早くも円安機運再燃、ドル/円は続伸も
〇本日のドル円、ドル一段高で年初来高値125.10を一時更新する局面も
〇次のターゲットは2015年6月高値の125.86、超えれば130円が意識される
〇今後は「レートチェック」や、本邦政府要人などによる円安けん制発言には要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは124.50-125.80
〇ドル安・円高方向は、これまでの年初来高値だった125.10が最初のサポート
<< 東京市場の動き >>
週明け11日の東京市場はドル一段高。年初来高値125.10円を一時更新する局面も観測されていた。
先週末は、ロシアが短距離弾道ミサイルを使用し「東部クラマトルスクの駅を攻撃した」と報じられ思惑を呼ぶ。一方、実施されたフランス大統領選は、現職のマクロン氏と極右政党・国民連合のルペン氏が決選投票に進出することが確実になったと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は124.10円前後で寄り付いたのち、わずかに小緩む局面も見られたが124円レベルで下値は堅い。また、日中安値を示現後は一転して右肩上がり展開をたどると、結果として1円を超える上昇を達成している。年初来高値の125.10円も超え、125.40-45円まで値を上げると、そのままドルは高値引け。16時現在でも125.40円レベルで推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアの「戦争犯罪」疑惑が取り沙汰されるなか、ウクライナの首都キーウを英首相が電撃訪問。ゼレンスキー大統領との会談も行ったという。また、それとは別の新たな市民を標的とした虐殺が観測され、それが前段でも取り上げた「東部クラマトルスクの駅を攻撃した」ことになる。女性や子どもを含む多数の死傷者が出たもようで、欧米諸国の要人や国連事務総長などから非難が相次いでいた。ただ、TBSテレビの報道によると、インタビューに応じた駐日ロシア大使は「ウクライナ当局による挑発で自作自演のでっち上げ」、「攻撃しているのは軍事施設だけ」などと述べ、虐殺を一貫して否定していたとされている。
対して後者は、米紙WSJが「上海のコロナ感染急増で厳しい規制に舞い戻り」としたうえで、「オミクロンで窮地に」と伝えるなか、習国家主席がフィリピンのドゥテルテ大統領に対して米国との連携にクギを刺した発言を行ったことが明らかとなった。そうしたなか、米中高官が会談し、北朝鮮対応について議論するも、中国は「火に油を注ぐのではなく、緊張緩和と対話につなげるべきだ」とし、制裁強化に難色を示したという。
<< 欧米市場の見通し >>
先月末に一時121円台前半まで値を下げていたドル/円相場だが、そんな調整の動きは早くも一服。しかしドルの戻りも鈍く、もう少し123-124円台でもたつくのかと思いきや、本日東京時間一気に年初来高値を更新している。いずれにしても、リスクはドル高方向に引き続きバイアスで、次のターゲットは2015年6月高値の125.86円。そのレベルも超えれば、中期的なメドになるものの、いよいよ「130円」が意識されることになりかねない。
根本にあるのは日米などの金利差なのだろうが、本日を含め最近の為替市場はドル/円だけにとどまらない円全面安の様相だ。かなり根深そうであることは気に掛かる。そうした状況下、本日東京でも内田日銀理事から「為替相場の経済・物価への影響を十分に注視」とのコメントが聞かれたものの、結果としてパッとせず。影響も極めて限られたとはいえ、このあとも本邦政府要人などによる円安けん制発言には要注意で、さらに一歩踏み込んだ「レートチェック」の噂などが聞かれる可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京で意外にあっさり125.10円を超えてきた。次のターゲットは125.86円となるが、超えてしまうと再び明確な上値メドはなく、軽い青天井となりかねないだろう。中期的な上値メドとしては130円台、2002年以来20年ぶりの高値示現も否定できない。
それに対するドルのサポートは、まずこれまで抵抗だった125.10円そして124.70円レベルなどとなる。
材料的に見た場合、中長期的には10年債利回りが2010年以来となる米国を下回ったことが明らかになった「中国情勢」。当局が中国本土のコロナ新規感染は10日に2万7509件になったと発表した「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場」−−などに注目。
一方、本日は目立った米経済指標の発表が予定されないものの、アトランタ連銀総裁やシカゴ連銀総裁による講演が相次ぎ実施される見通しだ。また、バイデン米大統領とインドのモディ首相と首脳会談(オンライン形式)や、オーストリー首相とプーチン露大統領の会談、EU外相会談など政治的なイベントは多く、併せて要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは124.50-125.80円。本日東京高値の125.40-45円の攻防にまずは注目。抜ければ125.86円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、これまでの年初来高値だった125.10円が最初のサポートか。抜けても124.70円などでは底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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