『週後半にかけて約1年ぶり安値を更新。続落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、南ア電力危機の更なる悪化等に週前半7.48まで下落
〇週央、日銀政策決定会合後の円安に一時7.69まで急騰するも反落
〇その後はドル円急反落、南ア指標悪化等に一時約1年ぶり安値となる7.39円まで急落
〇南ア円、テクニカル的に上値余地は乏しく、ファンダメンタルズも南ア経済先行き不透明感等が重石
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.70
今週のレビュー(1/16−1/20)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.61円で寄り付いた後、(1)南アフリカ国内における電力危機の更なる悪化(大半の世帯で1日少なくとも6時間の停電実施。ラマポーザ大統領も電力危機の影響で世界経済フォーラム年次総会への出席を急遽中止)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(対主要通貨での円買い圧力)、(3)南ア11月鉱工業生産(結果▲9.0%、予想▲6.9%)の冴えない結果が重石となり、翌1/17にかけて、一時7.48円まで下落しました。
しかし、(4)日銀による緩和修正見送り決定を背景に、(5)円ロングの大規模巻き戻し(ドル円急騰→南アランド円連れ高)が発生すると、週央にかけて、週間高値7.69円まで急騰する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)急ピッチな上昇の反動(ドル円相場の急反落→南アランド円連れ安)や、(7)南ア12月CPI(結果+7.2%、予想+7.2%、前回+7.4%)および、(8)南ア12月コアCPI(結果+4.9%、予想+5.1%、前回+5.0%)の伸び率鈍化、(9)上記7、8を背景とした南ア中銀の金融引き締め終了観測が重石となり、週後半にかけて、昨年1/31以来、約1年ぶり安値となる7.39円まで急落しました。もっとも、引けにかけては再び持ち直し、本稿執筆時点(日本時間1/21午前2時30分現在)では、7.56円前後で推移しております。
来週の見通し(1/23−1/27)
南アランドの対円相場は、週後半にかけて、約1年ぶり安値圏(7.39円)へと急落しました。週末にかけて持ち直す動きが見られたものの、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しく一巡後の反落リスクに要警戒)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(電力不足の長期化懸念や失業率の高止まりが南ア経済における構造的な下振れ要因)や、(2)南ア中銀の金融引き締め終了観測(今週発表されたインフレ指標は軒並み鈍化→南ア中銀の金融引き締め終了観測台頭)、(3)南アフリカを巡る政局不透明感(2024年の総選挙に向けて、与党・アフリカ民族会議の支持率急低下の恐れ)、(4)日銀による金融緩和の修正観測(今週はひとまず緩和修正が見送れたものの、次回3月会合に向けて再び緩和修正圧力が高まる公算大)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/26に予定されている南ア中銀会合に注目が集まります。市場では「50bpの政策金利引き上げ(前回は75bpの利上げであった為、利上げ幅が25bp縮小)」と「利上げサイクル終了示唆」の組み合わせが予想されているため、来週は南アランド円相場の下落リスクに警戒が必要でしょう(同日海外時間に発表される南ア12月PPIが市場予想を下回る場合には、早期利下げ観測の台頭を通じて、南アランドに強い下押し圧力を加える恐れあり)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.70
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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