『一目雲に下支えられて持ち直すも戻りは鈍い。下落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、プラチナ価格軟調、中国経済失速懸念に週明け週間安値8.03まで下落
〇週央にかけてはFOMC前のポジション調整、プラチナ価格の回復に8.38まで反発
〇その後は南ア経済指標の冴えない結果、米長期金利上昇によるドル高に8.15まで反落して越週
〇南ア円、上方に複数のレジスタンスポイント控える等テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもFRBタカ派スタンス、中国経済減速懸念等、南ア円の売り材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.30
今週のレビュー(5/2−5/6)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.22円で寄り付いた後、@プラチナ価格の軟調推移や、A上記@を背景とした南アフリカの交易条件悪化懸念、B中国経済の失速懸念(4/30に発表された中国4月製造業・サービス業PMIの不冴な結果→経済的な結びつきの強い南アフリカの景気下振れ懸念)が重石となり、週明け早々に、週間安値8.03円まで下落しました。しかし、一目均衡表雲上限をバックに下げ渋ると、C米FOMCを控えたポジション調整(短期筋のショートカバー)や、D南アフリカの主要産品である金やプラチナ価格の持ち直し(交易条件改善期待→南アランド買い)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.38円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、E米FOMCにて金融引き締め姿勢が明確化されたこと(政策金利の50bp引き上げと、バランスシートの圧縮スケジュール詳細化)や、F南ア経済指標の冴えない結果、G米金利上昇に伴うドル高圧力(新興国から米国への資本流出)が重石となり、結局8.15円前後まで反落しての越週となっております。
来週の見通し(5/9−5/13)
南アフリカの対円相場は4/19に記録した約3年10ヵ月ぶり高値8.74円をトップに反落に転じると、4/27に一時8.00円(約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しましたが、今週は一目均衡表の雲に下支えされる形で小幅に持ち直す動きとなりました。但し、上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドに加えて、直近高値8.74円と直近安値8.00円を起点としたフィボナッチ50%戻しなど)が控えていることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(今週開催された米FOMCの声明文には、“the committee is highly attentive to inflation risks”との記述が追加→米FRBによるインフレ抑制スタンスの明確化→過剰流動性相場逆流懸念→新興国から米国への資本流出懸念)や、A中国経済の失速懸念(中国における新型コロナウイルス感染拡大→ロックダウンの長期化懸念→南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の失速懸念)、B南ア経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる計画停電に加えて、ナタール州で発生した大規模洪水被害が下押し圧力。今週発表された南ア4月製造業PMI、南ア4月Naamsa自動車販売、南ア4月スタンダード銀行PMIは軒並み冴えない結果)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベント(南ア3月製造業生産のみ)に乏しいため、中国および米国の主要経済指標やヘッドラインを睨みながらの展開が予想されます。中国の景気減速懸念が高まる場合や、米国の金融引き締め観測がもう一段強まる場合などには、南アランドに強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(心理的節目8.00円の下方ブレイクを試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.30
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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