ユーロ  対ドル、対円とも安値更新の流れ(週報11月第3週)

先週のユーロは予想を大きく上回る米国CPI6.2%という数字を見て急速にドル買いへと転換、金曜NY市場前場には1.1433レベルと年初来安値を更新する動きとなりました。

ユーロ   対ドル、対円とも安値更新の流れ(週報11月第3週)

ユーロ 対ドル、対円とも安値更新の流れ

〇先週のユーロドル、米国CPI値発表後に1.1433レベルと年初来安値更新
〇金融政策の違いによるユーロ売りドル買い、北アイルランドでの物流国境問題が背景
〇今週はラガルドECB総裁と英中銀総裁議会証言、ユーロ圏7〜9月期GDP、10月CPI改定値に注目
〇ユーロ円、130円の大台視野に入れた動き、ユーロドルのドル高の流れが下げ圧力に
〇今週は1.1395レベルをサポートに1.1525レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初こそFRB関係者の発言もありドル売りが先行したことでユーロ買いの動きとなっていましたが、水曜の米国CPIが予想を大きく上回る6.2%という数字を見て、急速にドル買いへと転換、金曜NY市場前場には1.1433レベルと年初来安値を更新する動きとなりました。
最大の要因は米国CPIを受けて米国の利上げ前倒し思惑が広がる中で、ECBの金融政策は来年3月までは緊急購入枠の縮小に留まるのみで、金融政策の違いによるユーロ売り・ドル買いが大きかったことに加え、英国がEUに対して改めて問題提起している北アイルランドとアイルランドの間の物流の国境問題が欧州通貨の上値を抑えやすくしています。

今週は月曜にラガルドECB総裁と英中銀総裁の議会証言がそれぞれ行われ、インフレと金融政策についてこれまで同様のスタンスを継続するのか否かが最初の材料となります。その後もユーロ圏7〜9月期GDP、10月CPIの改定値と週前半に注目材料が目立っています。先週のドル買い・ユーロ売りの動きから欧州が引き続き緩和的なスタンスを示せばユーロ売りで反応しそうですが、CPIの影響も無視できず、ユーロ安トレンドがこのまま続くのかは参加者の動き次第というところでしょうか。

材料よりもテクニカルな動きが気になりますので、まずは週足チャートからご覧ください。

ユーロ   対ドル、対円とも安値更新の流れ

週足チャートでは2年がかりで反転パターンを形成中ですが、ネックライン(ピンク)を下抜けた後の戻しが同ラインで止められていること、2020年安値と2021年高値の半値押しを下抜けてきていることから、長期的には次のターゲットとなる61.8%押し1.1288を目指す流れにあると考えられます。

日足チャートもご覧ください。

ユーロ   対ドル、対円とも安値更新の流れ 2枚目の画像

チャート下に見えるピンクの太い水平線は週足チャートで示した61.8%押しの1.1288ですが、まだ距離はあります。それよりも最近はピンクの細い線で示した下降ウェッジの中での動きを継続中で今週は下げたとしても1.14割れがせいぜいと見た方がよさそうです。いっぽうで上値は10月安値1.1524レベルで抑えられそうなチャートです。

今週は1.1395レベルをサポートに1.1525レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足を見ておきます。

ユーロ   対ドル、対円とも安値更新の流れ 3枚目の画像

ユーロドルの下げの影響で10月安値と高値の61.8%押し(青のターゲット)を達成しました。現在は9月安値と10月高値の61.8%押し130.04と重なる130円の大台を視野に入れた動きになってきたと見てよいでしょう。

引き続きドル円以上にユーロドルにおけるドル高(ユーロ売り)の流れが、ユーロ円の下げ圧力につながりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月15日(月)
19:00 ラガルドECB総裁議会証言 ☆
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
23:30 英中銀総裁議会証言 ☆
24:45 デギンドスECB副総裁講演

11月16日(火)
16:00 英国10月失業率
16:45 フランス10月CPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP改定値 ☆

11月17日(水)
16:00 英国10月CPI ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設支出

11月18日(木)
 (特になし)

11月19日(金)
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ10月PPI
18:00 ユーロ圏9月経常収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月8日(月)
ユーロドルは終日ドル安の流れとともにユーロがじり高の展開となりました。しかし、ドル円同様にユーロ円の上値も重たかったことから上げ幅は大きくはなく終日のレンジも44pips止まりでした。

11月9日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル円の下げに引っ張られてユーロドルもやや上昇しましたがユーロ円の下げもあり動きは鈍く、その後も1.1590前後でのもみあいに終始し、1日のレンジも39pipsに留まりました。ユーロ円は東京前場に下げた後はほとんど値動きの無いままで引けました。

11月10日(水)
ユーロドルはドル円同様に基本的にドルの動きとなりました。東京市場から上値が重く欧州市場に入るとじり安となっていたユーロはNY市場に入り発表されたCPIに反応して大幅安、1.1476レベルへと安値を更新し、安値圏での引けとなりました。またユーロ円はドル円とユーロドルとのスピード差から一時131.42レベルまで買われましたが、NYの引けにかけては完全に行って来いの動きとなっていました。

11月11日(木)
ユーロは狭い値幅の中で動きは鈍かったのですが、対ドル、対円ともに上値が重たい流れが続き、緩やかなじり安の展開が終日続きましたが、米国が祝日で取引自体が閑散でした。

11月12日(金)
ユーロドルはほとんど動かない1日となり値幅はわずか29pipsに留まりました。ユーロ円はドル円の動きと同様で東京前場に上値を抑えられ、引けまではじり安の展開となりました。

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