ユーロドルは年初来安値を再度トライ(週報12月第1週)

先週のユーロは、オミクロン株懸念によるドル売りとユーロ売りが相殺し、月末ロンドンフィキシングによる振れを除くと全般に動意薄の展開となりました。

ユーロドルは年初来安値を再度トライ(週報12月第1週)

ユーロドルは年初来安値を再度トライ

〇先週のユーロ、オミクロン株懸念によるドル売りとユーロ売り相殺し動意薄、1.13前後でのもみあい
〇週間高値1.1382レベルつけるも、ロンドンフィキシングで安値1.1235レベルまで急落  
〇ECBとFRBの金融政策方向性の違い、欧州での景気減速懸念が中期的ユーロ売りの材料に
〇今週はユーロ圏財務相会合、同7〜9月期GDP確報値 、ドイツ11月CPIなど発表予定
〇今週は1.1185レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、オミクロン株懸念によるドル売り(ユーロ買い)と欧州にも影響が出始めていることによるユーロ売りとが相殺した格好となり、月末ロンドンフィキシングによる振れを除くと全般に動意薄の展開となりました。火曜の東京後場にモデルナCEOがワクチンの効果が薄れると発言したことでドル売り・ユーロ買いが目立ち発射台がかなり上がっていたところに、月末実需で大口のユーロ売りが入り、ユーロドルは週間高値の1.1382レベルから週間安値の1.1235レベルまで急落の様相となりました。この動きを除くとユーロドルは基本的に1.13前後でのもみあいです。

今週も目立った材料は少ないものの、今週もオミクロン株の感染状況がユーロの重石となることは確実です。既に欧州全域で感染者が見つかり、EUの疾病対策センター(EUDC)は2日にオミクロン株が、数か月以内に欧州での感染の半数以上の原因になるとの予測を出し、デルタ株よりも増殖優位性がある可能性に言及しました。また南アフリカ国立伝染病研究所は再感染の増加とオミクロン株の出現のタイミングが一致していることから抗体を持っている人を再感染させるリスクが高いとの分析結果を公表しました。

よくあるウイルス変異の一般的なパターンだと言ってしまえばそれまでなのですが、ようやく世界的に経済活動が回復に向かいつつある時期に感染力が強く従来のワクチンが効かないウイルスが登場したことはクリスマス商戦に向けての商業活動の低迷や人の移動制限による航空会社への打撃など様々な業種への悪影響が当面続くことを意味しますし、今後も新たな変異株が出てくるリスクを改めて知らしめたことは、特にデルタ株の感染拡大が広がっている欧州にとっては打撃としか言えません。

米国はそれでもテーパリングの加速と2022年中の利上げコースから外れないでいますが、ECBは緊急購入枠継続の理由となりうる感染拡大が収まらない流れへと一段の悪化を見せる可能性も出てきました。少なくともFRBとECBの金融政策の方向性の違い、そして欧州での景気減速懸念が中期的なユーロ売りの材料となってくると言えるでしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロドルは年初来安値を再度トライ

先週と同じラインを残してありますが、1.1908を起点とした逆N波動を想定した127.2%=161.8%の平方根エクスパンション1.1202(ピンクの太い水平線)でいったん反発したものの下降ウェッジの下限(青)で上値を抑えられ、改めて11月安値1.1185レベルを試す展開になってきたと言えます。次のターゲットとなる1.1609レベル(161.8%エクスパンション、ピンクの太い水平線)は引き続き考えておくべきターゲットですが、今週のところは年初来安値である11月安値がターゲットです。

上方向はウェッジの下限(現在1.1350レベル)から先週の戻り高値(1.1382レベル)がレジスタンスとなりますが、より低い1.13台半ばが妥当そうです。今週は1.1185レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の週足を見ておきます。

ユーロドルは年初来安値を再度トライ 2枚目の画像

ユーロ円は前週安値を下回り先週は127.37レベルと2月以来の安値圏へと下がりました。オミクロン株の懸念による株安の動きがドル円だけでなくクロス円の下げにもつながっていることがじり安の要因ですが、テクニカルには先週示した年初来安値と高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる127.01を今週中に試すこととなりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月6日(月)
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
**:** ユーロ圏財務相会合 ☆

12月7日(火)
09:01 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値 ☆
**:** 米ロ首脳会談 ☆

12月8日(水)
 (特になし)

12月9日(木)
09:01 英国11月住宅価格
16:00 ドイツ10月貿易収支

12月10日(金)
16:00 ドイツ11月CPI ☆
16:00 英国10月鉱工業生産、貿易収支
**:** G7外相サミット ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月29日(月)
ユーロドルは東京市場では下げが目立ちましたが、オミクロン株以前の欧州における感染拡大に加え、新規感染者が見つかり始めたことによるユーロ売りへとつながりました。海外市場に移ってからは上下の動きはあったものの1.1260レベルではユーロ買いオーダーも入っていた様子で、引けにかけては1.13水準に近づく動きを見せていました。

11月30日(火)
ユーロドルは東京後場からNY前場まではモデルナCEOの発言を受けたオミクロン株に対する懸念からドル安・ユーロ買いの動きが目立ち、NY前場には1.1383レベルの高値をつけました。しかし、パウエル議長のタカ派な議会証言とロンドンフィキシングで大きめのドル買いが出たことから1.1235レベルまで急落を見せることとなりましたが、引けにかけては1.13台前半へと水準を戻しました。

12月1日(水)
ユーロドルは終日細かい上下は見られたものの方向感は出ず、1.1330レベルを中心としたもみあいが続きました。いっぽうユーロ円はNY市場でのドル円の下げ以上にリスクオフの売りが強まり、127.57レベルと月曜安値に近づいての引けとなっていました。

12月2日(木)
ユーロドルはNY後場まで前日のレンジ内で横方向のもみあいを継続しました。後場にはFRB関係者のテーパリング加速発言が相次いだことでドル買いの動きとなり、ユーロドルは前日安値を僅かに割り込んでの引けとなりました。

12月3日(金)
ユーロドルはユーロ円がドル円と同様の動きをしていたこともあって、終日動きは鈍いままでした。米国雇用統計後にドルの動きに沿って上下の動きは見られたものの値幅は限定的で終日のレンジも67pipsに留まりました。

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