トルコリラ円見通し 連日の史上最安値更新も一服でやや持ち直す
〇トルコリラ円、12/7は8.45から8.18の取引レンジ、夕刻から戻り高値切り上げる
〇対ドル、12/7は13.84から13.38の取引レンジ、最安値更新一服し13円台前半へ戻す
〇トルコ中銀二度の市場介入実施、12/6に4会合連続利下げ後は当面追加利下げ見送る可能性も
〇リラ安基調は継続だが暴落一服で市場も様子見か、ただし刺激的発言によってはリラ安値試しに注意
〇8.20以上での推移中は上昇余地ありとし、8.45超えからは8.50円台への上昇を想定する
〇8.20割れからは下げ再開とみて、8.10前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月7日は8.45円から8.18円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.41円で前日終値の8.21円からは0.20円の円安リラ高だった。
12月3日に8.05円(ベンダーによっては8.10円)まで史上最安値を更新した後は下げ一服の動きとなり8.20円を挟んでの揉み合いとなっていたが、7日夕刻から徐々に戻り高値を切り上げて8日未明にはこの日の高値となる8.45円まで持ち直した。12月3日にトルコ中銀の市場介入報道があったところで付けた戻り高値8.48円には届かずにいるのでまだ最安値近辺の水準といえるが、トルコ中銀による介入警戒感もあって目先は利益確定での買い戻し優勢となった印象だ。
【対ドルでも最安値更新は一服】
ドル/トルコリラの12月7日は13.84リラから13.38リラの取引レンジ、8日早朝の終値は13.49リラで前日終値の13.78リラからは0.29リラのドル安リラ高だった。
高インフレ下での連続利下げ強行と先行きの追加利下げ懸念から暴落商状に陥り、連日の史上最安値更新が続いて12月3日には13.89リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、12月6日は新たな安値更新を回避したものの終値ベースでは12月2日から3日連続で最安値を更新した。
12月7日も午後にかけては最安値近辺での推移が続いていたが、14リラ台へ向かうのは時期尚早とし、連日の安値更新による突っ込み警戒感も出ていったん利益確定でのリラ買い戻し優勢となり13円台前半へ戻している。
【中銀の市場介入への警戒感】
トルコ中銀は12月1日と12月3日に二度の市場介入でリラ買いドル売りを実施した。トルコ中銀が公式に市場介入したことを発表することは珍しい。既に通貨スワップ協定による外貨準備分を除けば正味の外貨準備高は底をついているのではないかとの見方もある状況のため、大規模な市場介入を繰り返し実施してゆくのは難しいと思われるが、これまでも外為取引規制の強化、国内銀行に対する外貨預金への準備率の引き上げ等によりリラ暴落を阻止するような政策を何度か採ってきた経緯もある。
エルドアン大統領は11月18日に3会合連続で利下げを強行した後にも利下げの継続姿勢を繰り返し強調している。またカブジュオール中銀総裁も12月16日の次回会合で4会合連続の利下げを行った後はしばらく様子を見るというスタンスを国内投資家向け会議で示している。このため、12月16日の次回会合で若干の追加利下げを行った上で利下げ継続姿勢を示しつつも当面は追加利下げを見送る可能性がある。
歴史的なリラ安基調は継続的と思われるが、ひとまず暴落一服で市場も様子見に入り、来週の米連銀FOMC(12/14-15)の動向も踏まえて12月16日のトルコ中銀金融政策発表とその直後の中銀総裁や大統領等の発言等を見定めたいというところと思われる。ただし、やや落ち着いている市場心理をかき回すような刺激的発言を大統領等が繰り返すようだと、市場もリラの安値試しへと向かう可能性もあると注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月1日の中銀による市場介入で一時急騰したところから大統領発言により反落したため、12月2日午前時点では12月1日夕安値を直近のサイクルボトム、1日夜の急騰時高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を12月6日午後から8日夕にかけての間と想定した。
12月6日夕安値で下げ止まり7日夜へ戻り高値を切り上げてきているため、現状は12月6日夕安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしているところと思われる。高値形成期は6日夜ら8日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるため、8日夜にかけては高値試しを続ける可能性が残るが、8.20円割れからは下落期入りとして9日夕から13日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月7日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は12月7日午後から8日未明にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。50ポイント以上での推移かわずかに割り込んでも切り返すうちは上昇余地が残るとみるが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみて30ポイント割れを試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.20円を下値支持線、8.45円を上値抵抗線とする。
(2)8.20円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.45円超えからは8.50円台への上昇を想定する。8.55円以上は反落注意とするが、8.30円以上を維持しての推移なら9日も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)8.20円割れからは下げ再開とみて8.10円前後への下落を想定する。8.10円以下は反発注意とみるが、8.20円以下での推移なら9日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月09日
20;00 週次 外貨準備高(グロス) 12/3時点 (11/26時点 870.2億ドル)
12月10日
16:00 10月 失業率 (9月 11.5%)
12月12日
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 8.9%)
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.5%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%)
16:00 10月 経常収支 (9月 16.52億ドル
12月15日
17:00 11月 財政収支 (10月 -174.1億リラ)
12月16日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)
注:ポイント要約は編集部
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