ユーロ安トレンドを継続、年初来安値を更新か(週報9月第3週)

先週のユーロは、週後半は米金利上昇の動きに引っ張られたユーロ売りが目立ち、金曜には1.1724レベルと8月23日以来の安値をつけての週末クローズとなりました。

ユーロ安トレンドを継続、年初来安値を更新か(週報9月第3週)

ユーロ安トレンドを継続、年初来安値を更新か

〇先週のユーロ、後半は米金利上昇に引っ張られユーロ売り、金曜に1.1724レベルに
〇テーパリング、米国の後にECBという流れで今週のFOMC前にドル買いユーロ売りが出やすい地合い
〇FOMCで金利見通しに変化がなかった場合は逆にドル売りユーロ買いに動きやすい
〇チャイナショックで円買いがユーロ円の売りとなり、ユーロドルも上値が抑えられるという展開も
〇今週はFOMC翌日の23日英中銀MPCに注目、現状主要国中銀で緩和縮小にもっとも早く動く可能性高い
〇今週は1.1650レベルをサポートに、1.1775レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初に売りが先行した後は上値が重たいものの横方向の動きとなっていましたが、週後半は米金利上昇の動きに引っ張られたユーロ売り(ドル買い)が目立ち、金曜には1.1724レベルと8月23日以来の安値をつけての週末クローズとなりました。

ユーロは前週にECB理事会でPEPPの購入額縮小が決まり、緊急枠の縮小から12月理事会での通常枠縮小決定の流れが現在のコンセンサスとなっています。となると、一時期のECBのテーパリングが先という思惑ではなく、以前のまず米国でECBはその後という流れになってきたこととなり、今週のFOMCを前にドル買い・ユーロ売りが出やすい地合いになったと言えます。

ただFOMCのコンセンサスもテーパリング決定は今週ではなく11月という見方ですから、どちらかというとテーパリングよりも四半期ごとに発表される金利見通しが前回6月(2023年中に0.5%利上げ)よりもタカ派的に分布する可能性に対してのドル買いと見た方が良さそうです。これは思惑でタカ派的な分布思惑が先行したのだとすると、変化が無かった場合には逆にドル売り・ユーロ買いに動きやすくなりそうです。

そして、もうひとつは中国発のリスクオフの可能性があるかないか、これはドル円週報に書いた通りですが、仮にエバーグランデ(不動産大手、負債総額33兆円)が倒産すると株式市場は急落するでしょうから、それに沿ってリスクオフの円買いがユーロ円の売りとなり、ユーロドルも上値が抑えられるという展開が考えられます。金融市場全体のことを考えると政府主導での支援決定が望まれるところですが、最近の中国共産党による規制強化を見ていると、蓋を開けてみないとわかりませんが、かなり危険な気もします。秋になると株式市場ではリスクオフの動きが出やすい傾向があるだけに、注意深く見守りたいところです。

今週の欧州の材料としてはFOMCの翌日23日に英中銀MPCがあります。現状主要国中銀で緩和縮小にもっとも早く動く可能性が高く、9月に入ってからのユーロポンドの売り材料ともなってきましたので、英中銀がテーパリングの発表をするかにも注目しておきましょう。実際にテーパリングに動いてもそれほど大きな動きにはならないと思いますが、現状では事実で利食いの動きとなる可能性もあり、その場合には逆に利食いのポンド売りとなるかもしれません。

またMPCの前に欧州主要国の9月製造業・サービス業PMI速報値が集中しますので、ユーロドルは指標の強弱次第で一時的に動きが出そうですが、現在のユーロ安の地合いを考えると弱い数字でのユーロ売りにより反応しやすいと見ています。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ユーロ安トレンドを継続、年初来安値を更新か

先週も示した1.19水準(黄色のラインマーカー)で上値を抑えられる展開が確定し、現在は8月安値と9月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しも達成し、8月安値を視野に入れる展開となってきました。材料的にもユーロ売りに反応しやすい週となりそうですから、一度くらいは8月安値をトライし、新たな年初来安値をつけることとなりそうです。

今週は1.1650レベルをサポートに、1.1775レベルをレジスタンスとする流れを見ておこうと思います。

今週のコラム

23日に英中銀MPCがありますので、今週はポンドドルのチャートを見ておきましょう。

ユーロ安トレンドを継続、年初来安値を更新か 2枚目の画像

ユーロドルほどでは無いもののドルと比較した場合、先週半ば以降の米金利上昇によるドル高(ポンド安)傾向となっています。大きくはピンクのラインで示したレジスタンスラインとサポートラインとの間で三角もちあいを形成中に見えます。

FOMC、MPCと続き材料豊富ではあるものの、テクニカルな観点ではどちらにも動きにくい状況のようです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月20日(月)
08:01 英国9月住宅価格
15:00 ドイツ8月PPI

9月21日(火)
16:05 デギンドスECB副総裁講演 ☆

9月22日(水)
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値 ☆
27:00 FOMC ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

9月23日(木)
15:45 フランス9月企業景況感
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 スイス中銀政策金利発表
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆

9月24日(金)
08:01 英国9月GFK消費者信頼感
17:00 ドイツ9月ifo企業景況感
23:00 パウエルFRB議長、クラリダFRB副議長講演 ☆

9月26日(日)
**:** ドイツ総選挙 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月13日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル円同様にドル高の動きを見せユーロドルはじり安の動きとなりました。1.18割れにはストップオーダーも入っていた様子で一時1.1770レベルまで水準を下げましたが、米金利低下とともに買い戻しが目立ち日計りの買い戻しも加わり東京早朝の水準に戻し、行って来いとなりました。

9月14日(火)
ユーロドルは東京市場ではやや上げた後に欧州市場ではCPIを前に元の水準へと押していましたが、コアCPIが予想よりも低く米金利低下によるドル売りの動きによってユーロドルは1.1846レベルの高値をつけました。しかし、NYダウが下げる動きがユーロ円で円買いの動きとなり、ユーロドルはユーロ円の下げもあってCPI前の水準に押しての引けとなりました。

9月15日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤以降はドル円の動きに遅れてユーロ買い(ドル売り)の動きとなりました。NY市場に入ってからはドル買い戻しの動きからユーロドルは東京朝方の水準に押した後に若干買い戻しが見られました。ただ、ユーロドルは値幅が終日で33pipsに留まり、参加者の興味はユーロ円をはじめクロス円に集まっていました。

9月16日(木)
ユーロドルは東京市場から上値が重たい展開となっていましたが、欧州市場序盤に前日安値を下回り1.18を割り込むとテクニカルな売りが先行し、ユーロ売りが続いたままNY市場入り。NY市場では既に水準を下げていたこともあって1.1751レベルへと若干安値を切り下げたものの安値圏でもみあいのまま引けました。

9月17日(金)
ユーロドルはユーロ円が強かったこともありNY市場まではじり高の展開となり、NY朝方にはユーロ円が129.67レベル、ユーロドルも1.1789レベルの高値をつけました。NY市場ではドル円同様に米金利が上昇した動きからドル買い・ユーロ売りとなり1.1724レベルまで水準を下げて安値引けとなりました。

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