ユーロ ECB理事会はユーロ売りに動きやすい(週報12月第2週)

先週のユーロは、1.12台半ばの買いと1.13台半ばの売りに挟まれ、今週の金融政策ウィークを前に積極的な取引は手控えられたという感じでした。

ユーロ ECB理事会はユーロ売りに動きやすい(週報12月第2週)

ECB理事会はユーロ売りに動きやすい

〇先週のユーロ、1.12台半ばの買いと1.13台半ばの売りに挟まれ、積極的取引手控えられる
〇今週16日ECB理事会、PEPP継続やAPPの一時的増額など緩和逆戻りの可能性も
〇オミクロン株への懸念、テーパリングに関する米国との温度差でユーロ上値抑えられやすい状況
〇米FOMC結果で調整売り出てくる場合、ユーロ円の下げ進みやすいか
〇今週はユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 、ECB理事会、ラガルド総裁会見など予定
〇今週は1.1230レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初は動かず、週半ばはオミクロン株に対するファイザーの発表を好材料にユーロ円上昇とともにユーロドルも上昇、その後は米ロ首脳会談で進展なく下げ、週末は予想通りのCPIで上げと、連日ニュースや指標に反応してはいたものの、方向感が出るでもなく1.12台半ばの買いと1.13台半ばの売りに挟まれ、今週の金融政策ウィークを前に積極的な取引は手控えられたという感じでした。
今週15日のFOMCではコンセンサス通りテーパリングの加速が決定され、金利見通しでは2022年中の利上げ見通しが示されるであろうこと、為替市場は当初ドル買い、その後株式市場の調整が入りやすく円買いとなりやすいであろうことを書きました。ユーロの場合翌16日のECB理事会の影響も考えなくてはならないため複雑です。

オミクロン株以前は12月のECB理事会では特に政策自体に変化は無いものの2022年3月終了予定のPEPP(緊急購入枠)について包括的な議論が行われるという流れでした。しかし、最近に至るまで欧州主要国における新型コロナ感染者が急増し、そこにオミクロン株まで登場したことで状況が変わってきました。

PEPPは感染者が収まる前提で終了という予定でしたから、まずその前提が崩れたことになります。当面PEPPも継続するか、あるいは先週観測記事として出てきたAPP(通常購入枠)の一時的な増額と、緩和に逆戻りする可能性が出てきました。ただ一時的な増額が必要なほど欧州経済が後退する恐れがあるのかというと、もう少し出てくる経済指標を見たいというのが本音でしょうし、欧州でもインフレが進む中でテーパリングが一段と遅れる決定はしにくいようにも思えます。

現状ではそうした思惑がユーロの上値を抑えやすい状況ですが、仮に何も無かった場合には初動はユーロ買い、しかしその後の会見でラガルド総裁がオミクロン株への警戒と景気への懸念を示し上値を抑えられやすくなるというところではないでしょうか。またAPP増額が決定された場合は素直にユーロ売りでしょう。いずれにしてもテーパリングにはまだまだ遠い道のりということから米国との温度差が中期的にユーロの上値を抑えるでしょうし、前日のFOMCの結果で実際に株式市場に調整売りが出てくる場合にはユーロ円の下げが進みやすいのではないかという見方でいます。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ECB理事会はユーロ売りに動きやすい

今週もこれまでと同じラインを残してありますが、下降ウェッジの下限(青)で上値を抑えられ、11月安値1.1185レベルを試しやすい地合いに変化は無いと言えるでしょう。ただ着実にテクニカルなレンジは狭められていますので、短期的には12月に入ってからのレンジ(1.1227〜1.1359)の中での取引を継続しやすいでしょう。

今週は1.1230レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は英中銀MPCもありますが、以前に比べ新型コロナの影響が目立つ英国では利上げは遠のいたという感じがします。現状維持が前提でMPCメンバーで利上げに賛成票を投じる委員の増減に注意というところでしょうか。ただ、英国も利上げが遠のいていることから米国との違いでポンドには売りが入りやすい状況と言えるでしょう。

テクニカルにはポンドドルの日足を見ておきます。

ECB理事会はユーロ売りに動きやすい 2枚目の画像

ピンクのラインで示した下降チャンネルの中での動きでしたが本日は既にレジスタンスラインに達していますので、上側のラインは11月上旬の戻り高値を起点に引いたレジスタンスライン(青)で良いと思います。同ラインは現在1.33前後を下降中ですから、ポンドドルは同水準で上値を抑えられやすいと言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月13日(月)
(特になし)

12月14日(火)
16:00 英国11月失業率
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産

12月15日(水)
16:00 英国11月CPI ☆
16:45 フランス11月CPI
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

12月16日(木)
16:45 フランス12月企業景況感
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:45 ECB理事会 ☆
22:30 ラガルドECB総裁会見 ☆

12月17日(金)
16:00 ドイツ11月PPI
16:00 英国11月小売売上高
18:00 ドイツ12月ifo企業景況感
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月建設支出

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月6日(月)
ユーロドルはドル買いによるユーロ売りの動きとユーロ円ではドル円とともに円売りとなったことによるユーロ買いの動きが打ち消しあって、やや上値が重たい程度の流れが続きました。

12月7日(火)
ユーロドルは東京市場では動きは見られなかったものの、欧州市場に入りユーロが対円をはじめ他通貨で売りが目立ち、米露首脳会談でウクライナ問題の進展が見られなかったことから一時1.1228レベルの安値をつけました。引けにかけては1.12台前半で買いオーダーも見られやや買い戻されての引けとなりました。

12月8日(水)
ユーロドルは東京市場から買いが先行し、ファイザーの追加接種でオミクロン株にも効果があるとのニュースで一時的にドル買い(ユーロ売り)とはなったものの、ユーロが対ポンドをはじめ主要通貨に対して強含む流れが続き1.1355レベルまで上伸後そのまま高値圏での引けとなりました。

12月9日(木)
ユーロドルは前日の上げに対して調整の売りが進む中、12月ECB理事会で一時的に緩和拡大がされるとの観測記事とエバーグランデの部分的デフォルトでユーロ円が売り込まれたことからユーロドルも終日上値が重たい流れとなっていました。

12月10日(金)
ユーロドルはドル円とドルの動きとして同様、NY市場まではドル高・ユーロ安、CPI後はドル安の流れからユーロドルの買い戻しとなりました。CPI後の反応の時間差から一時的にユーロ円の売りとなりましたが、すぐに戻しドルの相場となった一日でした。

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