トルコリラ円見通し 膠着状態続くが徐々に新興国通貨への圧迫感も強まり始めるか(22/1/27)

トルコリラ円の1月26日は8.47円から8.39円の取引レンジ、27日早朝の終値は8.44円で前日と変わらず。

トルコリラ円見通し 膠着状態続くが徐々に新興国通貨への圧迫感も強まり始めるか(22/1/27)

 膠着状態続くが徐々に新興国通貨への圧迫感も強まり始めるか

〇トルコリラ円、1/3の高安レンジ内での持ち合い続く、27日早朝終値は8.44で前日と変わらず
〇対ドルでも膠着状態続くが、26日安値は18日安値に届かず13.60台ではやや底堅さも見られる
〇株式市場の調整局面入りと今後の金融引き締め強化感は新興国経済へのダメージに
〇新興国通貨安や株安が進めば脆弱なトルコリラへの売り攻勢がいずれかのタイミングで再燃も
〇2/3のトルコ物価指数発表が持ち合い下放れのきっかけになる可能性もあるところと注意
〇8.48以下での推移中はもう一段安余地あり、8.37割れからは8.30台前半への下落を想定
〇8.48超えからは上向きとして8.50台序盤への上昇を想定、8.53以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円の1月26日は8.47円から8.39円の取引レンジ、27日早朝の終値は8.44円で前日と変わらず。
1月20日のトルコ中銀金融政策決定会合で5会合ぶりに追加利下げが見送られたものの市場予想通りだったため発表後に一時的なリラ買いがみられた程度で勢いは続かずに失速し、その後は1月3日の高安レンジ(8.13円から9.00円)での持ち合い範囲にとどまっての推移を続けている。
1月27日早朝には米FOMC金融政策の発表があり、ドル円は26日午前安値113.75円からFOMC後の高値で114円台後半へ上昇したことがトルコリラ円には支えだったが、対ドルではFOMC前にドル高リラ安となりFOMC後も小動きだったために決め手に欠いた状況のままでの推移を続けた。

【対ドルでも持ち合い範囲で膠着状態続く】

ドル/トルコリラの1月26日は13.63リラから13.45リラの取引レンジ、27日早朝の終値は13.58リラで前日終値の13.47リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
1月27日早朝にFOMC金融政策の発表があり、3月の利上げ開始、パンデミック対策で膨れ上がった総資産圧縮の早期着手とリーマンショック後の資産圧縮期よりも早いペースで進むとされたことで政策発表後はドル高反応となったが、ドル/トルコリラでは26日夜に先行してこの日の安値となる13.63リラへ下落した後は新たな安値更新を回避した。
13リラ台の持ち合いで膠着した展開が続いており、その中でも1月20日高値13.26リラからはややドル高リラ安基調となったものの1月26日夜安値は1月18日深夜安値13.61リラには届かずに13.60リラ台ではやや底固さも見られる。

【FOMC後のドル高】

米連銀FOMCは3月から利上げサイクルに入り、資産圧縮も開始してインフレ抑制へ動き始める。パンデミック対策として主要国中銀は揃ってリーマンショック対策時を上回る規模の量的緩和を実施して景気回復を支えてきたが、感染拡大が続く中での人手不足とモノ不足によるインフレ進行が顕著であり、インフレによる生活圧迫が政治課題として最重要視されてきていることで、米連銀をはじめ既に利上げサイクルに入っている英国、カナダなどに続いてECBや豪中銀への利上げ圧力も強まっている。

大規模金融緩和とパンデミック初期のパニックを通過したことによりNYダウが大上昇を続けて年初に史上最高値を更新したが、やや過剰な緩和が資産インフレを助長し、それ以上に実体経済における物のインフレも深刻化している。オミクロン株による感染再拡大が人手不足とモノ不足によるインフレ進行を一段と進めかねない中で主要国が利上げサイクルに入れば景気回復にはブレーキとなる可能性もあるが、景気鈍化へのリスクよりもインフレ対策が優先され始めれば、景気回復への楽観も続かなくなり株高基調に大きなひびが入る。
既にNYダウが大幅下落して調整局面入りが濃厚となってきた印象だが、株式市場の調整局面入りと今後の金融引き締め強化感は新興国経済へのダメージとなる。その上でウクライナ情勢の緊張も重なり、原油高騰や地政学的リスク増大による市場心理の悪化も懸念される。

そうした中でトルコ中銀は9月から12月までの4会合連続利下げをいったん中断したものの、利下げがインフレを抑制するとするエルドアン大統領による政策姿勢を踏まえれば、1-3月期に追加利下げを見送っても先行きでは利下げ継続したいままであり、世界の中銀スタンスとの差が際立ってくる可能性がある。トルコリラは対円及び対ドルで膠着的な持ち合いで推移しているものの、新興国通貨安や株安が進む場合には脆弱なトルコリラへの売り攻勢がいずれかのタイミングで再燃して持ち合い下放れへ進むことも懸念される。2月3日のトルコ物価指数発表がそのきっかけになる可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月20日の中銀金融政策発表後に一段高してから失速したために21日午前時点では20日夜高値でサイクルトップを付けたとして24日午後から26日夕にかけての間への下落を想定した。
1月24日深夜と25日夕安値で8.40円を試したところから26日夜へやや戻し、その後の失速で8.40円を割り込んでいるため、現状は25日夕安値を直近のサイクルボトム、26日夜高値を同サイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしている可能性がある。このため26日夜高値を上抜き返せないうちは28日午後から2月1日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜に先行スパンを上抜きかけたものの再び転落し、その後の戻りでも先行スパンが上値抵抗となっている。20日夜高値以降は戻り高値切り下がりで推移しているので26日夜高値を上抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、26日夜高値を超える場合は反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイント割れを買い戻されつつ60ポイントに届かない範囲での推移が続いているので、60ポイントを超えないうちは下向きとして45ポイント割れからは30ポイント以下への低下を想定し、60ポイント超えからは70ポイント手前への上昇を想定するがその後の反落注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.37円を下値支持線、8.48円を上値抵線とする。
(2)8.48円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、8.37円割れからは8.30円台前半(8.35円から8.30円)への下落を想定する。8.32円以下は反騰注意とするが、8.45円以下での推移なら28日の日中も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)8.48円超えからは上向きとして8.50円台序盤(8.50円から8.53円)への上昇を想定する。8.53円以上は反落注意とするが、8.50円を超えた後も8.48円以上での推移なら28日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

1月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 1/21時点 (1/14時点 707億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 1/21時点 (1/14時点 70.5億ドル)
1月28日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -54億ドル)
 16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 114億ドル)
 17:00 12月 観光客数 前年比 (11月 111.5%)
2月01日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 52.1)

2月03日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 13.58%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 36.08%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 13.2%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年比 (12月 31.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 19.08%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 79.89%)
 20:00 週次 外貨準備高 

注:ポイント要約は編集部

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