トルコリラ円見通し 最安値近辺での推移続く(21/12/10)

12月7日に8.45円まで戻した後は軟調推移で史上最安値更新への余裕も乏しい状況が続いている。

トルコリラ円見通し 最安値近辺での推移続く(21/12/10)

トルコリラ円見通し 最安値近辺での推移続く

〇トルコリラ円、昨日は8.34から8.16の取引レンジ、史上最安値更新は回避しているものの余裕も乏しい
〇ドル/トルコリラ、13.83-13.58レンジで推移、最安値近辺での推移続き2日連続の日足陰線
〇トルコの外貨準備高減少、今月のドル売りリラ買い市場介入反映、今後介入による防衛力は薄いか
〇12/16トルコ金融政策委員会を前に一段とリラ売り進むのか、慎重姿勢のまま結果を待てるのか試される
〇8.30以下での推移中は下向きとし、8.15割れからは8.07前後への下落を想定する
〇8.30から8.35にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすく、8.25を割り込んでからは下げ再開注意

【概況】

トルコリラ円の12月9日は8.34円から8.16円の取引レンジ、10日早朝の終値は8.22円で前日終値の8.31円からは0.09円の円高リラ安となった。
高インフレ下での連続利下げ強行とエルドアン大統領による利下げ政策継続姿勢を嫌気して12月3日に8.05円の史上最安値まで大幅下落した後は下げ一服となり新たな安値更新は回避しているものの、12月7日に8.45円まで戻した後は軟調推移で史上最安値更新への余裕も乏しい状況が続いている。

【対ドルでも最安値近辺へ下落】

ドル/トルコリラの12月9日は13.83リラから13.58リラの取引レンジ、10日早朝の終値は13.78リラで前日終値の13.67リラからは0.11リラのドル高リラ安となった。
12月3日に13.89リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、12月6日からは新たな安値更新を回避しているものの終値ベースでは12月6日終値13.78リラで最安値をつけ、その後も最安値近辺での推移が続いている。
12月7日には13.39リラまで小反発したものの12月8日と9日は2日連続の日足陰線で下落しており最安値更新への余裕は乏しい。

【外貨準備高は減少】

12月9日夜に発表されたトルコの週次外貨準備高は12月3日時点のグロスで850億ドルとなり前週の879.2億ドルから減少した。ネットでは224.7億ドルで前週の246.7億ドルから減少した。
トルコ中銀は12月1日と12月3日の二度、ドル売りリラ買いの市場介入を行っており、今回の外貨準備高減少は介入によって減少したことを反映していると思われる。
ネットの外貨準備高は今年4月に99.3億ドルまで減ったところから増加に転じて11月4日時点では326.4億ドルとなっていたがその後は減少が続いている。グロスでも昨年11月時点の403.7億ドルから今年11月時点で879.2億ドルまで増加してきたがその後は減少に転じている。
既に通貨スワップ協定による残高を除けば外貨準備高は枯渇しているのではないかとの見方もされており、今後のリラ安に対しての介入による防衛力は薄いと思われる。

【12月16日のトルコ中銀MPCへ向けたリラ売り始まるか】

トルコ中銀は12月16日に金融政策委員会(MPC)を開く。カブジュオール総裁は12月に追加利下げした後に暫く様子を見るような姿勢を国内投資家との会談で述べたと報じられているが、前回の利下げ後もエルドアン大統領による利下げ継続姿勢の強調が繰り返されている。
政策金利は19%から15%まで3会合連続で引き下げられてきたが、12月16日の会合ではさらに14%まで引き下げられる可能性も考えられるところだ。果たしてそこで利下げ打ち止めが宣言されるのか、エルドアン大統領によるさらなる利下げ継続姿勢の強調となるのかというところが焦点になってくるが、市場としては12月16日前にリラ売りが一段と進むのか、慎重姿勢のまま会合の結果を待てるのか試されるところだ。
既に8円台まで最安値を更新した状況のため、下値の目途もつけがたい。材料一巡とならずにリラ売りが続く場合には通貨危機的な状況や、インフレ進行の中で既にやすいパンを求めて行列ができているとの報道もあり大衆の不満も増長して政権支持基盤が揺らぐことも懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月6日夕安値から7日夜へ戻したところからの失速により12月9日午前時点では8日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日夕から13日夕にかけての間への下落を想定した。
12月10日午前序盤も軟調な推移が続いているので引き続きボトム形成中とみる。強気転換は8.30円を超えるところからとし、その際は11日未明から15日未明にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命とみる。

60分足の一目均衡表では12月8日未明高値からの下落により遅行スパンが悪化、9日夕刻には先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返す場合はいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後の先行スパン転落からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は12月7日午後から8日未明にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから30ポイント台へ低下した。50ポイント台を回復できないうちはもう一段安警戒とするが、50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.15円を下値支持線、8.30円を上値抵抗線とする。
(2)8.30円以下での推移中は下向きとし、8.15円割れからは8.07円前後への下落を想定する。8.07円以下は買い戻しも入りやすいと注意するが8.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.30円から8.35円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみてその後に8.25円を割り込むところからは下げ再開注意とする。

【当面の主な予定】

12月10日
 16:00 10月 失業率 (9月 11.5%)
12月12日
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 8.9%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.5%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 16.52億ドル
12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -174.1億リラ)
12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)



注:ポイント要約は編集部

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