日本国債先物急落
昨日の大阪取引所では日本国債先物価格が急落(利回り上昇)し、中心限月の9月限は一時2円を超える下げを見せダイナミック・サーキット・ブレーカー(DCB)発動となりました。DCBとは誤発注を防ぐ目的で取引価格から一定以上離れた価格の注文が出された場合にのみ取引を一時停止するものです。
世界の主要中銀が引き締めに転じる中で唯一日銀だけが大規模緩和を継続し、イールドカーブコントロールでは10年債の利回りを指値オペで0.25%に抑える政策を継続しています。さらに10年だけでなくその前後の年限の指値オペも実施するなど金利上昇を許さないスタンスが続けられています。
しかし、債券現物にはもともと需給があり、そのヘッジ手段として先物市場が存在しているのですが、海外を中心とした投機筋がこの先物市場に売り圧力をかけることで日本の長期債利回りを上昇させようという動きが出ているわけです。最終的には日銀の金融政策見直しをトリガーさせようという動きとも言えます。
国債先物は取引の連続性を担保するため標準物という架空の条件の債券を設定し、その先物として取引が行われます。標準物は6%10年の債券です。現物の受け渡し適格銘柄は残存7年以上11年未満の10年利付国債ですが、ここでは話を単純化するため、標準物に沿った10年の国債を想定します。
すると「(6+(100−先物価格)÷10)÷先物価格」で利回りとなりますので、おおよそ以下のような関係となります。
実際には先物と現物との間に転換係数があり、上記の通りではないものの今週月曜までの取引価格は149〜150程度でした。しかし、15日には145.5と一気に4円の急落を見たことになるわけです。単純換算では0.3%程度に相当します。
このような国債先物の動きを見ていると、中銀と言えど市場の本流には逆らえないという過去の歴史を思い出さざるを得ません。主要中銀として英中銀、スイス中銀の失敗に名を連ねるようなことが無いことを願いたいものです。
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