ユーロ安の流れは継続(週報4月第2週)

先週のユーロは、週を通してユーロがじり安の流れを辿りました。

ユーロ安の流れは継続(週報4月第2週)

ユーロ安の流れは継続

〇先週のユーロ、週を通しジリ安推移、安値1.0848レベルつける
〇ロシアへの追加制裁、米年内利上げ見通し下げ要因に
〇4/14にECB理事会とラガルド総裁会見予定、タカ派議論強まるか注視
〇ただし、米国の大幅利上げ既定路線の中、一時的ユーロ買いの動きになったとしても長続きしないか
〇今週金曜グッドフライデー、来週月曜イースターマンデーで欧州主要国4連休、薄い市場での変動に注意
〇今週は1.0750レベルをサポートに1.0950レベルをレジスタンスとする週とみる

先週のユーロは、週を通してユーロがじり安の流れを辿りました。ユーロ売りの材料としてはロシアへの追加制裁が決まったことで欧州景気に更に悪材料となるであろうこと、米国の年内利上げ見通しが一気に強まり米金利上昇によるドル買いの動きが対ユーロでも見られたこと、これら2つがユーロドルの下げ要因となりました。

ただ、ドル円でも日米金利差拡大を材料とした円売り(ドル買い)が強まっていて、日銀が大規模緩和を継続するいっぽうで、ECBは4〜6月期倍増のAPPを減額修正してくる可能性があり、7月以降にいつ利上げしてもおかしくないという展開ですから、日本と欧州との金融政策の方向性の違いもあって、ユーロ円も高値圏でもみあいとなっていて、その動きがユーロドルの下げるスピードを抑えています。

今週は14日にECB理事会がありますが、これまでのECB関係者の発言から考え、増額しているAPPを減額を実施してくるのかどうか、また7月以降の利上げについての具体的な言及があるかどうか、注目点はこれまで以上のタカ派な議論が行われるかどうかということになりますが、理事会そのものよりも理事会後のラガルドECB総裁の会見内容により注目が集まるでしょう。

ただ先週の動きを見てもわかる通り、ECBが緩和を縮小し年後半には利上げ(マイナスから0%へ)が行われるとしても、その頃には米金利も2%前後へと上昇している可能性が高いことを考えると、一時的にユーロ買いの動きになったとしても長続きせず、ドル買い(ユーロ売り)の流れへと戻る方向と思われます。

また材料とは異なりますが、今週金曜はグッドフライデー、来週月曜はイースターマンデーと欧州主要国は4連休となります。クリスマスとイースターが欧州の市場参加者が激減する時期ですから、ECB理事会後に市場が薄くなってくることで思いのほか動くということはありかもしれません。

ウクライナ問題は進捗が見えず、いったん市場の材料としにくくなっていますので、テクニカルな観点からいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ安の流れは継続

3月安値からの上昇ウェッジを下抜けたことでテクニカルには年初来安値(3月安値)1.0805レベルを試しやすい流れとなっています。材料的にはECB理事会前後に買い戻しが入る可能性もありますが、戻りとしては赤の短い水平線で示した3月28日安値1.0944レベル前後が限界点に思えます。

また、年初来安値を下抜けた場合には2月高値を起点とした逆N波動によるフィボナッチ・エクスパンションを計算すると61.8%エクスパンションが1.0758となります。今週はこれらテクニカルなターゲットをベースに買い戻しが出たら戻り売りとなり、さらにドル買い(ユーロ売り)が強まる流れを継続すると考え、1.0750レベルをサポートに1.0950レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルの日足チャートです。

ユーロ安の流れは継続 2枚目の画像

ユーロドルの年初来安値更新を視野に入れていることを書きましたが、ポンドドルでは既に先週金曜に年初来安値を下抜けています。現在はピンクのラインで示した逆N波動から計算される50%エクスパンション1.2976から61.8%エクスパンションの1.2900をターゲットに下げやすい地合いが続いています。ポンドとユーロの双方が下値模索をしていく展開となりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月11日(月)
15:00 英国2月鉱工業生産、貿易収支

4月12日(火)
08:01 英国3月小売売上高
15:00 ドイツ3月CPI
15:00 英国3月失業率
15:45 フランス2月貿易収支
18:00 ドイツ4月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感

4月13日(水)
15:00 英国3月CPI ☆

4月14日(木)
08:01 英国3月住宅価格
20:45 ECB理事会 ☆
21:30 ラガルドECB総裁会見 ☆

4月15日(金)
**:** 東京を除く主要市場休場(グッドフライデー)☆
15:45 フランス3月CPI

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月4日(月)
ユーロドルは東京市場では動きが見られなかったものの、欧州市場に入りEUがロシアに対して追加制裁を行うとのニュースから欧州景気に与える悪影響を懸念した売りが目立ちました。欧州市場序盤には1.10台半ばでしたが、金曜安値を下回るとストップも巻き込みながらNY後場には1.0960レベルへと水準を下げ安値引けとなりました。

4月5日(火)
ユーロドルはNY市場までほとんど動きが見られませんでしたが、NY市場のブレイナード理事のタカ派発言による金利上昇を受けてユーロ売り(ドル買い)となり1.0900レベルまで下押しして安値引けとなりました。

4月6日(水)
ユーロドルは東京市場では前日の流れを受けてユーロ売り(ドル買い)となり、東京後場に1.0874レベルの安値をつけました。NY市場朝方には1.0938レベルと日中高値まで買い戻しが入りましたが、引けにかけてはFOMC議事録発表後に上下はあったものの1.09水準へと押して引けました。

4月7日(木)
ユーロドルは東京市場ではじり高後に下げ前日安値をわずかに下回っての欧州市場入り。ECB理事会の議事要旨が公表され、金融政策正常化への措置が即座に必要と6月までのAPP増額の修正や早期利上げの可能性からNY朝方には1.0939レベルの高値をつけました。しかし、米金利上昇の勢いに押されて結局は安値圏へと下げる行って来いの動きとなりました。

4月8日(金)
ユーロドルは東京前場から上値が重くじり安の流れとなり、欧州市場序盤には1.0848レベルの安値を見ました。欧州市場ではロシアへの追加制裁で売っていた向きの買い戻しから欧州昼前には1.0892レベルの戻り高値をつけました。その後は米金利上昇によるユーロ売りからNY前場に1.0836レベルの安値をつけ、引けにかけてはユーロ円の買いも手伝って1.08台後半へと戻して引けました。

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