ユーロ 2017年安値更新は必至(週報5月第3週)

先週のユーロは、金利市場とフィンランドとスウェーデンのNATO加盟の動きとがユーロの材料となりました。

ユーロ 2017年安値更新は必至(週報5月第3週)

2017年安値更新は必至

〇先週のユーロ、材料は金利市場とフィンランドとスウェーデンのNATO加盟の動き
〇ロシアが2カ国のNATO加盟に対しエネルギー輸出停止など経済制裁報復行えば欧州の景気減速加速か
〇景気悪化と利上げのスタグフレーション懸念続き、2017年安値をいつトライしてもおかしくない状況
〇今週はユーロドルの1.03トライに合わせてユーロ円の132円トライも見ることとなりそう
〇今週は1.0280レベルをサポートに、4月安値に近い1.0480レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、金利市場とフィンランドとスウェーデンのNATO加盟の動きとがユーロの材料となりました。金利市場は米金利だけでなくドイツ金利の動きにも注目が集まりましたが、ドイツ金利はドイツの材料というよりも米金利に追随して動いていただけともいえ、結局のところは米金利の動きが材料であったと言えます。

参考までに米金利(青)とドイツ金利(オレンジ)の先週の1時間足チャートの比較を載せておきますが、先週に関して言えばほぼ米金利に追随した動きであったと言ってよいでしょう。なお、ドイツ金利は24時間のフィードでは無いため直線的な部分がアジア時間に存在しています。

2017年安値更新は必至

もうひとつの材料がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請ですが、フィンランドとロシアは隣国でかつ国境が1300qにも及び、ロシアは中立国がNATOに加盟することを非難し、フィンランドは第2次大戦時にソ連に侵攻されたこともあり、ウクライナ危機を見てロシアの脅威を改めて感じることになったというところです。

これまでもロシアはNATOの東方拡大に強い難色を示してきたことから、今回の2か国の加盟によって欧州への経済制裁報復としてエネルギーの輸出などを停止する可能性もあり、欧州の景気減速に輪をかける流れになってくると考えられます。

欧州ではインフレが激しく年後半のどこかの時点でECBによる利上げが行われるとの見方がコンセンサスとなって来ていますが、景気悪化と利上げというスタグフレーション懸念が今後も続き、ユーロは2017年安値をいつトライしてもおかしくない状況です。

日足チャートをご覧ください。

2017年安値更新は必至 2枚目の画像

テクニカルに現状もっとも気になる水準は長期的な最終ターゲットとなる2017年年初の安値1.0340レベルですが、既に手前のターゲットは全て到達したことから、今週はいよいよこの1.0340レベルをトライしに行くと見ています。そして同水準を下抜けると長期的には次のターゲットとしてパリティ(1ユーロ1ドル)が視野に入ってくることとなります。

今週は2017年安値をどこまで更新できるかに注目ですが、一気に通り抜けるとも考え難く1.0280レベルをサポートに、4月安値に近い1.0480レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートです。先週考えた以上にユーロ安となったことでユーロ円も一時132.66レベルの安値をつけました。ユーロドルが一段安となる展開を考えていますので、ユーロ円も更に売られる展開となりそうです。ここからのターゲットをテクニカルに考えます。

2017年安値更新は必至 3枚目の画像

年初来安値と年初来高値の38.2%押しを下抜けた後にやや戻している段階ですが、チャートの形も悪く次のターゲットとしては半値押しの132.19レベルが視野に入る展開です。今週はユーロドルの1.03トライに合わせてユーロ円の132円トライも見ることとなりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月16日(月)
17:20 パネッタECB理事講演
17:40 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月貿易収支
23:15 英中銀総裁講演 ☆

5月17日(火)
15:00 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値 ☆
26:00 ラガルドECB総裁講演 ☆

5月18日(水)
15:00 英国4月CPI ☆
18:00 ユーロ圏4月CPI ☆

5月19日(木)
18:00 ユーロ圏3月建設支出
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆

5月20日(金)
08:01 英国5月消費者信頼感
15:00 ドイツ4月PPI ☆
15:00 英国4月小売売上高
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月9日(月)
ユーロドルはロシアの戦勝記念日でのプーチン演説に警戒感が広がっていたことと米金利上昇により欧州市場序盤には1.0495レベルと大台を割り込んでいました。しかし、東京時間16時からのプーチン演説はウクライナ侵略を肯定する程度の内容であったことや大台割れの買いも根強く反転。その後はドル円同様に米金利低下の動きからユーロ買い・ドル売りの動きで引けました。

5月10日(火)
ユーロドルは東京昼過ぎまでは底堅い動きとなっていましたが前日高値は超えられず、その後は終日じり安の展開を辿りました。しかし下値も1.0526レベルまでと1.05の大台割れにはまだまだ買いが残っていそうな地合いとなっていました。

5月11日(水)
ユーロドルは東京市場からじり高の動きとなっていましたが前日高値をトライしきれない状態でやや上値が重くなり始めたあたりでNY市場入り。強いCPI後の乱高下でユーロドルも1.0502レベルまで下落後に1.0577レベルまで急騰と、CPI直後に1日のレンジをつけに行く展開となりました。引けにかけては改めて売りが強まり1.05台前半へ押して引けました。

5月12日(木)
ユーロドルは前日NY市場以降の急速なドイツ10年債利回りの低下から上値が重くなっていましたが、フィンランドがNATOへの加盟を申請したことから西側とロシアとの国境がスカンジナビア半島東側まで延びることとなるためにロシアは反発。今後緊張が高まることであろうことからユーロ売りの材料となりました。

5月13日(金)
ユーロドルは東京市場ではドル円とともにユーロ円も底堅かったことからじり高となっていましたが、戻り売りも根強く欧州市場では反転下落、一時1.0349レベルと前日安値をわずかに下回りました。その後は2017年安値1.0341レベルを試しきれなかったことから週末を前にした買い戻しが入り、1.04前後でもみあいのまま引けました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る