリスクオン再開(リスク選好の円売り圧力→ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)日銀による年内追加利上げ観測後退(対主要通貨で円売り再開→ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値4.39円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前0時40分現在)では、4.38円前後で推移しております。

尚、今週発表されたトルコ10月失業率(結果8.8%、前回8.7%)、トルコ10月鉱工業生産(結果▲3.1%、前回▲2.3%)、トルコ10月小売売上高(結果+0.2%、前回+2.5%)はいずれもトルコ経済の減速を示唆する不冴な結果となりましたが、リラ売りでの反応は限られました。

来週の見通し(12/16−12/20)

トルコリラの対円相場は、12/3に記録した約2ヵ月ぶり安値4.27円(10/4以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週末にかけて、一時4.39円まで上昇しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(90日線や一目均衡表転換線)を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの回復を期待させるチャート形状となりつつあります。但し、対ドル相場が依然として史上最安値圏で推移していることや、中国政府による「景気下支え」というポジティブ・ファンダメンタルズがあったにも係わらずトルコリラの相対的な弱さが際立っていること等を踏まえると、今週のトルコリラ円相場の持ち直しはあくまでドル円上昇に連動した「連れ高」要因に過ぎず、トルコリラ自体が買われているわけでは無い点に留意が必要と考えられます。

事実、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコ経済の先行き不透明感(11/29に発表されたトルコ7ー9月期GDPが2四半期連続のマイナス成長を記録したことでトルコ経済はリセッション入り。今週発表されたトルコ経済指標も総じて冴えない結果)や、(2)トルコ中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測(先週発表されたトルコCPIが市場予想を上回ったことで、トルコ中銀による年内利下げ観測が後退→トルコ中銀は昨年6月以降4150bpの利上げを実施し、本年3月以降は政策金利を50%で連続据え置き→トルコ経済がリセッション入りする中での金融引き締めは、実質金利上昇を通じてトルコ経済に下押し圧力)、(3)上記1、2を背景とした外国人投資家による資金流出圧力など、トルコリラ相場の下落を連想させる材料が揃っています。

来週は日米金融政策イベントを経て、ドル買い・円売りトレンドの再開が見込まれるため、トルコリラ円相場もドル円相場にシンクロする形で底堅く推移する時間帯が続くと予想されますが、上記で述べた通り、トルコリラ自体に買い材料が出ているわけでは無いため(対ドル相場は史上最安値を更新し続けているため)、トルコリラ円相場の上値余地は他の新興国通貨(対円相場)と比較して限定的なものに留まりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.25ー4.55

注:ポイント要約は編集部

『安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。ドル円とのシンクロ相場が続く見通し』

トルコリラ円日足

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