日銀による利上げ観測で97円台まで下落、テクニカルではトレンド悪化
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、注目された10月消費者物価指数(CPI)のコアインフレ率が前月比で上昇したことから利下げ観測は強まらなかったが、円高が進行したことから97円台まで下落した。
豪政府統計局(ABS)が27日に発表した10月CPIは、前年同月比2.1%上昇したが、市場予想の2.3%上昇は下回った。上昇率は前月から横ばいで、引き続き2021年7月以来の最低水準を維持した。ただ、豪準備銀行(RBA)が注視するコアインフレ率は3.5%上昇で、前月の3.2%上昇から加速したことで、12月のRBA会合での利下げ観測は低下した。
また、28日、ブロックRBA総裁は「インフレがさらに鈍化するのを待つため、当面は金利を現状維持することできる」と発言したことも利下げ観測後退の要因となった。
一方、日銀による12月会合での利上げ観測は根強く、円は主要通貨に対して全面高の展開となり、豪ドルは97円台まで下落。週間値幅は3円60銭と大きな値動きとなった。
豪ドル・円(東京時間:11月25日―11月29日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 100円68銭
高値: 101円31銭
安値: 97円71銭
終値: 97円96銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
11月27日
9時30分、10月消費者物価指数、前回:2.1%、市場予想:2.3%、結果:2.1%
12月2日
9時30分、10月住宅建設許可(前月比)、前回:4.4%、市場予想:2.1%
9時30分、10月小売売上高(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.5%
12月3日
9時30分、第3四半期経常収支、前回:−107億豪ドル、市場予想:−115億豪ドル
12月4日
9時30分、第3四半期実質GDP(前期比)、前回:0.2%、市場予想:0.5%
9時30分、第3四半期実質GDP(前年比)、前回:1.0%、市場予想:1.0%
12月5日
9時30分、10月貿易収支、前回:46.09億豪ドル、市場予想:45.00億豪ドル
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、経済指標の結果を見極める展開となりそうだ。テクニカル面ではトレンドが悪化したことで、調整入りには警戒したい。12月利下げ観測は10月CPIを受けて後退したが、第3四半期GDPが市場予想よりも悪化した際、利下げ観測は再燃し豪ドル売り圧力は強まる可能性がある。
日足の一目均衡表では、転換線が基準線を下回り、遅行スパンも実線を下回っている。雲下限が位置する97円50銭水準で下げ止まったが、トレンドは悪化。今後、右肩下がりの100日移動平均線が上値抵抗として意識される可能性もあり、雲下限割れには警戒したい。
日銀による追加の利上げ観測は強まっており、市場コンセンサスは五分五分といったところか。石破総理も企業に賃金引上げを強く要請しており、来年の春闘の結果を待たずして、先んじて日銀が今月利上げを実施するという声が聞かれる。植田日銀総裁の講演等での発言も「オントラックなら利上げ実施」といった思いが伝わる。12月18−19日の日銀会合への思惑で円は主要通貨に対して強い動きが維持されそうだ。豪ドルは対円で多少のリバウンドは入りそうだが、テクニカル面での弱さもあり軟調推移を想定する。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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