ドル円見通し NYダウが大幅下落、米長期債利回り低下で128円を割り込む(22/5/19)

ドル円は、19日朝は128円台を維持していたもののその後は128円をいったん割り込んでおり、5月12日夜安値試しから一段安しかねない動きとなっている。

ドル円見通し NYダウが大幅下落、米長期債利回り低下で128円を割り込む(22/5/19)

NYダウが大幅下落、米長期債利回り低下で128円を割り込む

〇ドル円、ドルストレートでのドル高進む一方でクロス円全面安の円高勝り19日未明128.00つける
〇18日のNYダウは2020年6月11日以来で今年最大の下げ幅、前日比1164.52ドル安に
〇株売り債券買いの動きで米長期債利回りは総じて低下、10年債利回りは前日比0.10%低下の2.89%
〇米フィラデルフィア連銀総裁、6月7月2回連続で0.50%利上げ後は0.25%利上げ程度の慎重姿勢示す
〇12日夜安値127.50割れからは126円台後半を目指すとみる、126.75円以下は反発注意
〇129円を超える場合は反騰継続とみて129円台中盤を目指す上昇期に入ると考える

【概況】

ドル円は5月12日夜安値で127.50円まで下げたところからの持ち直しで5月17日夜高値129.77円まで戻していたが、18日の日中は129円台前半で上値の重い展開となり、18日夜にNYダウが小売り大手の決算不調から急落したことをきっかけとして株売り債券買いから米長期債利回りが低下、株安によるリスク回避感からドルストレートでのドル高が進む一方でクロス円の全面安による円高が勝ったために19日未明に128.00円を付けるところまで失速した。
19日朝は128円台を維持していたもののその後は128円をいったん割り込んでおり、5月12日夜安値試しから一段安しかねない動きとなっている。

【NYダウは米小売大手決算不調で2020年6月以来の下げ幅、米長期債利回りは低下】

5月18日のNYダウは前日比1164.52ドル安となり5月5日の前日比1063.09ドル安を超えて今年最大となり、2020年6月11日の前日比1861.82ドル安以来の下げ幅となった。5月12日に付けた1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値である31228.22ドル割れには至らずにいるものの、終値ベースでは年初来最安値となり下落基調の長期化を懸念させる動きだった。ナスダック総合指数も前日比566.37ポイント安と大幅下落した。
株安のきっかけは米小売り大手の決算が軒並み不調となったことであり、コストコが12.5%安、ウォルマートが6.8%安と大幅下落となり、テスラの6.8%安やアップルの5.6%等もつれ安となった。
前日は4月の米小売売上高が堅調だったことで買われ、上海の長期ロックダウン解除への動きも好感されていたところだったが、戻り一巡での大幅下落により年初からの下落基調からの脱却に失敗している印象だ。
5月18日に米商務省が発表した4月の住宅着工件数(年換算)は前月比0.2%減の172万4000戸で2か月連続のマイナスとなり市場予想の176.5万戸も下回った。先行指標である住宅着工許可件数は同3.2%減の181万9000戸で市場予想の181.2万戸を若干上回った。

株売り債券買いの動きで5月18日の米長期債利回りは総じて低下した。10年債利回りは前日比0.10%低下の2.89%、30年債利回りは同0.11%低下の3.07%、2年債利回りも同0.04%低下の2.67%となった。
NYダウの大幅下落で為替市場はリスク回避優勢となり、先週末からドル高一服で戻していたユーロやポンド、豪ドル等が揃って急落、ドルストレートでのドル高が再燃した。一方でドル円はクロス円全般の大幅下落による円の買い戻しに加えて米長期債利回り低下による押し下げで下落した。
ユーロドルは5月13日安値1.0348ドルで2017年1月3日底1.0341ドルに迫ったところから5月18日午前高値1.0563ドルまで戻していたものの戻り幅の凡そ半分を解消、豪ドルや南アランド等の資源通貨も売られている。

【米連銀の大幅利上げ姿勢は変わらずだが超大幅利上げの可能性は低下】

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は5月18日の講演で「6月と7月のFOMCで0.50%ずつの大幅利上げに踏み切る」との見方を示したが、2回連続で0.50%利上げを行った後は慎重な利上げとし、0.25%利上げ程度とする姿勢を示した。同総裁は米国の1-3月期GDPはマイナスとなるが通年では3%程度の成長を見込むとし、景気後退の可能性を否定しつつも「金融引き締めのやり過ぎを望んでいない」とした。
米連銀の副議長に指名されたマイケル・バー元財務次官補は5月19日に予定されている上院銀行委員会での指名承認公聴会へ向けて「インフレはあまりに高すぎる、インフレ率2%へ押し下げにしっかり取り組む」と表明する旨の証言内容を示したが、特段のタカ派姿勢は見られない。
市場としては向こう2回の0.50%利上げを織り込みつつ、さらに利上げペースが加速するような状況にはならないだろうとの見方を強めており、10年債利回りも5月9日に付けた3.20%で当面は頭打ちという印象となっており、米長期債利回り大幅上昇によるドル円への強烈な押し上げ効果は後退しているようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月12日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしたが、5月17日夜高値からの伸び悩みにより5月18日午前時点では5月17日夜反落時の安値129.06円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りするとした。
5月17日夜安値を割り込んで128円割れまで失速してきているので、現状は5月17日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りしたところと思われる。ボトム形成期は5月18日の日中から19日夜にかけての間と想定されるため既に反騰注意期にあるが129円以下での推移中は一段安警戒とし、5月12日夜安値127.50円を割り込む場合は下げ足が早まる可能性もあると注意する。
128.70円超えからは強気転換注意とし、129円到達からは強気サイクル入りとして20日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月18日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試しに入るとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところからの下げ再開注意とする。

60分足の相対力指数は5月18日夜の急落時に20ポイントへ低下し、その後も40ポイント以下での推移が続いている為にまだ一段安余地ありとみるが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入り注意とし、50ポイント到達からは上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月12日夜安値127.50円を下値支持線、128.70円を上値抵抗線とする。
(2)128.70円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、5月12日夜安値割れからは126円台後半(127.00円から126.50円)を目指すとみる。126.75円以下は反発注意とするが、128.50円以下での推移か、直前安値から1円を超えない程度の戻りに留まるうちは20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)128.70円から129.00円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、129円を超える場合は反騰継続とみて129円台中盤を目指す上昇期に入るのではないかと考える。

【当面の主な予定】

5/19(木)
休場、トルコ
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.75%)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 1.79万人、予想 3.00万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 4.0%、予想 3.9%)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調済 (2月 208億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 1.9%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年同月比 (2月 9.4%)
20:30 (欧) 欧州中銀 理事会議事要旨

21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 17.6、予想 16.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.3万件、予想 20.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 134.3万人、予想 132.0万人)
21:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (3月 577万件、予想 565万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -2.7%、予想 -2.1%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.0%)
25:00 (欧) ヴェスターガー欧州委員、ホルツマン・オーストリア中銀総裁講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

5/20(金)
バイデン大統領、日韓歴訪(5/24まで)
07:45 (NZ) 4月 貿易収支 (3月 -3.92億NZドル)
08:01 (英) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -38、予想 -39)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数 前年同月比 (3月 1.2%、予想 2.5%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (3月 0.8%、予想 2.0%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (3月 -0.7%、予想 0.7%)

15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -1.4%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.9%、予想 -7.0%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 -1.1%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 -0.6%、予想 -8.3%)
15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 4.9%、予想 1.2%)
16:30 (英) ピル英中銀理事、講演
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感・速報値 (4月 -22.0、予想 -21.5)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る