年初来高値を更新、ドル高基調は継続か
〇本日のドル円、年初来高値139.39を超え139.70手前まで続伸
〇昨日から欧州への天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」が停止、長期化の懸念も
〇財務省幹部「為替相場の急激な変動は望ましくない」と発言
〇明日注目の米雇用統計発表を控え、本日の欧米時間は基本様子見か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.50-139.80
<< 東京市場の動き >>
1日の東京市場はドルが続伸。ここ数日、ドルの上値を強く抑制していた139.00-10円を超えると同時に、139.39円の年初来高値も更新している。
ドル/円は寄り付いた138.95円前後を日中安値にドルが底堅い。スグに139円台へと乗せてくると、以降一度も割り込むことなく、逆に上値をトライする展開をたどっていた。年初来高値を超えてもまだドル高は止まらず、結局139.70円手前までドルは続伸。140円を前に足もとはやや調整の動きなども観測されているが、それでも大きくは崩れず。16時現在、139.40-45円で推移し、欧米市場を迎えている。
そうしたなか、財務省幹部から「為替相場の急激な変動は望ましくない」といった口先介入が発せられていたようだ。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、事前に伝えられていたとおり、昨31日に欧州へ天然ガスを運ぶパイプライン「ノルドストリーム1」が停止。通告では3日間だけの予定だが、露ガスプロムCEOから「制裁でパイプラインの点検ができない」などと責任転嫁と思しきコメントも聞かれており、やはり3日間では済まず長期化する懸念も取り沙汰されていたようだ。一方、情報が錯綜するなか、ウクライナ入りしたIAEAは「ザポリージャ原発調査を1日から始める見通し」と報じられていたほか、先のロシア・エネルギー問題について、米ホワイトハウスから「G7財務相が2日に会合を開き、米政権が提示したロシア産原油の取引価格に上限を設定する案について討議する」との発表がなされていた。
対して後者は、台湾国防部が「中国軍機62機が防空識別圏進入」と発表するなど、引き続き「力による現状変更」の動きが観測されるなか、それ以外でも興味深い事象が相次いでいた。たとえば、コロナ対策で「成都市を午後6時からロックダウンとする」、「中国共産党序列3位の栗全人代常務委員長(国会議長)が今月中旬、韓国を訪れる見通し」といった報道なども。また、国連のバチェレ人権高等弁務官が公表したリポートで、中国政府がテロ対策や「過激派」対策として、新疆ウイグル自治区で深刻な人権侵害を行っていると糾弾したことも別途話題に。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、ドル高方向へのリスクを内包しながら139.00-10円がなかなか強い抵抗になっており上げ渋り様相だったが、本日東京時間に同レベルを上抜けてきた。年初来高値も更新してきたことで、次のターゲットはいよいよ140円台。ポジションの偏りなどはさることながら、勢いからすると、このまま欧米時間にかけてドル高再燃により140円台トライの可能性も否定できない。
引き続き各国の金利情勢に対する関心が高い環境下、どう考えても円を積極的に買い進める状況にないことは確か。つまり、流れとしてのドル高・円安はまた当面続くと予想せざるを得ない。そうしたなか、本日東京で久しぶりの口先介入、本邦要人から円安けん制発言が発せられており、今後も相場の状況を見ながら断続的な口先介入は実施される見通しだ。効果については疑問視する声が多いものの、ポジションが偏っているだけに、はまれば1-2円程度アッサリと下落しても不思議はない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京で139.39円の年初来高値を上抜け。139.70円手前まで値を上げ、140円へあと30銭強と迫っている。明日に注目の米雇用統計発表を控えていることからすれば、本日の欧米時間は基本様子見で、ドル一段高に向けたトライは明日ということになりそうだが、予断を許さない面もなくはない。ドル高再燃の動きにも一応注意しておきたいところだ。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や8月のISM製造業景況指数が発表される予定で、そちらにまずは要注意。昨日発表された8月のADP雇用統計は予想を大きく乖離した内容となったこともあり、引き続き雇用関係のデータへの関心は高いものがある。また、「原発査察」などを含めた欧州情勢にも気掛かりな要因が多く、場合によっては波乱要因に。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.50-139.80円。ドル高・円安方向は本日高値の139.70円レベルが最初の抵抗。抜ければいよいよ140円トライだ。
対するドル安・円高方向は、昨日までドルの抵抗となっていた139.00-10円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、それでも比較的底堅いイメージに変わりない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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