トルコリラ円見通し ドル円の急落一服で下げ渋るも29日午前に再び失速、円高圧力続く(24/11/29)

トルコリラ円の11月28日は概ね4.39円から4.34円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.37円で前日終値の4.36円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落一服で下げ渋るも29日午前に再び失速、円高圧力続く(24/11/29)

ドル円の急落一服で下げ渋るも29日午前に再び失速、円高圧力続く

〇昨日のトルコ円、ドル円と共に未明に4.43へ急落、夜に4.39までいったん戻すも本日午前は再び下落
〇対ドル、11/28は概ね34.67から34.41の取引レンジ、終値最安値近辺
〇トルコ外貨準備高増加傾向を維持、海外投資家のトルコ投資へ向けた期待に
〇本日16時、トルコ7‐9月期GDPの発表
〇4.33割れからは4.31前後への下落を想定
〇4.37から4.38前後までは戻り売り有利とする

【概況】

トルコリラ円の11月28日は概ね4.39円から4.34円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.37円で前日終値の4.36円から0.01円の円安リラ高だった。
トランプ次期政権を巡る人事や関税強化方針等による先行き不透明感と日銀の12月追加利上げへの警戒感によりドル円が27日午前の153円近辺から28日未明に150.46円へ急落したため、トルコリラ円も28日未明に4.43円へ急落して11月15日早朝高値4.56円以降の安値を大幅に更新したが、ドル円が大幅下落後のリバウンドで28日夕刻高値151.94円までいったん戻したため、トルコリラ円も28日夜に4.39円までいったん戻した。
しかし、ドル円は28日午前序盤に151円を再び割り込み、大幅下落後の買い戻し一巡で下落を再開したため、トルコリラ円も28日未明安値に迫っている。

ドル円は米10年債利回り動向と概ね相関しており、9月16日から11月15日までの上昇時は米10年債利回りの上昇が主要な押し上げ要因だったが、米長期債利回りが低下に転じたことで下落している。
トルコリラ円はドル/トルコリラ動向を見ながらドル円を追いかける展開であり、11月15日早朝高値4.56円をピークとし、11月7日午前と11月20日夜高値を両肩として三尊天井を形成して下落期に入っている。下落規模はドル円と同様に7月3日からの下落時に近い印象もあり、当面は戻り売り有利の展開が続くのではないかと懸念される。

【ドル/トルコリラは終値最安値近辺】

ドル/トルコリラの11月28日は概ね34.67リラから34.41リラの取引レンジ、29日早朝の終値は34.61リラで前日終値の34.62リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新してから最安値更新を回避していたが、27日に34.76リラへ最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでも22日から27日へ4営業日連続で最安値を更新した。
28日は米国市場感謝祭休場で手掛かりに欠けたため取引時間中及び終値ベースの史上最安値更新には至らなかったものの29日午前序盤には34.68リラを付けて取引時間中の最安値に迫っており、リラ安基調の継続感は変わらない。

トルコ統計局による10月貿易収支確報は59.1億ドルの赤字となり赤字額は9月の51.4億ドルから拡大した。輸出は235億ドルで9月の220億ドルから増加し、輸入は294.1億ドルで9月の271.2億ドルから拡大した。2018年11月にわずかな貿易黒字を計上した以外は構造的な赤字であり、海外投資や海外観光客収入等で埋め合わせており、海外観光客の最盛期を反映して今年6月から9月までの経常収支は黒字が続いている。
11月の経済信頼感指数は97.1となり10月の98.0を下回った。今年3月の100.0から8月の93.1まで悪化してから10月まで改善したものの勢いは鈍い。

【トルコ外貨準備高増加傾向を維持】

11月28日にトルコ中銀が発表した11月22日時点の外貨準備高はグロスで907.4億ドルとなり11月15日時点の940.9億ドルから減少したが、ネットでは608.8億ドルとなり11月15日時点の590.6億ドルから増加した。ネットでは2023年6月にマイナス57億ドルまで減少したところから持ち直しに入り、中銀の外貨準備増加方針により今年10月末には608.9億ドルへ拡大したが、その後も高水準を維持している。トルコ中銀の金融引き締めによるインフレ抑制姿勢と外貨準備高増加傾向、財務省の緊縮財政での財政改善姿勢が海外投資家のトルコ投資へ向けた期待をつなげている。

【今夕、トルコGDP発表】

11月29日16時にトルコの7‐9月期GDPの発表がある。市場の事前予想は前年同期比2.6%増として4‐6月期の2.5%増をわずかに上回ると見込んでいる。1-3月には最低賃金の引き上げやインフレ継続への対応で家計の買い急ぎが生じたことで内需を押し上げられて5.3%増となったが、高インフレ高金利による内需の伸び悩みと財務省の緊縮財政や中銀の金融引き締め継続により4‐6月期と7‐9月期は低成長に留まるとみられている。
7‐9月期の前期比は4‐6月期の0.1%増から0.5%減へ悪化し、10-12月期の前期比も0.3%減にとどまるとみられているようだ。また通年では2024年が3.0%、2025年も2.9%で低迷すると予想されている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月20日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、27日午前時点では直近のサイクルボトムを25日午前安値として底割れによる新たな弱気サイクル入りした。
28日未明安値から夜へいったん戻してから29日午前の下落で28日未明安値へ迫っているため、28日未明安値を直近のサイクルボトム、28日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクルとして12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜への反騰で遅行スパンがいったん好転したものの29日午前の下落で再び悪化しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。

60分足の相対力指数は28日未明の20ポイント割れから28日夜に50ポイント台へもどしたが、29日午前に30ポイント台へ低下しているので下落再開とみて20ポイント割れを試す流れとみる。強気転換には55ポイントを超えるような反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.33円を下値支持線、4.37円を上値抵抗線とする。
(2)4.37円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.33円割れからは4.31円前後への下落を想定する。4.31円以下は反騰注意とするが、週明けも続落注意とし、下げ足が速まる場合は4.30円試しとする。
(3)4.37円から4.38円前後までは戻り売り有利とし、その後に4.35円を割り込むところからは下げ再開とする。

【当面の主な予定】

11月29日
 16:00 7‐9月 GDP 前期比 (4‐6月 0.1%)
 16:00 7‐9月 GDP 前年同期比 (4‐6月 2.5%)
12月2日
 16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 45.8)
12月3日
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 2.88%)
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 48.58%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.29%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 32.24%)


注:ポイント要約は編集部

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