トルコリラ円見通し ドル高リラ安進行するもドル円の急伸により反騰(22/9/14)

トルコリラ円の9月13日は7.93円から7.77円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.92円で前日終値の7.83円からは0.09円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安進行するもドル円の急伸により反騰(22/9/14)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安進行するもドル円の急伸により反騰

〇トルコリラ円、米CPI発表後のドル円急伸に伴い、高値7.93到達
〇145円台突破の場合は円安一層加速か、その際はリラ円8円台回復の可能性も
〇ドル全面高で対ドル安値18.26、米FOMC・トルコ中銀会合にかけドル高リラ安進行しやすい
〇7月トルコ鉄工業生産・小売売上高ともに鈍化、背景に政府規制により輸出企業支援実現しない状況
〇7.88を上回るうちは上昇余地ありとし、7.93超えからは7.90円台後半を試すとみる
〇7.88割れから続落の場合は7.85前後試し、7.85円以下は反騰注意とする

【概況】

トルコリラ円の9月13日は7.93円から7.77円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.92円で前日終値の7.83円からは0.09円の円安リラ高となった。
9月13日は夕刻のトルコ鉱工業生産や小売売上高が冴えなかったことで夕刻からはドル高リラ安が進行する一方でドル円も米CPI発表前に142円を割り込んだためにトルコリラ円は7.77円まで安値を切り下げていたが、米CPIが予想を上回る上昇率だったことでドル全面高となりドル円が144円台後半へ急伸するとトルコリラ円も7.93円へ急伸した。その後も7.90円を割り込んだところを買われて14日朝にはドル円続伸により7.94円まで高値を伸ばした。
ドル円は9月14日午前序盤に145円へ再び迫ったところで足踏みがみられる。9月9日夜への急落は日銀と政府の会談後に黒田総裁が円安けん制発言を行ったことがきっかけだったが、145円に対して政府・日銀も防衛ラインとして強く意識している印象もあるところだ。逆に145円を突破すると円安は一層加速しかねず、その際はトルコリラ円も8円台回復を目指す可能性も出てくるのではないかと思われる。

【ドル高リラ安継続、終値ベースの史上最安値をさらに更新】

ドル/トルコリラの9月13日は18.26リラから18.21リラの取引レンジ、14日早朝の終値は18.24リラで前日終値の18.22リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
1ドル18リラ台序盤の安値圏での推移が続いているが、9月13日は夕刻発表のトルコ鉱工業生産と小売売上高がさえなかったことでドル高リラ安基調となり、米8月CPIが予想以上の伸びとなったことからドル全面高となったためにCPI発表後に18.26リラをつけて9月2日につけた昨年12月23日以降の取引時間中最安値と並んだ。終値ベースでは9月9日の18.23リラを超えて史上最安値を更新した。
9月以降は18.20リラ前後では戻り売り、18.25リラ前後では押し目買いされて騰落レンジは狭いものの、徐々に安値を切り下げる展開であり、昨年12月20日に付けた取引時間中の史上最安値18.36リラへじわじわと迫っている印象だ。9月20-21日の米FOMC、9月22日のトルコ中銀政策金利発表にかけてはドル高リラ安が進行しやすいと思われる。

【7月のトルコ鉱工業生産、小売売上高は冴えず】

【7月のトルコ鉱工業生産、小売売上高は冴えず】

9月13日夕刻発表のトルコ7月鉱工業生産は前月比6.2%減と大幅に悪化し、前年同月比は2.4%増となり6月の8.8%増から大幅に鈍化した。前年同月比はパンデミック発生からの回復を反映して2021年4月に66.0%増となったもののその後は失速して10%を挟んで14%台から8%台までのレンジで推移し、2月の13.3%以降は低下傾向での推移となっていたが、7月は急激な鈍化となっている。季節調整前の前年同月比は20.9%減で6月の15.6%増から急激な悪化となっている。
同時に発表された7月の小売売上高は前月比が0.3%減となり6月の0.6%減から2か月連続のマイナスとなった。前年同月比は2.0%増で6月の5.4%から鈍化したが、5月に21.2%増まで回復したところから失速している。

トルコでは国内企業の外貨保有について規制を超える場合にはリラ建ての国内金融機関からの融資を禁止する政策をとり、国内金融機関に対しては外貨預金に対する準備率を引き上げたり長期の固定クーポン債購入を義務付ける等によりリラ放れと外貨預金拡大への抑制を図り、中銀貸し出し金利を超える融資利率についての規制も導入している。このため金融機関はリスクの高い企業への融資拡大をためらい、政府や中銀が意図する輸出企業支援が実現していない状況のようだ。7月の鉱工業生産と小売の鈍化はこうした背景も影響している可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月13日夜の急伸により9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。サイクルトップ形成期はダブルボトムの中間点にある12日午後高値を起点として15日の日中から19日午後にかけての間と想定される。急騰後の反動安にも注意のいるところだが、7.85円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.85円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して9月13日夜安値7.77円前後を試す下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月13日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返したため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値切り上げへ進めずに推移すると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下落再開の可能性ありとみて安値試し優先とするが、7.88円以上にとどまって再び遅行スパンが好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は9月13日夜に30ポイントへ低下してから70ポイント台へ急伸した。その後も60ポイント以上を維持しているのでまだ一段高余地ありとみるが、50ポイント割れから続落し始める場合は下げ再開とみて30ポイント台へ再び低下する流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.88円を下値支持線、7.93円を上値抵抗線とする。
(2)7.88円を上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、7.93円超えからは7.90円台後半(7.95円から7.98円)を試すとみる。7.98円以上は反落注意とするが、7.90円台を維持しての推移なら15日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.88円割れから続落の場合は7.85円前後試しとみる。7.85円以下は反騰注意とするが、7.88円を下回っての推移が続くようだと15日は安値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

9月15日
 17:00 8月 財政収支 (7月 -640億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 9/9時点 グロス (9/2時点 723.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/9時点 ネット (9/2時点 140.8億ドル)
9月20日
 23:30 8月 中央政府債務 (7月 362.1億リラ)
9月22日
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 72.2)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 13.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 9/16時点

注:ポイント要約は編集部

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