トルコリラ円レポート月曜版(21/12/6)

先週のトルコリラ円は、安値が8.08レベル、高値が9.17レベルとなり、予想レンジよりも大幅にトルコ安が進行する流れが続きました。

トルコリラ円レポート月曜版(21/12/6)

トルコリラ円レポート月曜版

〇先週のトルコリラ円、トルコリラ安進行し8.08レベルの史上最安値をつける
〇12/1に対ドルで13.8491レベルの安値をつけたため中銀が8年ぶりに市場介入を行う
〇介入でもトルコリラ安止まらず、さらに大統領の低金利政策も「変えるつもりはない」
〇インフレを抑えるための利上げが期待できない現在のトルコのゆがみは末期症状に近い
〇今週は8円の大台を下抜け7.50レベルをサポートに、8.75レベルをレジスタンスとする週と見る

本来ですとランド円の週ですが、12月1日にトルコ中銀が8年ぶりに為替市場に直接介入をしたにもかかわらず史上最安値を更新中ということで、今週もトルコリラ円についての分析となります。

まず、先週の振り返りですが、「前週安値に近い8.50レベルをサポートに前週後半の戻り高値に近い9.90レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.08レベル、高値が9.17レベルとなり、予想レンジよりも大幅にトルコ安が進行する流れが続きました。

先週のトルコリラは、週明けからトルコリラ安が進行し月末には対円で8.08レベルの史上最安値をつけました。対ドルでは翌1日に13.8491レベルのトルコリラ安値(ドル高値)をつけたことで、トルコ中銀は「不健全な価格形成」が行われているため為替市場においてトルコリラ買い(ドル売り)の市場介入を行いました。中銀が直接市場に介入するのは2014年1月以来8年ぶりとなりますが、その後も対円は安値圏から戻らず、対ドルでは3日のCPIの結果(コアCPIは17.6%と前月の16.8%から上昇)を受け13.8808レベルへと最安値を更新、トルコ中銀は2度目の介入を行いましたが、対ドルでもトルコリラは安値圏から抜け出していません。

そもそものトルコリラ売りの発端はエルドアン大統領の圧力に屈してトルコ中銀が、10月に2%、11月にも1%の利下げを行ったことなのですが、エルドアン大統領の「低金利政策がトルコのためである」という考え方と、今回の介入でも止まらないトルコリラ安を見ても「変えるつもりはない」という発言は、トルコリラ安を止められない原因となっています。

おそらくトルコ中銀としては12月16日の中銀会合でも1%の追加利下げを考えていたのでしょうが、さすがにここまでのトルコリラ安進行を見て中銀としては現状維持とせざるを得ないでしょう。現状維持でもトルコリラ安は止まらなそうであることから、緊急避難的な利上げも考えるべきですが大統領は認めないでしょう。

今週もトルコリラ安は続きそうですが、トルコ中銀の介入も無制限に行えるほど外貨準備はありませんので、ここから急落ということがあった場合、過去にいくつかの中銀が行った為替市場の一時的閉鎖ということも考えているかもしれません。ただ、何もしなければ現在のトルコリラ安の流れは止まることは無さそうです。

ちなみに前回2014年1月の直接介入時にはトルコ中銀は緊急利上げも行い、政策金利を4.5%から10.0%にまで引き上げたことでその後半年ほどはトルコリラ安を防ぐことができました。長期的にはトルコリラ安連続の流れではあるものの、中銀が過去にトルコリラ安を止める際に行ったこと、インフレを抑えるために行ったことを振り返ればやるべきことはひとつ=利上げのはずなのですが、それが期待できない現在のトルコの歪みは、末期症状に近いように思えます。トルコの総選挙は2023年ですが、その前にエルドアン大統領が退陣せざるを得なくなるような事件が来年あたり起きても誰も驚かないでしょう。

おそらく今週もトルコリラ安が続くと考えざるを得ないのですが、チャートを見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版

最近の値動きの大きさを考えるとピンクの平行線で示した下降チャンネルもおかしくはないものの、さすがに一気に7円、6円と大台を変え続ける展開は無いかと思います。青の水平線で示したターゲットは2018年の戻り高値を起点に逆N波動を考えた場合の78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションで、7.37となっています。

テクニカルに現在の下値のターゲットはこの7.37、いっぽうで戻りは8.50より上では売りが出てきそうですから1日介入後に売りが出始めた8.75レベルが妥当に思います。今週はかなりワイドですが、8円の大台を下抜け7.50レベルをサポートに、8.75レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

注:ポイント要約は編集部

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