ドル円、久しぶりの週足陰線、風向き変化も(週報5月第3週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。ザラ場ベースでは一時131.35円を記録し、年初来高値を更新する局面も見られたが続かなかった。

ドル円、久しぶりの週足陰線、風向き変化も(週報5月第3週)

ドル円、久しぶりの週足陰線、風向き変化も

〇先週のドル円、当初はドル買い先行、週間高値131.35をつけ年初来高値更新
〇ドル高続かず週後半にかけ調整の動き優勢、130円割り込み一時127.52に
〇今週は更なる深押しの可能性、4/27安値126.95をターゲットとした動きとなるか
〇今週は5月NY連銀製造業景況指数や4月小売売上高などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは127.80-130.80、ドル高・円安は130円レベルが最初の抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。ザラ場ベースでは一時131.35円を記録し、年初来高値を更新する局面も見られたが続かなかった。

前週末は、週明け9日の「対独戦勝記念日」を前にしたロシア情勢が様々報じられるなか、7日には北朝鮮が弾道ミサイルと思しき飛翔体をまたもや発射したことが明らかに。中国に加えロシア、北朝鮮と日本を取り巻く環境もじわりとキナ臭くなってきた。
そうした状況下、ドル/円は130円半ばで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。年初来高値を更新し、週間高値となる131.35円を示現している。しかしドル高は続かず、週後半にかけては調整と思しき動きが優勢に。130円を割り込んだだけにとどまらず、一時127.52円となかなか大きな下押しが観測されていた。そののち、週末にかけて再びドル買い機運が高まるも上値はすでに重くなっており、週末NYは129.30円レベルで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、4日の米FOMCで0.5%の利上げを実施した米国だが、そののち先週も地区連銀総裁などから強気の発言が相次ぐ。たとえば、クリーブランド連銀総裁「今後2回のFOMCでの0.5%利上げを支持」、NY連銀総裁「0.5%の利上げを討議すべき」などになる。また注目を集めていた4月の米消費者物価指数が発表され、市場予想を上回る前年同月比プラス8.3%となったものの、マーケットはセントルイス連銀総裁が発した「現時点で0.75%の利上げは必要ない」との発言を材料視。大幅利上げが否定された、との見方から前述したようなドル/円の130円割れ、127円半ばに向けたドル高の調整を誘発していたようだ。

対して後者は、対独戦勝記念日の9日、プーチン氏が演説を行い、そのなかで今回の戦闘を正当化。しかし、多くが予想していた「勝利宣言」などは聞かれず、むしろ欧米の専門家からは戦況について「ロシア軍不利」といった見通しも広がり始めていた。そのため米国サイドなどから、「ウクライナにおける戦闘が長期化する」との見通しが様々伝えられた反面、NATOへの正式な加盟申請をしたフィンランドに猛反発するなど、対立構造がさらに周辺諸国へと拡大する懸念も取り沙汰されていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場はザラ場ベースで年初来高値を更新する局面も観測されたが、その週足はと言うと陰線引け。週足は、前週まで9週連続の陽線引けをたどってきたが、連続記録が先週途切れたことになる。それだけが要因ではないものの、時間調整と思しき様相から価格調整へと変化したのかもしれず、一部では今週さらなる深押しが入る可能性も取り沙汰されはじめていた。先週安値127.52円を下回り、4月27日安値の126.95円がターゲットとした動きも否定できない。

前述したように、次回6月FOMCで0.75%の利上げは微妙だが、0.5%の利上げはほぼコンセンサス。反面、日本は異質な異次元緩和政策をいまだ採用するだけでなく、長期金利の上昇を抑えるための指し値オペも継続的に実施しており、単純に日米金利差だけを考えると円を積極的に買い進める要因に欠けると言わざるを得ない。ただ、性急な利上げを受けた米景気の減速懸念などが高まりつつあるようで、実際ここのところNYダウをはじめとする米株価が不安定な動きをたどっている。米株価が下げ止まり、安定志向をうかがわせなければ、ドルにさらなる下落圧力がかかりかねない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は直近に131.25円と131.35円でダブルトップを達成したのち下値を試す展開。中期的なドル高基調が継続しているものの、ドルの上値トライは一旦仕切り直しか。むしろ、先週安値127.52円を下回るようだと、4月27日安値の126.95円がターゲットとした動きも否定できない。
ただし130円台を再び回復するだけでなく、しっかりと定着した場合にはその限りではない。年初来高値131.35円を視界内に捉えた動きをたどる可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には、台湾や日本に対する威嚇あるいは恫喝行為が日に日に強まっている感のある「中国情勢」。初めて国内での新型コロナのまん延を明らかにするなか、20日のバイデン米大統領訪韓前に「核実験実施」観測も根強い「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
そうしたなか今週は、5月のNY連銀製造業景況指数や4月の小売売上高などの米経済指標が発表されるほか、20日に発表される日本の4月消費者物価指数への関心も高い。またG20財務相・中銀総裁会議や、週末からのバイデン氏による日韓歴訪などにも一応要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、127.80-130.80円。ドル高・円安については130円レベルが最初の抵抗で、超えると11日高値の130.82円がターゲットに。それも超えると元の木阿弥、131.35円が再び視界内。
対するドル安・円高方向は、先週末安値128.30円の攻防にまずは注目。割り込めば126.95円を意識しつつ、128円台割れも。

ドル円、久しぶりの週足陰線、風向き変化も

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