ドル円、乱高下しつつも方向感を見出せず。米金利を睨みながらの神経質な展開(5/12朝)

11日(水)のドル円相場は乱高下しつつも方向感を見出せず。

ドル円、乱高下しつつも方向感を見出せず。米金利を睨みながらの神経質な展開(5/12朝)

ドル円、乱高下しつつも方向感を見出せず。米金利を睨みながらの神経質な展開

〇ドル円、米4月消費者物価指数が市場予想上回ったことなどから高値130.82まで急伸
〇買い一巡後は伸び悩み安値129.46まで急落、米ダウ平均株価の急反落などが重石
〇ユーロドル、1.0503まで急落後、欧州当局者の相次ぐタカ派発言などで高値1.0577に急伸
〇ドル円、方向感定まらない展開ながら、テクニカル的には強い地合い
〇ファンダメンタルズも、米FRBのタカ派スタンス明確化など、ドル円相場上昇を連想させる材料が揃う
〇ドル円相場の上昇、ボラティリティの高い相場展開を予想、本日の予想レンジ:129.50ー131.00

海外時間のレビュー

11日(水)のドル円相場は乱高下しつつも方向感を見出せず。@注目された米4月消費者物価指数(結果+8.3%、予想+8.1%)および米4月コア消費者物価指数(結果+6.2%、予想+6.0%)が市場予想を上回ったことや、A上記@を背景に米長期金利が急上昇したこと(米国によるインフレ高止まり→米FRBによる次回6月FOMCでの75bp利上げ織り込み再開→米10年債利回りが2.92%から3.07%へ急上昇→米ドル急騰)などが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値130.82まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B米主要株価指数の冴えない動き(一時前日比420ドル超上昇していた米ダウ平均株価が前日比▲360ドル超まで急反落)や、C上記Bを背景としたリスク回避の円買い圧力、D米長期金利の急低下(米10年債利回りが3.07%から2.91%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値129.46まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間5/12午前6時00分現在)では、130.00前後で推移しております。

11日(水)のユーロドル相場は乱高下しつつも方向感を見出せず。@米4月消費者物価指数の市場予想を上回る結果や、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0503まで急落しました。しかし、心理的節目1.0500をバックに下げ渋ると、B米金利低下を背景としたドル売り圧力や、C欧州当局者による相次ぐタカ派発言(フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは今夏より段階的に利上げを開始する」との発言や、エストニア中銀ミュラー総裁による「ECBは7月に利上げすべき」「6/9のECB理事会で今後数カ月の利上げ見通しを説明する可能性がある」との発言、ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ドイツのインフレ率は今年中に7%近くまで上昇する」「6月末で資産買い入れプログラムを終了し、7月に利上げを行うべき」との発言、ラガルドECB総裁による「ECBは資産購入終了から数週間以内に利上げする可能性あり」「インフレ見通しは中期的に目標を大きく超えている」との発言など)

D上記Cを背景としたECBによる金融政策正常化観測が支援材料となり、一転して高値1.0577まで急伸する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、E株式市場の冴えない動きや、F上記Eを背景とした資産現金化需要のドル買い圧力、Gロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクが重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/12午前6時00分現在)では、1.0520前後まで値を崩す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は乱高下しつつも方向感を見出しづらい動きとなりました(アジア時間に記録した安値129.60をボトムに米CPI後に130.82まで急伸するも、その後一転して129.46まで急落し、引けにかけて130.00まで値を戻すボラタイルな相場展開)。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えていること(昨日も一目均衡表転換線がサポートとして機能)や、日足・週足・月足の全てで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転+強気のパーフェクトオーダー)が点灯していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(米CPIは予想を上回る内容→ビハインドザカーブを避ける目的で米FRBが次回FOMCで75bpの利上げに踏み切るとの見方が再燃)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大→ドル買い・円売り)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています(上記以外にも、資源価格上昇に端を発した本邦貿易赤字の拡大懸念や、過剰流動性相場逆流に伴う資産現金化需要のドル買い圧力などもドル円相場の上昇要因)。

こうした中、本日は米4月生産者物価指数や、サンフランシスコ連銀デイリー総裁発言などに注目が集まります。昨日の米CPI後のプライスアクションを見ても分かる通り、市場参加者の米インフレ指標への関心度が極度に高まっているため(※先週発表された米FOMCで声明文の中に“the committee is highly attentive to inflation risks”=「委員会はインフレリスクに高い関心を寄せている」との文言が追加されたことが背景)、本日予定されている米PPIが市場予想を上回る結果となる場合や、サンフランシスコ連銀デイリー総裁がインフレへの警戒感を示す場合などには、米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円に再び上昇圧力が加わるものと推察されます(状況次第では5/9に記録した約20年ぶり高値130.36を試すシナリオも想定)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(引き続きボラティリティの高い相場展開の継続を予想)。

本日の予想レンジ:129.50ー131.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、乱高下しつつも方向感を見出せず。米金利を睨みながらの神経質な展開

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