トルコリラ円見通し ドル円の暴落一服でトルコリラ円も戻したが暴落の余韻残る(22/11/15)

トルコリラ円の11月14日は7.57円から7.47円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.50円で先週末終値の7.47円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の暴落一服でトルコリラ円も戻したが暴落の余韻残る(22/11/15)

トルコリラ円見通し ドル円の暴落一服でトルコリラ円も戻したが暴落の余韻残る

〇トルコリラ円、11/14はドル円上昇局面で7.57まで戻し、11/15早朝ドル円の反落局面で7.50へ下げる
〇11/15午前序盤にドル円が140円台を回復したことで、トルコリラ円も7.55まで戻す
〇対ドル、11/14は18.62から18.53の取引レンジ、18.50近辺から18.60台の元の持ち合い水準に回帰
〇トルコリラ円は、暴落したドル円が切り返せるか下げ渋りにとどまるのかに命運が左右される
〇7.50以上での推移中は上昇余地ありとし、7.57超えからは7.60試しとする
〇7.50割れからは下げ再開とみて7.47試しとし、底割れからは7.40台序盤への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月14日は7.57円から7.47円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.50円で先週末終値の7.47円からは0.03円の円安リラ高だった。
11月10日夜の米10月CPI上昇率が市場予想を下回ったことで米FRBによる超ハイペースでの利上げが鈍化すると受け止められてドル全面安となる中、ドル円は発表前の146円台序盤から11日早朝安値140.19円へ暴落、さらに12日未明には138.45円まで一段安となった。この流れを見てトルコリラ円も米CPI発表直前の7.87円近辺から11日早朝に7.58円へ暴落的な下落となり、12日早朝には7.47円へ安値を大幅に切り下げた。
週明けのドル円は暴落一服でやや買い戻し優勢となり夜に140.79円まで戻し、15日未明に140円を割り込んだところも買い戻されており、トルコリラ円も夜にかけてのドル円の上昇局面で7.57円まで戻し、15日早朝へドル円が反落した局面で7.50円まで下げたが、15日午前序盤にドル円が140円台を回復したことで7.55円まで戻している。

【対ドルでは元の持ち合い水準に回帰して安値更新を伺う】

ドル/トルコリラの11月14日は18.62リラから18.53リラの取引レンジ、15日早朝の終値は18.58リラで先週末終値の18.57リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
18.50リラ近辺では戻り売りにつかまり18.60リラ台の安値を試すやや膠着状態での持ち合いが続いていたところ、11月4日に18.67リラへ史上最安値を更新してから11月8日早朝安値18.41リラへ上昇したために持ち合いから脱却する可能性も示されたものの戻り売りにつかまって元の持ち合い水準へ押し返され、11月10日夜の米CPI発表からのドル全面安局面でも18.44リラまで戻したところで再び売られており、14日は元のレンジ相場の水準まで押し返されての推移にとどまった。

【外貨保有規制によるリラ安への歯止め】

今年に入ってからトルコ政府及びトルコ中銀は様々な規制を導入してリラ安を抑制しようとしてきた。現状では外貨保有企業に対して一定比率を超える場合はリラに転換する義務を課しているため、輸出企業や外国人への住宅販売、観光客からの外貨収入を得ている企業は規制を守らないと新規融資を受けられないために止む無く外貨を売ってリラ預金へと転換している。この政策による国内企業の外貨売りはトルコ中銀の外貨保有を拡大させ、市中でのドル売りリラ買い、ユーロ売りリラ買いによりリラ安を抑制するものとなっている。

11月10日に発表された週次の外貨準備高は11月4日時点のグロスで751.8億ドルで前週の748.0億ドルから若干増加し、今年7月に588.7億ドルまで減少したところからの持ち直しを継続している。
ネットでの外貨準備高は145.3億ドルとなり前週の134.5億ドルから増加したが、7月に60.7億ドルまで急減したところからの持ち直しを続けている。ただし、2021年11月に326.4億ドルだったところからは大幅に低下した状況にとどまっており、友好国との通貨スワップ協定による外貨使用や国内金融市場での通貨スワップ取引によるドル売りリラ買いポジションを踏まえると実質的にはかなりのマイナス勘定となっているという見方もされている。

【暴落したドル円が切り返せるか下げ渋りにとどまるのか、トルコリラ円の命運も左右される】

ドル円は10月21日に151.94円の高値をつけて2021年1月6日安値102.57円以降の最高値をつけたが、9月22日の24年ぶりとなる政府日銀による円買い介入と10月21日の二度目の大規模介入により145円台序盤へ失速し、その後は145円割れを回避した持ち合いで推移していたが、11月10日の米CPIショックからの暴落で持ち合いを下放れた。
11月10日は当日の高安で146.59円から140.19円へ5円を超える急落となり、11日は当日の高安で142.48円から138.45円まで4円を超える大幅続落となった。11月14日は下げ一服となり15日午前も戻りを試しているところだが、2日続けての日足大陰線での暴落のため、切り返しに入るには二本目の大陰線である11月11日の高安レンジを解消する反騰が必要であり、それができないうちは下げ渋りにとどまってもう一段安へと進みかねない状況と思われる。2021年1月以降で最大の暴落であり、市場介入による急落場面でもバーゲンハントされる先高期待は大きく挫けた印象だ。

トルコリラ円はドル/トルコリラが史上最安値を試しつつ膠着状態にあるためにドル円次第の動きであり、トルコリラ独自材料でのリラ高が発生しないうちはドル円の一段安懸念が波及する状況にあると思われる。
トルコリラ円は11月10日に前日比0.25円安、11日に0.15円安の日足大陰線を連発したため、反騰入りには11日の高値7.70円を超えて二本目の大陰線を解消する必要があると思われ、それができないうちはもう一段安へ進みかねないと注意したい。しばらくはドル円が落ち着くのか、一段安へ進むのかを注視して臨機応変に対処する必要がありそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月10日夜からの暴落が落ち着いて11月12日早朝安値で直近のサクルボトムをつけて持ち直しを図っているところと思われる。高値形成期は11月14日夜から17日早朝にかけての間と想定し、7.50円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、7.50円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して12日早朝安値試しとし、底割れからは17日未明から19日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月14日夜への反発で遅行スパンが好転したが、先行スパンの下限が上値を抑えている。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。ドル円が暴落一巡により急反騰する場合は先行スパンの上限を試す可能性も出てくるかもしれないが、先行スパンの下限ないし潜り込んでも下側の2分の1程度にとどまるうちは一段安値懸念が残るとみる。

60分足の相対力指数は11月10日夜から12日早朝への一段安に際して指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行を見せて50ポイント台を回復した。40ポイント以上での推移中は60ポイント台前半への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.50円を下値支持線、7.57円を上値抵抗線とする。
(2)7.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.57円超えからは7.60円試しとするが、7.60円前後は戻り売りにつかまりやすいと見てその後に7.55円を割り込むところからは下げ再開注意とする。
(3)7.50円割れからは下げ再開とみて12日早朝安値7.47円試しとし、底割れからは7.40円台序盤(7.43円から7.40円)への下落を想定する。特にドル円が一段安に陥る場合はトルコリラ円の下落も勢い付くと注意する。

【当面の主な予定】

11月15日
 17;00 10月 財政収支 (9月 -786.3億リラ)
11月17日
 20:30 週次 外貨準備高 11/11時点 グロス (11/4時点 751.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11/11時点 ネット (11/4時点 145.3億ドル)
11月21日
 17:00 10月 観光客数 前年同月比 (9月 55.84%)
11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.2)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%)



注:ポイント要約は編集部

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