『約1年1ヵ月ぶり安値圏へ続落。来週は日本とトルコの金融政策決定会合に注目』
〇今週のトルコ円、ドル円の急落で週末にかけて約1年1ヵ月ぶり安値6.78まで下落
〇トルコの対ドル相場は週央にかけて史上最安値を更新
〇トルコ円、主要サポート軒並み下抜け強い売りシグナルの全てが成立、テクニカルの地合い極めて弱い
〇来週は1/17-18の日銀金融政策決定会合と、1/19のトルコ中銀金融政策決定会合要注目
〇ドル円の急落リスク、トルコインフレ鈍化からのトルコ中銀の一段の緩和要警戒
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.50ー7.00
今週のレビュー(1/9−1/13)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.05円で寄り付いた後、週央にかけて、週間高値7.09円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)読売新聞社による「日銀が1/17ー1/18の金融政策決定会合で大規模金融緩和の副作用を点検する」との観測報道や、(2)上記1を背景とした円キャリートレード逆流懸念(対主要通貨での日本円急騰→ドル円・クロス円下落→トルコリラ円連れ安)、(3)1/3に記録した直近安値6.89円の下方ブレイクとそれに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週末にかけて、週間安値6.78円(2021年12/20以来、約1年1ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。引けにかけて、小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/14午前5時30分現在)では、6.80円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週央にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(1/16−1/20)
トルコリラの対円相場は、昨年10/21に記録した高値8.17円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1年1ヵ月ぶり安値となる6.78円まで下落しました。この間、主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」「弱気のバンドウォーク」の全てが成立する等、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(最近はトルコ中銀が対ドル相場のボラティリティ抑制に努めているため、トルコリラ円相場の動きはドル円相場の動きに近似。従って、ドル円相場の下落トレンドが続く限り、トルコリラ円相場の下落トレンドが続く公算大)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済を巡る先行き不透明感(今週発表されたトルコ11月鉱工業生産は市場予想を下回る冴えない結果)や、(2)トルコ中銀による利下げ再開の思惑(先週発表されたトルコのCPI・PPIが予想外にインフレ鈍化を示したことから、本年6月に予定されている大統領選に向けて、エルドアン大統領が再びトルコ中銀に対して利下げを求める恐れあり)、(3)日銀による金融緩和の修正観測(円金利上昇→円キャリートレード逆流懸念→対主要通貨での円買い再開)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は1/17ー1/18に開催される日銀金融政策決定会合と、1/19のトルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。前者については、昨年末に発表された日本経済新聞社の観測報道や、今週発表された読売新聞社の観測報道を見る限り、何かしらのサプライズ(物価見通しの大幅上方修正やイールドカーブコントロールの追加修正および撤廃など)が決定される公算が大きく、対主要通貨での円買いに繋がるリスクが警戒されます。後者については、政策金利の据え置きが見込まれますが、直近で明らかとなったトルコのCPI・PPI鈍化に対してどのような見解を示すのか?エルドアン氏の大統領選を見据える中、追加利下げの可能性を滲ませるのか?に注目が集まります。いずれも、トルコリラ円相場の下落要因となり得ることから、当方では引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.50ー7.00
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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