ユーロ一段安への警戒が高まる(週報4月第3週)

先週のユーロは、週前半は米金利上昇によるユーロ売りが先行、ECB理事会を前に買い戻しが入り月曜高値圏でECB理事会を迎えました。

ユーロ一段安への警戒が高まる(週報4月第3週)

ユーロ一段安への警戒が高まる

〇先週のユーロ、ECB理事会を前に買い戻しが入り高値圏でECB理事会を迎える
〇予定通りAPPを縮小との内容に理事会直後に失望売り、オーバーシュート気味の値動きに
〇ウクライナ問題も停戦協議再開は期待が持てず、しばらくはユーロ売り材料
〇週末に実施されるフランス大統領選の決選投票の結果、来週の材料だが重要
〇今週は1.0700レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半は米金利上昇によるユーロ売りが先行、ECB理事会を前に買い戻しが入り月曜高値圏でECB理事会を迎えました。APPの早期終了や早期利上げの示唆などタカ派な内容を期待する向きも多かったのですが、蓋を開けて見るとこれまでの予定通りにAPPを縮小していくとの内容に失望売りが入った恰好でした。

理事会直後には突っ込み売りが出てオーバーシュート気味の値動きとなりましたが、欧州の主要市場がイースター休暇で金曜から月曜まで休場となることもあって、多少の買い戻しが入って以降は様子見のまま一週間を終えています。ECBの発表に関しては仮にタカ派な内容であったとしても米金利上昇のほうが早く結局は発表後に上げてもすぐに下げに転じた可能性も高そうでしたから、金融政策材料でのユーロ安の動きは当面は続きやすいと言えます。

またウクライナ問題ではロシアが東部での攻撃を強めていることから停戦協議再開は期待が持てない状況です。5月9日はロシアがナチスに勝った記念日となっていて、それまでにそれなりの成果を出さなくてはならないプーチンが今後どのような動きに出てくるのか、一部では戦略核使用の可能性が一段と高まったとの指摘もあり、ウクライナ問題もしばらくはユーロ売り材料にならざるを得ないでしょう。

今週は水曜以降にいくつかの経済指標が出ますが、水曜のドイツPPIと金曜の欧州主要国の製造業・サービス業PMI速報値程度でそれほど注目の高いものはありません。週末に実施されるフランス大統領選の決選投票の結果は来週の材料ですが重要です。週末の世論調査ではマクロン大統領52%、ルペン党首48%とマクロン大統領が優勢ではあるものの、逆転する可能性もあることや、ルペン氏がウクライナへの対応にやや距離を置こうとしていることから欧州の対ロシア共闘に影響が出るとの見方もあり、週末の決選投票に向けて現在の支持率が一層均衡する場合、ユーロ売りで反応しそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ一段安への警戒が高まる

上昇ウェッジ(青)を下抜けたあとは下降トレンドを再開し短期的には紫の平行下降チャンネル内での動きとなっています。テクニカルには最初のターゲットであった2月高値を起点とした逆N波動による61.8%エクスパンション1.0758を見たことで、次のターゲットとして78.6%(61.8%の平方根)エクスパンション1.0642を視野に入れ始めてきたと言えます。

まだ試すにはタイミング的に早い感じもしますが、ウクライナ情勢とフランス大統領選決選投票がきっかけとなる可能性はあり注意は必要です。上値は3月28日安値1.0944レベル前後が引き続き戻りの限界点です。今週は大きな下降チャンネル(ピンク)下限を改めてトライしやすい流れにありますので、1.0700レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートです。

今週のコラム

ユーロは弱いのですが、円はもっと弱くユーロ円はじりじりと年初来高値137.52レベルへと近づいてきました。円相場の水準に対しての当局のスタンスがそれほど強く無いため、引き続きドル円とともにユーロ円でも円安が続きやすい地合いには変化は無さそうです。

137.52を明確に上抜けてくると139円水準、141円水準といったあたりが今後のターゲットとなってきます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月18日(月)
**:** イースターマンデーで日本と米国を除く主要市場休場 ☆

4月19日(火)
(特になし)

4月20日(水)
15:00 ドイツ3月PPI ☆
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
20:15 フィンランド中銀総裁講演

4月21日(木)
15:45 フランス3月企業景況感
18:00 ユーロ圏3月CPI
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値
25:30 英中銀総裁講演
26:00 パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁講演

4月22日(金)
08:01 英国4月消費者信頼感
16:15 フランス4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

4月24日(日)
 **:** フランス大統領選決選投票 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月11日(月)
ユーロドルは前週末よりも高く始まりましたが、フランス大統領選が決選投票で接戦となりそうなものの現職マクロン大統領優勢な状況は変わらないとの見方を好感したようでした。米金利上昇によるドル買いの動きで先週終値近辺に押したものの欧州市場では円安の動きがユーロ円でも加速、ユーロドルはその動きに引っ張られて上昇。NY市場ではユーロ円が売りに転じたことでユーロドルは安値圏へ押して引けました。

4月12日(火)
ユーロドルは前日の流れを受けNY市場まではじり安の展開となりましたが、特に目立った材料が出たわけでも無くポジション調整が中心となっていました。米国CPI発表後には一時的に上昇する場面も見られましたが、その後は改めてドル買いの動きから1.0821レベルまで下押しし安値圏での引けとなりました。

4月13日(水)
ユーロドルは前日NY後場の流れを受けて上値の重たい展開が続いていましたが1.08を目前に下げきれずNY前場に見た1.0809レベルを安値に反転上昇。ECB理事会を控えていることもあって、売り手が急速に買い戻しに動いたこと、米金利低下によるユーロ買いが入ったことでNY昼過ぎには1.0894レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。

4月14日(木)
ユーロドルはECB理事会を控えて1.09台前半でのもみあいを続けていました。理事会では6月まではこれまでの計画通りのAPPを続け、買い入れ終了も7~9月期とされ、タカ派な内容を期待する参加者も多かったことからECB理事会後にユーロは大幅安となりNY朝方には1.0757レベルの安値をつけました。引けにかけてはポジション調整から1.08台前半を回復しました。

4月15日(金)
ユーロドルは欧州市場がグッドフライデーで全休場に近いことから終日のレンジが34pipsに留まりほとんど動意薄状態となりました。ユーロ円はドル円での円安の動きから水準は切り上げたものの前日高値は超えられずと、イースターの4連休が明けるまで方向感が出にくい流れが続きそうな週末クローズとなりました。

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