ドル円 調整局面入りで今週は戻り売り(週報5月第3週)

先週のドル円は年初来高値となった月曜高値131.34レベルから木曜には127.54レベルまで4円近い調整となりました。

ドル円 調整局面入りで今週は戻り売り(週報5月第3週)

調整局面入りで今週は戻り売り

〇先週のドル円は4円近い調整、当面は131.34レベルを高値とする調整局面に入ったと見る
〇米金利のピークアウトとフィンランドNATO加盟などでのユーロ売りがユーロ円でも出たことが要因
〇今週は主要中銀総裁の発言に注目、現在の見方と異なる発言出なければ大きな動きなし
〇今週は127.10レベルをサポートに129.90レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は年初来高値となった月曜高値131.34レベルから木曜には127.54レベルまで4円近い調整となったことで、当面は131.34レベルを高値とする調整局面に入ったと見ることが出来ます。材料的には米金利もいったん先週月曜にピークアウトしたこと、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請の動きに対してロシアが反発していることによるユーロ売りがユーロ円でも出たことが要因です。

今週は経済指標よりも主要中銀総裁の発言により注目が集まりそうですが、米国は現状から年末までに1.5〜2.0%の利上げを見込んでいますし、ECBも早ければ7〜9月期に利上げを開始するというタカ派的な意見がECB関係者からも目立ちます。現在のコンセンサスとも言えるこうした見方と異なる発言が出て来ない限りはそれほど大きな動きになるとは思えません。

今週は日柄と値幅に注目してそちらをメインに取り上げます。

まず日柄からですが、暗号資産羅針盤のレポートで取り上げましたが、5月10日から6月3日までは水星逆行期間中となり、特に初期一週間程度は上下に振れるなどボラティリティの上昇が目立つ期間です。実際に先週の調整局面入りを見ているとボラティリティは上昇してきていることを感じます。

またビットコインに言えることですが、水星逆行中は一方向に動きやすい傾向があり、現状のビットコインは下降トレンドとなっていることを考えると、米国株式市場と相関が高いビットコインの動きを逆読みし、米株の一段安といった流れも考えられます。その理由が米金利上昇であればドル円も買われることになりますが、欧州の地政学リスク上昇によるユーロ円の売りが材料であれば円買いということにもなります。どのようなニュースが出てくるのか今週以降6月3日までは要チェックと言えます。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

ドル円は先週月曜の年初来高値を起点とした下降トレンドが始まり短期もしくは中期の調整局面に入りました。長期的には依然として円安トレンドにありますので、現状はその踊り場の調整と捉えられます。年初来安値と高値のフィボナッチ・リトレースメントを見ると23.6%押しが127.12と4月下旬の押し126.93レベルと近い位置にあり、現状の短期的下げの目途としては127円前後を考えておくとよさそうです。

更に下げる場合には38.2%押しの124.51が3月高値125.08レベルと比較的近い位置にあり125円の大台が次のターゲットとなりますが、今週中には到達する感じも無く、上記127円前後を考えておきたいところです。上値は130円の大台がやや遠のいた感はあるものの振れやすい日柄であることを考えると130円となりそうです。

今週はそれぞれのターゲットを参考にして127.10レベルをサポートに129.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月16日(月)
**:** シンガポール市場休場
11:00 中国4月小売売上高、鉱工業生産
16:00 トルコ3月経常収支
17:20 パネッタECB理事講演
17:40 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月貿易収支
21:30 米国5月NY連銀製造業景況指数
21:55 NY連銀総裁講演 ☆
23:15 英中銀総裁講演 ☆

5月17日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
15:00 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値 ☆
21:00 セントルイス連銀総裁講演
21:30 米国4月小売売上高 ☆
22:15 米国4月鉱工業生産、設備稼働率
22:15 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
23:00 米国5月NAHB住宅市場指数
23:00 米国3月企業在庫
26:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
27:00 パウエルFRB議長講演 ☆
27:30 クリーブランド連銀総裁講演

5月18日(水)
07:45 (シカゴ連銀総裁講演)
08:50 本邦1〜3月期GDP速報値 ☆
15:00 英国4月CPI ☆
17:00 南ア4月CPI
18:00 ユーロ圏4月CPI ☆
20:00 南ア3月小売売上高
21:30 米国4月住宅着工・建築許可件数
23:30 週間原油在庫統計
**:** G7(〜20日)

5月19日(木)
**:** トルコ市場休場
07:45 NZ1〜3月期PPI
08:50 本邦4月貿易収支(通関)
10:30 豪州4月失業率
18:00 ユーロ圏3月建設支出
**:** 南ア中銀政策金利発表
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
23:00 米国4月中古住宅販売 ☆
23:00 米国4月景気先行指数

5月20日(金)
07:45 NZ4月貿易収支
08:01 英国5月消費者信頼感
08:30 本邦4月CPI ☆
15:00 ドイツ4月PPI ☆
15:00 英国4月小売売上高
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆
**:** バイデン大統領訪日(〜24日)☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月9日(月)
ゴールデンウィークが本格的に明けて通常モードに戻った東京市場のドル円は休み明けの実需買いも入りドル買いが先行してのスタートを切りました。その後は米金利(10年債利回り)が一段高となる動きに沿って欧州市場序盤には131.35レベルの高値をつけました。米金利も欧州市場前場には3.203%まで上昇していましたが一転下げに転じ、ドル円もNY後場には130.11レベルまで水準を下げ、米金利はNY引け間際には金曜の水準を下回る3.028%まで下げました。

5月10日(火)
ドル円は株式市場開始後に日経平均とともに下げる場面も見られましたが130円割れではドル買いオーダーが並んでいたことから反発、その後は130円台前半の狭い値幅でのもみあいが続きました。

5月11日(水)
ドル円は東京時間は130.35前後でほとんど動かず、欧州市場序盤にそれまで底堅かったユーロドルの動きに追随してドル安となり、米金利低下と日計りのストップも入り一時129.59レベルの安値をつけました。NY市場に入り予想(8.1%)を超える8.3%のCPIが発表され米金利が急騰後に急反落する動きとともに130.81レベルまで上伸後に129.45レベルまで売り込まれ、引けにかけては130円の大台に近づいての引けとなりました。

5月12日(木)
ドル円は欧州市場序盤までは動かず、欧州市場に入りユーロが対ドル、対円で売りが広がったことでドル円でも売りが目立ちました。その後もユーロ円が大幅安となりドル円はNY市場前場に127.52レベルの安値をつけました。引けにかけてはユーロ円が下げ止まり買い戻しの動きとともに128円台前半へと戻して引けました。

5月13日(金)
ドル円は週末を控えて前日安値からの戻しが終日続きました。目立った材料が無く、株式市場が底堅い中で米金利がじり高となったことを受けた動きでしたが、129円台半ばから後半では戻り売りを考える向きの売りオーダーが入っていたことでNY市場では129円台前半での小動きに終始して引けました。

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