トルコリラ円見通し ドル円急落で10日と11日は続落だが11日夜から持ち直しを試す
〇トルコリラ円、ドル円を見ながらの展開、8/10米CPIの発表後7.37まで大幅下落
〇8/11午前に7.46まで戻すも、米PPIも予想を下回り7.33まで一段安、8/11夜からは持ち直す
〇対ドル、1ドル18リラ手前の攻防続くが、8/10夜はドル売りリラ買い優勢で17.81まで戻す
〇8/11午後には17.95近辺まで反落、米PPI発表後は17.95を挟んだ水準での揉み合いにとどまる
〇6月失業率は若干改善、6月経常収支も改善、外貨準備高は急増
〇7.40以上での推移中は上昇余地ありとし、7.45超えからは7.50前後試しを想定する
〇7.37割れからは下落期入りとみて、7.30台序盤(7.32から7.30)への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月10日は7.55円から7.37円の取引レンジ、11日早朝の終値は7.43円で前日終値の7.54円から0.11円の円高リラ安となった。11日は7.46円から7.33円の取引レンジ、12日早朝の終値は7.41円で前日から0.02円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが1ドル18リラ手前での膠着状態が続いている中でトルコリラ円はドル円を見ながらの展開が中心であり、8月10日は米CPI伸び率が予想を下回ったことで米FRBの利上げ姿勢がやや緩むと受け止められてドル全面安の様相となり、ドル円は10日の日中は135円を挟んだ揉み合いだったところから10日深夜安値132.01円まで急落となり、トルコリラ円も7.37円まで大幅下落に見舞われた。
8月11日は午前にかけてドル円がいったん戻したところでトルコリラ円も7.46円まで戻したが、11日夜の米PPIも予想を下回ったことでドル円が131.72円まで一段安したためにトルコリラ円は7.33円まで一段安となった。
米CPIとPPIを通過してドル円もトルコリラ円もそろって急落したが、ひとまず材料消化として12日午前序盤は買い戻し優勢の動きでドル円が133.40円台まで戻し、トルコリラ円も11日夜からの持ち直しを継続している。
【ドル高リラ安は引き続き1ドル18リラ手前の攻防】
ドル/トルコリラの8月10日は17.90リラから17.81リラの取引レンジ、11日早朝の終値は17.88リラで前日終値の17.89リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。11日は17.96リラから17.83リラの取引レンジ、12日早朝の終値は17.93リラで前日比0.05リラのドル高リラ安だった。
1ドル18リラ手前の攻防が続いているが、8月10日夜は米CPI上昇率が予想を下回ったことでドル全面安となったためにドル売りリラ買い優勢となって10日夜高値で17.81リラまで戻したが、17.80リラ台序盤では戻り売りにつかまり11日午後には17.95リラ近辺まで反落した。11日夜の米PPI上昇率も予想を下回ったために再びドル売り優勢となりかけたが、前夜のCPI反応である程度織り込まれたとして限定的な動きに終わり、17.95リラを挟んだ水準での揉み合いにとどまった。
7月末に17.90リラ台へ下げてからは17.95リラを挟んで18リラ手前を下値支持線とした膠着状態が続いており、1ドル18リラを超えるリラ安へ走れずにいる。
【失業率改善、外貨準備高が急増】
トルコ統計局が8月10日に発表した6月失業率は10.3%となり5月の10.6%から若干改善した、市場予想は悪化とみていたのでリラにはプラス要因だった。4月の11.2%から改善傾向にあり去年6月の10.6%を下回って2018年4月の10.2%以来の低水準となった。高インフレだがパンデミック以降の景気回復をうまく続けていることを反映している。
6月の経常収支は34.58億ドルの赤字で5月の64.68億ドルからは改善した。昨年11月以降は経常赤字が続いているが今年1月に70.95億ドルまで悪化したところをボトムに若干の改善傾向もみられるというところか。
8月11日夜に発表されたトルコ中銀の8月5日時点における週次外貨準備高はグロスで677.7億ドルとなり7月29日時点の611.0億ドルから大幅に増加した。ネットでは118.1億ドルとなり7月29日時点の91.2億ドルから大幅増加した。
ネバティ財務相は先週の外貨準備高増加に際に、海外からの直接投資の増加により次週はさらに増加するとの見込みを示していたがその通りとなった。
ネットの外貨準備高は2021年11月に326.4億ドルだったところから今年1月後半に75.5億ドルまで急減し、2月後半にいったん198億ドルまで回復していたところから再び低下して7月1日時点では60.7億ドルまで減少していたが、2週連続の増加であり今週は急増の様相となった。
グロスでの外貨準備高については2021年11月の3264億ドルをピークに低下に転じ、今年1月の755億ドルから2月の1980億ドルまで戻してから7月15日時点で607億ドルまで低下していたが、2週連続の増加で持ち直した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月5日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8月8日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定していたが、8月9日午前時点では7.47円割れからは弱気サイクル入りとした、
8月10日に7.47円を割り込んでさらに大幅続落したため、8月8日午前と10日未明の両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしたが、11日夜安値から反騰入りしているため、8月5日午前安値から4日半となる11日夜安値で既に直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は10日未明高値を基準として13日未明から17日未明にかけての間とするが、戻りは短命の可能性もあるので7.37円割れからは弱気転換注意として11日夜安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、8月10日夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、11日夜からの反騰で遅行スパンは好転を試し、先行スパン下限に迫ってきている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンに戻りが抑えられて遅行スパンが悪化する場合は下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は8月10日夜から11日夜への安値更新に際して指数のボトムから切り上がる強気逆行を見せて50ポイントを回復したため40ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.37円を下値支持線、7.45円を上値抵抗線とする。
(2)7.40円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.45円超えからは7.50円前後試しを想定する。7.47円以上は反落警戒とするが、7.40円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.37円割れからは下落期入りとみて7.30円台序盤(7.32円から7.30円)への下落を想定する。7.30円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、7.37円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月12日
16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.5%)
16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 9.1%)
16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 1.9%)
16:00 6月 小売売上高 前年同」月比 (5月 20.8%)
16:00 7月 トルコ中銀 年末インフレ率予想調査 (7月 69.94%)
8月15日
17:00 7月 財政収支 (6月 -310億リラ)
8月18日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.0%)
20:30 週次 外貨準備高 8/12時点 グロス (8/5時点 677.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8/12時点 ネット (8/5時点 118.1億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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