ドル高継続か、昨年そして19年高値も視界内
〇本日のドル円、111.80-112.00といったドル高値圏で強保ち合い
〇米債務上限問題、上院は共和党が反対姿勢緩めず、通過は困難との見通しが優勢
〇本日は月末最終日の駆け込み的な需給要因、ロンドンフィキィシングも警戒
〇基本的なリスクは上向き、昨年高値112.22、2019年高値112.40がターゲットとなりそう
〇本日は4-6月期GDP統計確報値や新規失業保険申請件数などの米経済指標に注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは111.50-112.40
<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場はドルが強保ち合い。しかし、前日にはクリアに超えられなかった112円を本日も超えられず、やや上げ渋りの様相も。
ドル/円は111.95円前後で寄り付いたものの、上値は重く112円台には乗せられず。ただ下値も堅く、安値は111.80円レベルまで。つまり、111.80-112.00円といったドル高値圏で強保ち合いをたどっていた。16時現在、ドル/円は110.95-00円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、ドルは対円以外でも高値圏での推移が目に付くも、しっかりと抜けていくには至らず。たとえば豪ドル/ドルは前日記録した8月23日以来の豪ドル安値(ドル高値)を、ザラ場ベースでわずかに更新したが、続かなかった。
一方、材料的に注視されていたものは、「日本の政局」と「米債務上限問題」について。
前者は、昨日行われた菅首相の後継者を決める自民党総裁選において、決選投票のすえ岸田氏が勝利をおさめ新総裁に決定した。それを受け、早くも関心は次期衆院選へと移行した感があるものの、岸田氏による自民党4役人事なども一部で注目を集めていたようだ。そうしたなか、二階幹事長の後任として「甘利税制調査会長を起用する方向で最終調整」、また官房長官については「萩生田文部科学相を充てる案が浮上」−−などと複数メディアに報じられている。
対して後者は、動静が注視されている「米債務上限問題」について、米下院が連邦政府債務の法定上限の適用を2022年12月まで停止する法案を賛成多数で可決している。しかし、上院は議会野党の共和党が同法案への反対姿勢を緩めておらず、通過は困難との見通しが優勢だ。つまり引き続き米連邦政府の資金が枯渇し、デフォルトに陥る恐れは払拭されておらず、予断を許さない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日、年初来高値を大きく超えて一時112円台へ。昨年高値の112.22円が現実的な上値メドとして意識されたものの、同レベルにはとどかなかった。基本的なリスクは上向き、ドル高方向で間違いなさそうだが、昨日は注目要因のひとつである米金利が下げたにもかかわらず、ドル/円は逆に上値を試すなどなんでもありといった様相も。ただ、こうしたときは往々にして相場の末期とも言えなくないだけに、ドルの高値掴みにも一応注意しておきたい。
米金利動向への関心が高いという状況が依然として続くなか、日米中銀による金融政策の違いは明らかで、金利差などを考えるとドルはやはり積極的に売りにくい状況だ。そうしたなか、本日は発表される米経済指標や要人発言が当然のように注目されるほか、月末最終日ということでの駆け込み的な需給要因、さらにはロンドンフィキィシングを警戒する声も少なくなかった。
テクニカルに見た場合、ここ最近のドル/円は上方向のテクニカルポイントを次々突破。昨日は年初来高値111.66円に続き、112円も一時超えている。
そうした動きを考えると、基本的なリスクは上向きで昨年高値の112.22円、そして2019年高値の112.40円がターゲットとなりそうだ。ただ、上昇スピードの速さなどを考えると、一時的な調整の動きにも一応注意を払いたい。
材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足」問題や「恒大リスク」などが引き続き取り沙汰されている「中国情勢」のほか、明日の自民党役員人事決定への関心も高い「日本の政局」、「新型コロナ関連」、「北朝鮮情勢」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、4-6月期GDP統計確報値や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるほか、引き続き米要人、通貨当局者などによる発言機会が多数予定されている。また国連安全保障理事会が、北朝鮮情勢をめぐって非公開の緊急会合を開くとの一部報道もあり、こちらもリスク要因として意識しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは111.50-112.40円。昨日示現したドル戻り高値の112.05円が目先の抵抗。上抜ければ112.22円や112.40円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、ドルの下値がジワリと切り上がっており、すでに111.70-80円が目先のサポートとして意識され始めている。それを下回ると111.20円がターゲットに。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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