トルコリラ円見通し 中銀金融政策発表を通過して次のきっかけを探る持ち合い続く(22/1/25)

トルコリラ円の1月24日は8.52円から8.39円の取引レンジ、25日早朝の終値は8.45円で先週末終値の8.44円からは0.10円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 中銀金融政策発表を通過して次のきっかけを探る持ち合い続く(22/1/25)

トルコリラ円見通し 中銀金融政策発表を通過して次のきっかけを探る持ち合い続く

〇トルコリラ円、1/24は8.52から8.39の取引レンジ、1/21に8.35まで下げた後は小動きに収まる
〇対ドル、1/24夜にかけてドル高進みややドル高リラ安の推移だが、13リラ台に収まっての揉み合い
〇2/3発表の次の物価上昇率発表まで、様子見が続きやすいところ
〇8.50以下での推移中はもう一段安余地ありとし、8.42割れから下げ再開と想定する
〇8.50超えからは反騰継続とみて、8.53から8.57への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月24日は8.52円から8.39円の取引レンジ、25日早朝の終値は8.45円で先週末終値の8.44円からは0.01円の円安リラ高だった。
トルコリラにとっての直近の最重要イベントは1月20日のトルコ中銀金融政策決定会合だったが、市場予想通りに5会合ぶりの現状維持とされたことで一時8.61円まで上昇したものの買い一巡後には発表前水準の8.50円を割り込み、21日に8.35円まで下げた後はやや買い戻されつつも小動きに収まっている。
9月からの4会合連続利下げを嫌気して12月20日に6.17円の史上最安値を付けた後、エルドアン大統領によるリラ預金の為替差損補填政策発表から12月23日に11.14円へ急反騰、戻り一巡から1月3日には8.13円まで反落し、その後は1月3日の反発時高値9.00円を超えることなく8円台での持ち合いを続けている。

【対ドルでは24日はややドル高リラ安の推移】

ドル/トルコリラの1月24日は13.54リラから13.13リラの取引レンジ、25日早朝の終値は13.44リラで先週末終値の13.43リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
12月20日に18.36リラまで大暴落してから12月23日に10.06リラまで反騰、揺れ返しのドル高リラ安で1月7日に13.41リラまで下落したが、その後はややドル安リラ高でジリ高の推移ではあるが13リラ台に収まっての揉み合いを続けている。
1月24日は米連銀のFOMCが迫っていることとウクライナ情勢の緊張で夜にかけてはドル高が進んだためにややドル高リラ安の推移で、一時的な上昇で13リラに迫った場面は戻り売りにつかまっている。

【当面は次の物価上昇率発表まで様子見が続きやすいところ】

9月から12月までの4会合連続の利下げ強行と消費者物価の大幅上昇という中でトルコリラ円は歴史的暴落となり、リラ預金の為替差損を国家が補填するという奇策発表により暴落がひとまず落ち着いたが、インフレ進行とリラへの不信任感は解消されずにいる。
トルコ中銀のカブジュオール総裁は1-3月期の様子見姿勢を示し、利下げ強行を迫ってきたエルドアン大統領も利下げ継続によるインフレ抑制政策は変わらないものの追加利下げを急がない姿勢を示して市場をやや落ち着かせている。

リラ暴落が落ち着いたものの、依然として歴史的な安値水準にあることはトルコにとっては輸入物価の上昇、生産者物価の上昇を招き消費者物価高騰も続きかねない状況にある。特に原油価格の高騰が続いていることとオミクロン株による感染拡大が世界規模のサプライチェーンの停滞=人手不足とモノ不足を発生させていることは、トルコの高インフレ進行を抑える事が難しい状況にあることを示していると思われる。
次回の消費者物価指数の発表は来週の2月3日にある。1月は前月比13.58%上昇、前年比36.08%上昇、食品とエネルギー等を除いたコア指数でも前月比13.2%上昇、前年比31.9%上昇であり、次回発表も高水準の場合は利下げへ踏み切れないジレンマと利下げしたい大統領の苛立ちが示されてリラ安が再燃するきっかけにもなりかねないと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月19日夕安値で19日未明安値割れを回避して持ち直したために20日午前時点では19日未明安値と19日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとして20日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定したが、20日の中銀金融政策発表から一段高した後に失速していたため、21日午前時点では既に20日夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるとして24日午後から26日夕にかけての間への下落を想定した。
25日深夜へ安値を切り下げてから戻しているため、既にボトムを付けた可能性がある、8.50円を超えないうちはもう一段安余地ありとして8.42円割れからは下げ再開とみるが、8.50円超えからは強気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンから転落しているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月24日深夜への下落時には指数のボトムが切り上がる強気逆行の気配がみられるので、55ポイント超えからは上向きとして70ポイントに迫る上昇を想定するが、50ポイント台を維持できずに40ポイント割れへ失速する場合は下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.39円を下値支持線、8.50円を上値抵抗線とする。
(2)8.50円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、8.42円割れから下げ再開とし、8.39円割れからは8.35円前後への下落を想定する。8.35円以下は反騰注意とするが、8.45円以下での推移中は26日の日中も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)8.50円超えからは反騰継続とみて8.53円から8.57円への上昇を想定する。8.55円以上は反落注意とするが、8.50円を超えた後も8.47円以上での推移なら26日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)
1月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 1/21時点 (1/14時点 707億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 1/21時点 (1/14時点 70.5億ドル)
1月28日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -54億ドル)
 16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 114億ドル)
 17:00 12月 観光客数 前年比 (11月 111.5%)

2月01日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 52.1)
2月03日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 13.58%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 36.08%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 13.2%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年比 (12月 31.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 19.08%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 79.89%)
 20:00 週次 外貨準備高 



注:ポイント要約は編集部

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