乱調な展開ながら8月19日以降のボックス型持ち合いの範囲
〇ドル円、31日深夜に109.57まで下落後反騰、110円台を維持して上昇気配
〇ユーロドルやポンドは一段高から反落、ドル安基調にややブレーキがかかっている印象
〇本日はADP米民間雇用報告とISM製造業景況指数発表、内容次第では乱高下しやすい
〇31日の米10年債利回り前日比0.03%上昇、米連銀議長講演を挟んでの長期債利回り低下は一服
〇最近の各種米景況感は6月あたりまでの伸びが鈍化、急激な回復に一服感が出ている印象
〇27日夜高値110.26を超える場合は110.30から110.40前後を試すとみる
〇109.80割れからは下げ再開を警戒して31日深夜安値109.57試し
【概況】
ドル円は8月31日深夜への下落で109.57円を付けて30日午前安値109.69円を割り込んだが、直後の反騰で110.07円まで戻し、その後も110円台を維持してやや上昇気配となっている。
8月31日は米住宅価格指数が予想を上回る強さだったことでいったんドル高に振れたもののシカゴPMIやコンファレンスボードの消費者信頼感指数が予想を下回ったことでドル安がぶり返すなどやや乱調だったが8月19日以降のボックス型持ち合いのレンジ内にとどまっての騰落だった。
8月27日夜のパウエル米連銀議長による講演をハト派的内容としてドル全面安へ進んだものの、今週末の米8月雇用統計次第ではドル高のぶり返しもあり得るところとして市場心理もまだ定まらない状況。8月23日以降はユーロやポンド等でドル安が進んできたが、ユーロドルやポンドは31日夜高値へ一段高したところから反落するなどドル安基調にもややブレーキがかかっている印象だ。
9月1日はADP米民間雇用報告とISM製造業景況指数の発表もあり内容次第では乱高下しやすいと思われるが、大きな流れを決めるのは週末の米雇用統計内容を見てからということになると思われる。
【米長期債利回り下げ止まり、株高一服】
8月31日の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の1.31%で終了、8月26日に1.37%台へ上昇したところから下落に転じて27日の米連銀議長講演後に1.30%へ低下、30日には1.27%まで続落していたが、31日は前日の低下分を解消する反発となった。2年債利回りは同0.01%上昇の0.21%で終了。8月25日に0.25%まで上昇したところから30日には0.20%へ低下、31日も0.19%台まで続落したもののその後の反騰で前日の下げ幅の大半を解消した。8月27日の米連銀議長講演を挟んでの米長期債利回り低下は一服というところであり、米経済指標の強弱を見つつ週末の米雇用統計発表から長期債利回り低下傾向が鮮明になるのか反転上昇となるのか試される。
NYダウは前日比39.11ドル安、ナスダック総合指数は同6.65ポイント安といずれも小幅低下。いずれも史上最高値近辺にあるが週末の雇用統計、来週月曜が休場となり3連休に入るためやや慎重姿勢というところ。
【米経済指標まちまちだがドルの強弱を揺さぶる】
8月31日発表の米経済指標はまちまちだが、景況感の鈍化は目立った。
米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した6月の全米住宅価格指数は前年同月比18.8%上昇となり過去最高の伸び率となったが、前月比は1.6%上昇で5月の1.8%上昇から鈍化した。また6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比19.1%上昇となり6月の17.1%を超えて過去最大の伸び率となった。いずれも6月の統計であり、ピークアウト感も見られる。
米民間調査機関のコンファレンス・ボードによる8月消費者景気信頼感指数は113.8となり7月の125.1から大幅低下、今年2月以来の低水準で市場予想の124.0を大幅に下回った。6か月後の見通しも「改善」が22.9%で7月の30.9%から低下、「悪化」は17.8%で7月の11.9%から上昇した。
シカゴ購買部景況指数(シカゴPMI)の8月は66.8となり7月の73.4から低下して市場予想の68.0を下回った。最近の各種米景況感は6月あたりまでの伸びが鈍化しているが、デルタ株の感染拡大による影響やワクチン普及による経済活動再開からの急激な回復に一服感が出ている印象だ。米経済指標が強ければ米連銀へのテーパリング早期着手への圧力となり経済指標が弱ければトーンダウンしてドルの強弱に影響するという展開だが、週末の米雇用統計までは揺さぶられる展開が続きそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月16日夜安値から3日目の19日夕安値、さらに3日目の24日夜安値でサイクルボトムを付けて上昇していたが、27日夜高値で直近のサイクルトップを付けて下落に転じていた。
8月31日深夜に一段安したところから110円台回復へ切り返しているので、24日夜安値から5日目となる31日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしたと思われる。高値形成期は27日夜高値を基準として9月1日夜から3日深夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので109.80円割れを弱気転換注意とし、31日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして3日夜から7日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では31日深夜安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落し始めるところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30日午前安値から31日深夜安値への安値切り下がりに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇している。このため50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとして70ポイントを試す流れとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント試しへ向かう流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)109.80円を下値支持線、27日夜高値110.26円を上値抵抗線とする。
(2)109.80円以上での推移中は上向きとして110.20円台を目指すとみる。110.20円台は19日以降の上値抵抗帯のため戻り売りにつかまりやすいとみるが、110.26円を超える場合は110.30円から110.40円前後を試すとみる。また110円以上での推移なら2日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.80円割れからは下げ再開を警戒して31日深夜安値109.57円試しとし、底割れからは新たな下落期入りとみて109円台序盤(109.25円から109.00円)を目指すとみる。また109.75円以下での推移なら2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9/1(水)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 1.8%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 1.1%、予想 9.2%)
10:45 (中) 8月 財新製造業PMI (7月 50.3、予想 50.2)
15:00 (独) 7月 小売売上高指数 前月比 (6月 4.2%、予想 -0.9%)
15:00 (独) 7月 小売売上高指数 前年同月比 (6月 6.2%、予想 3.7%)
16:55 (独) 8月 製造業PMI改定値 (速報 62.7、予想 62.7)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI改定値 (速報 61.5、予想 61.5)
17:30 (英) 8月 製造業PMI改定値 (速報 60.1、予想 60.1)
18:00 (欧) 7月 失業率 (6月 7.7%、予想 7.6%)
21:00 (独) バイトマン独連銀総裁、講演
21:15 (米) 8月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (7月 33.0万人、予想 61.3万人)
22:45 (米) 8月 製造業PMI改定値 (速報 61.2、予想 61.2)
23:00 (米) 8月 ISM製造業景況指数 (7月 59.5、予想 58.5)
23:00 (米) 7月 建設支出 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫
9/2(木)
東方経済フォーラム(ロシア、9月4日まで)
08:50 (日) 8月 マネタリーベース 前年同月比 (7月 15.4%)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 104.96億豪ドル、予想 101.85億豪ドル)
14:30 (日) 片岡日銀審議委員、記者会見
18:00 (欧) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 1.4%、予想 1.3%)
18:00 (欧) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 10.2%、予想 11.0%)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 35.3万件、予想 34.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 286.2万人)
21:30 (米) 7月 貿易収支 (6月 -757億ドル、予想 -734億ドル)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 1.5%、予想 0.3%)
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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