米国要因だけでなく欧州要因にも要注意(10/28夕)

28日の東京市場は「行って来い」。値幅そのものは狭いなか、一時ドル安が進行するも、引けにかけて大きく値を戻している。

米国要因だけでなく欧州要因にも要注意(10/28夕)

米国要因だけでなく欧州要因にも要注意

〇本日のドル円、夕方にかけ113円半ばまで反落後、黒田総裁発言でドル買い円売りへ傾斜
〇黒田総裁「他国中銀の緩和縮小が日本の金融政策に影響することはない」
〇ドル高基調続くが、来週注目の米FOMCを控えるなか足もとは調整局面入り
〇本日は7-9月期のGDP統計速報や、新規失業保険申請件数などの米経済指標が発表
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.20-114.20
〇ドル安・円高方向は昨日も下げ止まった113.40前後がサポートに

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場は「行って来い」。値幅そのものは狭いなか、一時ドル安が進行するも、引けにかけて大きく値を戻している。

ドル/円は113.80円レベルで寄り付いたのち、当初は底堅い。そのなかで日中高値の113.85-90円へと小幅に値を上げている。しかし、ジワリと値を崩すと夕方に掛けては113円半ばまで反落。終値ベースで278円もの続落となった日経平均株価の動きなどをにらみつつ、断続的な円買いに押されていた。ただ、最終盤に掛けては黒田日銀総裁の発言などが伝えられると、再びドル買い・円売りへと傾斜。16時現在では113.70円前後と「行って来い」に値動きをたどり、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「東アジアサミット」と「日銀金融政策決定」について。
前者は、オンライン形式で開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と日米中などの首脳が一堂に会する東アジアサミットにおいて、「日米vs中国」といったバチバチのやりとりが観測されている。岸田首相が「東シナ海で我が国の主権を侵害する行為が横行」と名指しこそ避けたが中国への懸念を表明。また米国のバイデン大統領も「台湾海峡での中国による強制的かつ積極的な行動を懸念する」との発言が聞かれていた。それに対して、中国サイドは李首相が「南シナ海情勢の安定は保たれている」と強調していたようだ。

対して後者は、東京昼前に日銀が予想通りの「金融政策の現状維持決定」を発表したことに続き、個人消費に持ち直しの兆しなどを理由に、足もとの「景気判断据え置き」も明らかにしている。ただ後者と絡め、「今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向」などをリスク要因として取り上げており、一部の市場参加者のあいだでは思惑を呼んでいた。なお、夕方には黒田総裁の会見が行われ、「現時点の円安は日本経済にマイナスならない」、「他国中銀の緩和縮小が日本の金融政策に影響することはない」との発言が伝えられている。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は中期的な流れ、ドル高基調そのものは依然として続いていると思われるが、来週に注目の米FOMCを控えるなか、足もとは調整局面入りしている感を否めない。実際、113.39-114.69円といった1.3円ちょうどの新レンジ内での変動は気が付いたら、1週間を超えている。予断を許さない状況ながら、短期的には方向性に乏しく、いましばらくレンジ取引が続くといった予想をする声が優勢だ。
来週予定されている11月のFOMCで米国のテーパリングが開始されるとの見方が市場のコンセンサスとなっている反面、前述したように、日本は金融引き締めに程遠い状況にある。単純に日米金利差を考えると、積極的なドル売り・円買いには動きにくいと言わざるを得ない。一方、そうした各国金融政策、あるいは2国間金利差という意味では、日銀に続き発表されるECBの政策金利にも要注意。終了後の会見でラガルド総裁が国際協調の観点から、やや強気な発言を行うとの見方もあり、事実とすれば前後の相場は荒れ模様となるか。

テクニカルに見た場合、ドル/円は中期的なドル高傾向継続下の調整局面。ただ、価格ではなく時間調整といった様相で、来週の米FOMCまでしばらくのあいだ113.39-114.69円といったレンジ取引をたどるとの見方がジワリ広がりつつあるようだ。とは言え、敢えてリスクを指摘するなら、短期的には下方向か。予想外とも言えるドル安の進行にも一応注意しておきたい。

材料的に見た場合、中長期的には、東アジアサミットで米国との対立が改めて示された「中国情勢」のほか「新型コロナ」、週末衆院選まで残り4日で激しい鍔迫り合いも観測される「日本の政局」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、非常に重要な7-9月期のGDP統計速報や、週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表されるほか、アマゾンやアップルといった注目米の決算発表も実施される見込みだ。もちろん、それら米国ファクターにも要注意だが、先でも取り上げたECBによる金利発表など欧州ファクターにも、注意しておいて損はない。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.20-114.20円。114円手前からオファーが少しずつ積み上がりつつあるようで、上値がジワリと重くなってきているようだ。目先高値114.31円まで届くかどうかは微妙だろう。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期チャートをみると、昨日も下げ止まった113.40円前後がサポートとして育ちつつある。まずはその攻防に注目で、抜けても短期的には112円台ワンタッチが精々か。

米国要因だけでなく欧州要因にも要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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