ドル円見通し FOMCをタカ派に受け止めて1月4日以降の下降トレンドから抜け出す(22/1/27)

ドル円は1月27日早朝のFOMC金融政策発表を控えて買い戻し先行となり、FOMC声明及び議長会見後に114.50円を超えて27日朝には114.70円台へ続伸している。

ドル円見通し FOMCをタカ派に受け止めて1月4日以降の下降トレンドから抜け出す(22/1/27)

FOMCをタカ派に受け止めて1月4日以降の下降トレンドから抜け出す

〇ドル円、FOMC声明及び議長会見後に114.50を超え27日朝には114.70台へ続伸
〇25-26日のFOMC、3月の次回FOMCでのゼロ金利解除=利上げを強く示唆
〇議長「資産圧縮は前回より早期に動く」との見通し、市場は想定より早く進むとみてドル高反応に
〇114.20以上での推移中は上向き、115.00超えからは115.25前後への上昇を想定
〇114.20割れからは114.00前後試しとみるが、114円前後は買い拾われやすい水準

【概況】

ドル円は1月27日早朝のFOMC金融政策発表を控えて買い戻し先行となり26日午前安値113.75円からの上昇で25日夜高値114.15円を超えて26日夜には114.30円台を回復、FOMC声明及び議長会見後に114.50円を超えて27日朝には114.70円台へ続伸している。
1月4日高値116.34円を起点として下落基調に入り、戻り高値を切り下げつつ1月24日夜には113.46円を付けて1月14日夜安値113.47円をわずかに割り込んだものの、その後の切り返しにより114円台後半へ持ち直し、1月4日夜高値以降の戻り高値を結ぶほぼ1直線の上値抵抗線を突破してきたため、両安値をダブルボトムとして反騰入りし始めた印象だ。1月18日高値115.05円を超えればダブルボトム完成となり、1月4日夜高値を試す流れへ進みやすくなるのではないかと思われる。

【FOMCの3月利上げは予想通りだが、量的縮小は前回より早いペース】

米連銀(連邦準備制度理事会=FRB)は1月25-26日の連邦公開市場委員会(FOMC=金融政策決定会合)で政策金利を現状維持としたが、声明において利上げはまもなく適切となるとし、3月15-16日の次回FOMCでのゼロ金利解除=利上げを強く示唆した。利上げに入れば2018年12月以来となる。
またパンデミック対策で膨れ上がった米連銀の総資産(凡そ9兆ドル)については「利上げプロセス開始後に縮小する意向」とした。

バイデン大統領が「インフレ対策を最重要課題」とした直後の11月22日にパウエル米連銀議長はバイデン大統領から再任の指名を受け、FOMCはその後に「インフレは一時的」としてきた見解を撤回してインフレ対策へ軸足を置くタカ派へのシフトを進めてきた。12月FOMCでは早期の量的緩和終了と2022年3回の利上げ想定を示しており、今回のFOMCの内容自体は前回と同様であり特段のサプライズを含むものではなかった。しかし、議長は会見で2017年から2019年にかけての資産圧縮時と比較して「前回より早期に動き、おそらく急速になるだろう」との見通しを示した。資産縮小開始の具体的な時期とペースについては言及しなかったため、市場は想定よりも早いペースで引き締めが進むのではないかとタカ派色が一段と濃くなったと受け止めてドル高反応を示した印象だ。
現時点では年3回の利上げ想定だが、四半期ごとの年4回の利上げや相当に急ピッチでの資産圧縮による物価抑制を試みる可能性も考えられる。

【米長期債利回り上昇】

1月26日の米10年債利回り終盤は前日比0.10%上昇の1.87%となった。1月19日に1.90%へ上昇してパンデミック発生以降の最高水準としたところから株安による債券買いから1月24日に1.70%まで低下し、25日も様子見での小動きだったが、FOMC後の上昇により1月19日高値水準に迫っている。2年債利回りは0.13%上昇の1.15%となり1月19日に付けた1.07%を超えてパンデミック発生以降の最高値を更新した。
NYダウは前日比129.64ドル安と下げた。1月13日から21日まで6日間の大幅下落となり24日と25日には当日の高安レンジが千ドル前後規模となる乱高下となったところからはひとまず落ち着いた印象もあるが、高値で34815.67ドルを付けたところからは上げ幅を600ドル以上削っている。ナスダック総合指数は2.83ポイント高とわずかに上昇で終わっているが高値で14002.65ポイントまで戻していたところから400ポイント以上の下落で終了。いずれも金融引き締めが一段と進むとの認識を強めたことを反映しており、年初からの調整期がさらに続きやすい状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたとし、1月24日夜安値を割り込まないうちは26日の日中から27日にかけての間への上昇余地ありとした。
1月27日午前序盤へ上昇を継続しているので27日の日中からさらに高値形成期が延びる可能性もあると思われる。下落基調から上昇基調に転じるところではボトム形成が短縮されてリズムも変わるため、1月25日夜高値を基準として28日夜から2月1日夜にかけての間への上昇余地も出てきたと考える。弱気転換は114円割れからとし、その場合は27日夜から31日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月26日午後からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持して実線との乖離を拡大しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、弱気転換は遅行スパン悪化からとする。

60分足の相対力指数は27日早朝に80ポイント台へ到達しているため目先は反落注意とみるが70ポイント割れを切り返す場合は高値追及を続けやすいとみる。また相場が小反落後の一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は弱気転換注意とし、60ポイント割れからはいったん40ポイント台へ低下する可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.20円を下値支持線、115.00円を上値抵抗線とする。
(2)114.20円以上での推移中は上向きとし、115.00円超えからは115.25円前後への上昇を想定する。115.25円以上は反落注意とするが、直前高値から0.50円程度の下落にとどまる場合は28日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.20円割れからは114.00円前後試しとみるが、114円前後は買い拾われやすい水準とみる。

【当面の主な予定】

1/27(木)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.75%、予想 4.00%)
09:30 (豪) 10-12月期 輸入物価指数 前期比 (7−9月 5.4%、予想 1.4%)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -6.8、予想 -7.8)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 2.5%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.8%、予想 0.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 28.6万件、予想 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 163.5万人、予想 165.0万人)
22:30 (米) 10-12月期 GDP速報値 前期比年率 (7−9月 2.3%、予想 5.5%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (7−9月 2.0%、予想 3.3%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE速報値 前期比年率 (7−9月 4.6%、予想 4.9%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -2.2%、予想 -0.5%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 0.2%、予想 -4.0%)
27:00 (米) 財務省7年債入札

1/28(金)
08:30 (日) 1月 東京区部消費者物価 生鮮食料品除く 前年同月比 (12月 0.5%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価 前期比 (7−9月 1.1%)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価 前年同期比 (7−9月 2.9%)
18:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 1.7%、予想 -0.2%)
18:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 2.5%、予想 1.9%)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 115.3、予想 114.5)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感確定値

22:30 (米) 10-12月期 雇用コスト指数 前期比 (7−9月 1.3%、予想 1.2%)
22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 0.4%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 個人消費支出(PCE) 前月比 (11月 0.6%、予想 -0.6%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 5.7%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前月比 (11月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (11月 4.7%、予想 4.8%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 68.8、予想 68.6)

注:ポイント要約は編集部

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